live reports

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 ライヴレポとはライヴが終わってすぐに書かれるべきものなので、ライヴから2週間以上経って書かれたこれはライヴレポではない。回顧録みたいなものだ(編注:と筆者は言ってますが、紙媒体の場合、ライヴから1ヶ月くらいたってから書いたものも充分レポとして成立する。まあ、これはウェブ媒体ですしね...!)。

 ヴァクシーンズとは勢いだけで青春時代を駆け抜けるような瑞々しいラッド・バンドではなく、80年代ニュー・ウェイヴからブリット・ポップまでの由緒正しき文脈を持つ正統派のポップ・バンドである。フジロックとあわせて彼らのライヴはまだ2回しか観ていないが、そのステージはとても堅実で波がなく、まるで何年もツアーをやってきたバンドのような安定感がある。

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 08年に結成され、4月にファースト・アルバムを発表する男性2人女性3人の5ピース・バンド、ヘラジカ(Herajika)。彼らの音楽が持つ重要な要素は「聴き手が漠然と思い描いている音楽」の先を、まるで天気の話でもするように自然に鳴らすところにある。ロック、ヒップホップ、ワルツ、フォークなど、様々なジャンルの共通項となる「点」を射抜き、軽やかに音をステップさせることができるのは彼らの音楽的バックグラウンドの広さとともに、ポピュラー・ミュージックとして開けた音楽であることを雄弁に物語る。そして聴き手の「イメージとしての音楽」を少しずつ広げ、感覚を更新する。

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  2012年1月28日。場所は赤坂ブリッツ。そこで七尾旅人による《百人組手》というイベントが行われた。《百人組手》は、七尾旅人VSゲストという図式で次々と即興演奏が繰りひろげられるイベント。なにが起こるのか、当日になってみなけりゃわからないガチンコな企画です。今回のゲスト陣はザゼン・ボーイズ、近藤等則、坂田明、櫻井響、AFRA、飴屋法水、Chara、大友良英 オーケストラFUKUSHIMA&YOU!(「YOU!」は、一般参加した方たちのこと。客席最前列で楽器を持って演奏していました)といった面々。ご覧の通り、曲者かつ確かな実力を持った表現者が集結した。

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 ワイルドバード&ピースドラムという名の通り、ワイルドな男性ドラマーとヴォーカル&パーカッションを担当する美しい女性によるデュオ。途中で何度もスティックを飛ばしまくって落としてしまうワイルドバード(Wildbird a.k.a. Andreas)。エレクトロ音も混ぜながら一人何役もこなすピースドラム(Peacedrum a.k.a. Mariam)。ドラムと歌だけでない凄まじい音の共演を見せてくれた。


 エクスペリメンタルでありながらも不協和音にならず、見事に「音」として楽器を捉えている様は、まるでピアニストの絶対音感にも負けず劣らずの美しい響きになっていた。


 ATPに出たことがあるというのも頷けるダイナミックさは、どこかルインズやライトニング・ボルトをも彷彿とさせたが、ドラムセットとマイク以外は実に意外で個性的な楽器を使い、またきちんと曲として完成させているところが本当に面白い。

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「今の日本はとてもタフな状況だけど、今日は来てくれてありがとう。俺たちがタフだった時に支えてくれたのは、この美しい国のみんなだったよ。本当にありがとう」。そんな言葉だったと思う。ライヴの中盤でニッキーとショーン、サポート・メンバーの2人が舞台袖に下がり、ステージに一人残されたジェームスは静かにそう言って、アコースティック・ギターを手に取った。そして「This Is Yesterday」を静かに力強く歌い始めた。


『Nano-Mugen Fes. 2011』の2日目、約2万人の前でプレイしたマニックスが翌日の7月18日、一夜限りのスペシャル・ライヴを敢行した。会場となった新宿BLAZEのキャパはなんと800人。しかもフロント・アクトにはアッシュ(!)を起用。そして、終演後にはとびきりのサプライズも! 冒頭の言葉どおり、タフな状況にある僕たちに、タフな状況をくぐり抜けてきた男たちが最高のパフォーマンスを見せてくれた。

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 タイム・テーブルは当日発表、という洋邦混ざったフェスでは画期的なアジアン・カンフー・ジェネレーション主催のナノムゲン・フェス。


 客層は主にアジカン目当てだが、タイム・テーブルを知らされていないとあって昼のオープンから客入りはバッチリ。


 そんな中で洋楽最初のアクトとなるWAS。その前にアジカン・メンバーからこんなMCタイムが設けられた。


「洋楽、外国人ってなると急に固まる人いるよね。このナノムゲン・フェスにおいて金縛りは禁物ですから。皆さん盛り上がったら手を上げたりして下さいね」と、このような趣旨のご挨拶だった。


 そしてアーハの「テイク・オン・ミー」などが流され、続いて幕を開けたWASのステージ。一体そのアクトとは...?

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 2003年から行われ、一アーティストがプロデュースするフェスながら邦楽・洋楽、ベテラン・新人混合のラインナップを取り揃えることで、既にアジアン・カンフー・ジェネレーション・ファンだけでなく、多くのリスナーから信頼を得てきたNano-Mugen Fes。去年は、『The Orchard』リリース寸前のラ・ラ・ライオットを帯同して、各地それぞれの邦楽アーティストを迎えてツアー形式でのヴァージョンで行われ、フェスティヴァルではなかったので、2年振りに再び横浜アリーナで開催されるとアナウンスされた時は、多くのファンが昨年以上に「待ってました!」と思ったことだろう。


 それも、ウィーザーとマニック・ストリート・プリーチャーズの出演が決定した際には、全国のファンが格別、驚きを隠せなかったことだろうと思う。マニックスは、09年に出演がアナウンスされていたものの直前になって、出演中止の事態になっていたところのリベンジであるし、ウィーザーにいたっては「遂にアジカンもウィーザーを招致するまでに!」と喜び勇んだものだ。デビュー当時から、アジカンのメンバー、特にフロントマンの後藤正文は度々ウィーザーからの影響を公言してきたし、『君繋ファイブエム』をリリースした当時は、そのギター・ロック的なスタイルや両バンドのフロントマンがメガネを愛用していることなどを踏まえて「和製ウィーザー」なんて言葉でももてはやされていたものだ。アジカン・ファンの多くが、ウィーザーが自らの好きなバンドが敬愛して止まないバンドということを重々承知しているだろうし、彼らの出演には一層の期待を抱いたものだろう。


 それらの上に、後藤は3.11以降、チャリティー・バンド「HINATABOCCO」に参加したり、各メディアで原子力などへの懸念の呼びかけを重ねたり、未来新聞「THE FUTURE TIMES」誌を発行したりと特筆すべき活動をいくつも行ってきているだけあって、今回のフェスに対しての彼への意気込みや思いなども、絶大な期待を寄せられたことだろう。


 余談だが、会場ではアーティストの転換時間にファンからのリクエストが寄せられたアーティストのMVを大型モニターで映すことで、ラインナップを超えて邦楽、洋楽問わず幅広いアーティストに出会うことを促しているようだった。しかも、アジカン自身が選んだものではないにも関わらず、どのMVもセンスが良く、転換時も暇になる瞬間はなく、ワクワクし続けることができた。


 2デイズ公演の1日目(ねごと、ウィー・アー・サイエンティスツ、アッシュ、ザ・レンタルズ、アジアン・カンフー・ジェネレーション、ウィーザー)についてレポートしたい。

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 かつて<<輝くほどに不細工なモグラ>>(「クリスピー」)と自らを形容したモラトリアム・ナード青年だった彼らが、アリーナという場所で一つのショーを提示すること。しかも、純粋ゆえのフェイクを歌い切った『とげまる』というアルバムを中心に展開されること。それは、彼らのもつ「真摯な背徳」を最大限に活かし、アップビートな曲を基軸に構成されたセットリストでオーディエンスを熱狂とともに知らず知らずの内に共犯へと誘うことを見事に成功させてしまった。『とげまる』の「まる」の部分を示す「聞かせてよ」から始まり、アルバムと同じく「君は太陽」の<<理想の世界じゃないけど/大丈夫そうなんで>>という最上の背徳的甘美の一節で幕を閉じる本編を観ただけで、ナード男子であるまま世界と対峙してきた者の見せる、どこかで決定的に歪んだいびつながらも素晴らしいポップの世界であった。


 なお本記事は基本的に『とげまリーナ』ツアーで3日に及ぶ大阪公演の2日目にあたる7月15日の公演についてのライヴ・レポートであるが、僕は1日目である7月12日の公演も個人的に鑑賞していたので、その1日目も含めた上でレポートさせていただくことをご了承願いたい。

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 まさに「記録ではなく記憶に残る」バンドだ。

 この7月アタマ、終電後の深い時間にも関わらず超満員にふくれあがった代官山ユニットのフロアで、その神髄に少しだけふれることができたような気がする。

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 これまでの暖かな日差しの中で遊ぶ景色を過ぎ、夜の海の気怠さとその中での新たな想いを抱えた新作『アポリア』を引っさげての全国ツアー、ヴォーカル・ギターのフロントマン、クボケンジの地元でもある大阪での公演はチケットが早々にソールド・アウト。彼らの2年振りの勢いに多くのファンが詰め寄せていた。当日は期せずして、『アポリア』で鳴らされたような生暖かく気怠い天気だった大阪は、彼らの素朴ながらも強かなショーと同時に夏を迎えたようだった。
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