interviews: September 2010アーカイブ

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MANIC STREET PREACHERS

俺たちの音楽には、ポジティヴな憂鬱
とでも呼ぶべきものが入ってると思う


photo by Dean Chalkley
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このすさまじいまでの高揚感は、いったいなんなんだ! 外に出かけたいと思いつつ、ずっと部屋に閉じこもっていた男が、太陽の光をいっぱいに浴びながら広い世界に一歩踏みだしたときのような。20年以上のキャリアを持つバンドが、なぜこんな弾けるようなアルバムを作れるんだ?

90年代初頭以降、彼らは巨大な音楽ビジネスとまっ正面から渡りあってきた。インディー・ミュージックに入れこんでいるけれど、もちろんほかの音楽も大好き。スモール・サークルには安住できない一方で、ショウビズに「飼い慣らされる」ことは拒みつつ、それ自体から無理に目をそらす...つまり「逃げて」しまうことはない。そんな彼らの微妙な立ち位置が、もしかするとこの時代の要請におそろしくマッチしているのかもしれない...なんてことさえ考えてしまった。

『Postcards From A Young Man』。彼ら自身の実年齢がいくつだったとしても、これは、まさにそんなタイトルにふさわしいアルバムとなった(レヴューは、こちら!)。ヴォーカリスト&ギタリスト、ジェームス・ディーン・ブラッドフィールドに聞いた。

フラン・ヒーリィ

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FRAN HEALY

今回は、途中で失ってしまったものがなかった

決してセンセーショナルではないものの、そんなこと必要ないだろ? とばかり、マイペースでとにかく心にしみる素晴らしい歌をやりつづけてきたトラヴィス。グラスゴーから登場した90年代後半、オアシスのノエルが彼らをおおいに気に入ってフロントアクトに起用したことなどから人気爆発、R.E.M.やレディオヘッドを手がけたナイジェル・ゴッドリッチがプロデュースを手がけた99年のセカンド・アルバムは、リリース後じわじわとチャートを上昇し、数ヶ月たってからナンバー・ワンを獲得した。「初動」プロモーションを重視するCDビジネスの世界では非常に希なことだ。それ以来UKでは国民的人気バンドとなった彼らだが、2008年には自らのレーベルを設立し、そこからアルバムを発表するなど、挑戦的な活動をつづけている。

そんなトラヴィスの中心人物、フラン・ヒーリィが、ソロ・アルバムをリリースした。バンドで聴けるエモーショナルかつセンシティヴかつ素直なメロディーが、よりダイレクトに楽しめる素晴らしい作品となっている。ノア・アンド・ザ・ホエールのメンバーや、ニーコ・ケースが参加しているというという情報も、なるほど、とうなずかせる作風だ。そのうえ、ポール・マッカートニーまで1曲ベースで参加。うーん、やはり一筋縄ではいかない。ということで、フランに話を聞いた。

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OGRE YOU ASSHOLE

"森ガール"...(笑)。僕らはいたるところで
"森ボーイ"って言われるようになりましたね

彼らの音楽は、決して明るくもないし暗くもない。でも、どちらかといえば暗いほうに傾いているのかな? と思っていた。そして彼らの音楽は「未来への希望」にも「徹底的な絶望」にも寄りすぎていない。希望も絶望も、両方備えている。

そんななか「希望」寄りの曲...たとえば「コインランドリー」とかが、筆者としてはとくに好きだった。コインランドリーで洗濯してるのに「未来への希望」ってのもヘンな話だが(笑)。そして彼らのニュー・ミニ・アルバム「浮かれている人」は、タイトルどおり、これまでになく明るい感じだ。「浮かれている」から明るい、というのも、なんか...(笑)。だけどそこには、明らかにある種の「希望」が、そこはかとなく感じられるのだよ。サウンドも含み、明らかに新機軸だ!

ここ最近の一連の作品同様、プロデューサーに石原洋、エンジニアに中村宗一郎という名コンビ(ゆらゆら帝国などで知られる)を迎えたこの作品は、どのようなノリで完成したのか?

さる8月後半にくりひろげられた、中心人物出戸とクッキーシーン伊藤のゆるい会話(笑)を「ほぼ完全ノーカット、最低限の編集しかしていない」状態で、お届けします。

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JOHNNY MARR & OGRE YOU ASSHOLE

つきつめると、音楽さえ良ければ
たいていどんなことでも我慢できるんだ


昨年のザ・クリブス東京公演を見にいったとき、フロント・アクトをオウガ・ユー・アスホールが務めていた。彼らはたしかにいいバンドなんだけど、これまで(とくに中心人物の出戸が)USインディー・ファン、というイメージが強くて、ちょっと意外なとりあわせだと感じた。現在はクリブスのメンバーとなっているジョニー・マー(もちろん、ザ・スミスのギタリストとして最も有名)に、開演前の楽屋でちょっとだけ話をする機会があったのだが、オウガの話になると目を輝かせ、「いいバンドだよね!」と言っていた。あとで聞いたところによると、この日彼らが演奏するのも、ジョニーの強烈なプッシュで実現したらしい。そういえば、ジョニーって、クリブスに加入する前はモデスト・マウス(これは出戸も大好き)にいたわけじゃん...と考え、なんとなく、つながり(?)が見えてきた。

そしてフジ・ロックの初日には、偶然にもクリブスとオウガ・ユー・アスホールがどちらも出演する。この機会を逃す手はない...というわけで(とくにジョニーは、あまりにビッグな人なので、できるかな...と思いつつ)両バンドの対談を申し込んだところ、あっさり実現してしまった。

以下、その全貌であります!

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all photos by Toru Yamamoto

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!!!

変わっていくことっていうのは
すごくナチュラルで、美しいことだと思う


バンドのハイ・エナジーをそのまま落とし込んだような作風から、ミニマルで、エディットがふんだんに盛り込まれた作風へと移行した最新作『Strange Weather, Isn't It?』を引っさげて、堂々フジロック初日、ホワイト・ステージのトリを飾った!!!。まだまだ新作からの楽曲は試運転段階のようだが、これまで以上にグルーヴィーな新しいバンド像を垣間見せる、貴重なステージだったと言っていいと思う。インタビュー中でニックが語っているように、10月の単独公演(こちらもご参照ください!)では新曲をより自分たちのものにし、さらに素晴らしいステージを見せてくれることだろう。今回のインタビューではフジロックや新作の話はもちろん、ダンス・バンドの流行から、はたまたイギー・ポップの是非まで、様々な話を聞かせてくれた。

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TEENAGE FANCLUB

長い間レコードを作っていなかった僕らの
新作を作る喜びが反映された結果じゃないのかな


新作『Shadows』を6月に発売したグラスゴーの永遠のギター・ポップ・バンド、ティーンエイジ・ファンクラブ。エヴァー・グリーンな歌心を失わない彼らが、5年ぶりの新作で目指したサウンドとは? 8年ぶりの単独来日公演を10月に控える中、新作の内容からメンバーのサイド・プロジェクト、今や20年以上の活動歴となったバンドが長く続く秘訣までを、ノーマン・ブレイクに聞いた。

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ザ・ヴァセリンズ

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THE VASELINES

聴いたらすぐに「これはヴァセリンズだ!」って
思ってもらえるようなアルバムを作りたかったんだ


ニルヴァーナのカート・コバーンが憧れたことでも知られる80年代の伝説的グラスゴー・バンド、ヴァセリンズが奇跡の再結成を行ない、さらになんと21年ぶりとなるセカンド・アルバム『Sex With An X』をリリース! ミュージシャンとして成長しながら、当時と変わらないエネルギッシュな作品を作り上げたバンドの中心人物のユージン・ケリーとフランシス・マッキーの2人に、待望の新作で目指したサウンドについて聞いた。

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Photo by Wattie Cheung

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PARAELE STRIPES

音楽がないと生きていけないというのが当たり前の世界で
何をするにつけても音楽が必要だなというか


音楽シーンの中心から遠く離れた福岡で、とびきりハイテンションなダンス・ミュージックが鳴らされている。アメリカ帰りのイケメン・Marsと、実に今の日本らしいオタク・松下の二人組によるパラエル・ストライプスが先ごろリリースしたミニ・アルバム「feyz」は、ポップのときめきと独立独歩な姿勢の逞しさが共存するたまらない内容だった。そんな充実作を引っ提げてツアー真っ最中の彼らだが、ヴォーカルのMarsに電話インタヴューを敢行した。

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イルリメ

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ILLREME

音を出して、レスポンスを受けて、また自分が反応する
そんな音楽の空間を作っていってる感じ


リリースから数ヶ月たったイルリメの最新5曲入りミニ・アルバム「360° Sounds」だが、未だにその新鮮さはまったく色あせないどころか、彼の最近の活動ぶりを見聴きしても(していなくても)、「新しいフェイズ」のスタート地点としての重要度をますます増しているように感じられる。

<夢中になったら始めとけ。その気があるやつ音鳴らせ。次の時代がやってくるぜ。新しい音が見たいんだ>

収録曲「We Are The Sound」の一節。これは、まさにそんな姿勢のトリガー(引き金)となる音源(レコード)ではないか。数ヶ月前、「360° Sounds」リリース直前(このサイトが「プレ・オープン」する少し前)のイルリメに話を聞いた。話の内容としても全然古くなっていない(というか、オープンに際するドタバタによりアップが激しく遅くなってしまい、本当に申し訳ありませんでした...)のみならず、そこで語られている姿勢を捕捉するような、最新情報も添えてお届けしよう。

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I AM KLOOT

曲の主人公たちは、夜空を見上げながら、多くの場合は
まだ答えを探している段階で、結論まで至っていない


現代きっての吟遊詩人...もしくは孤高のソングライターと評されてきたジョン・ブラムウェル率いるバンド、アイ・アム・クルート。2001年にウィー・ラヴ・ユー・レコーズからファースト・アルバムをリリースした頃は、キングス・オブ・コンビニエンスやコールドプレイらと並ぶ「ニュー・アコースティック」勢のひとつにカテゴライズされていた。彼らはマンチェスター出身。当時その町で話題になっていたアーティストにたとえるなら、バッドリー・ドローン・ボーイに通じる部分も。当時クッキーシーンに掲載されたインタヴューで、ジョンはこんなふうに語っている。

「ソングライティングを始めたきっかけのひとつは、ブレヒトの『Mack The Knife』(注:クルト・ワイルが作曲を手掛けた『三文オペラ』劇中歌)。あの曲は、まるで自分の一部のように思える。泥棒や、くず拾いや、ヤクザものが、一斉に迫ってきて、うなったり、ささやきかけてくる。俺は、伝統の中でいつの間にか埋もれてしまい、あまり顧みられなくなった音楽を現代によみがえらせたい。棍棒や、銃や、レンガをかざして。そういった曲は、松葉杖をついているか、車椅子に乗ってやってくる。以前、俺のことを、病気によるひどい内股のジーン・ヴィンセント(注:波乱の人生を送った50年代のロックンローラー。露悪的だが真摯な"うた"を不自由な身体で歌いつづけた故イアン・デューリー、も彼に捧げる『スウィート・ジーン・ヴィセント』という曲をやっていた)と形容するレヴューを見たけど、すっげえ気に入ったよ(笑)」。

あれから、もう10年近く。その志向性にふさわしい渋みや年輪も身につけたアイ・アム・クルートが、明らかに最高傑作と思える5作目のオリジナル・アルバム『Sky At Night』を完成させた。同じマンチェスター出身の盟友エルボーのメンバーがプロデュースを担当している。日本にはあまり情報が広く行きわたっていないようだが、エルボーは本国では相当の人気バンドだ。そして、これまでイギリスやヨーロッパで着実に評価を高めてきたアイ・アム・クルートの道程を祝福するかのように、『Sky At Night』は全英トップ20に迫るヒット・アルバムとなり、マーキュリー・プライズの「2010 Albums Of The Year」にも選ばれてしまった。いや、そんなことより、あるビッグなアーティストがこんなふうに語っているという事実のほうが、アイ・アム・クルートの魅力を日本のロック・ファンに伝える手段としては、より適確なのかもしれない。

「ジョン・ブラムウェルは、この10年でこの国が生み出した、最も優れたソングライター4人のうちの1人である」(ピート・ドハーティ)

アコースティックかつソウルフルな魅力にもあふれた『Sky At Night』は、なぜ「深遠でありながら同時にポップであり、不思議な軽やかさ...風通しのよさを感じさせる」のか? その「塩梅」の秘密に少しでも迫るべく、ジョンに聞いた。

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