Top 50 Albums 2015

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 さて、まずは伊藤分から。フル・アルバムで「再発ではないもの」から選んだ。日本でいうところの「ベスト・アルバム」も外したかったが、ひとつだけ入ってる。いわゆるアイドルのやつ。聴いた回数がそれなりに多かったので、正直に(笑)。2015年クッキーシーンのレビュー記事、もしくはインタヴュー記事で取りあげたディスクに関しては、リンクがはられています。

 そして、リンクのないもの(アーティスト名とアルバム・タイトルが青文字になっていないもの)の解説をいくつか。モーション・シティー・サウンドトラックは、メジャーのコロンビアからインディーのエピタフに戻って、2作目。中心人物ジャスティンには、たしか2015年に子供が産まれた。それでも決してふぬけてしまうことなく、いい感じのアルバムを作ってくれた。スコットランドを代表する「うたもの」ロック野郎のひとりダニエル・ワイリー最新ソロは、内容も良かったし、偶然ELOのジェフ・リン(や、ノエル・ギャラガー)と「名義の扱い」が似ているのも興味深かった。20位と33位は、どちらも元ピンク・フロイド。そして日本のヒップホップ・アーティストECDのこれは、もしかすると彼の最高傑作かもしれない。いわゆる、時代が彼に追いついたってやつ? いや、違うな。彼は、これからも先を行ってくれるに違いない。

Hidetsugu Ito's Top 50 albums of 2015

1. Belle And Sebastian『Girls In Peacetime Want To Dance』
3. ECD『Three Wise Monkeys』
6. Motion City Soundtrack『Panic Stations』
9. Daniel Wylie's Cosmic Rough Riders『Chrome Cassettes』
11. Avicii『Stories』
14. Deerhunter『Fading Frontier』
16. Gang Of Four『What Happens Next』
17. Asian Kung-Fu Generation『Wonder Future』
20. David Gilmour『Rattle That Lock』
22. Yo La Tengo『Stuff Like That There』
24. Built To Spill『Untethered Moon』
26. Hurricane #1『Find What You Love And Let It Kill You』
28. The Vaccines『English Graffiti』
30. Mercury Rev『The Light In You』
31. 浜田省吾『Journey Of A Songwriter - 旅するソングライター』
32. Wilco『Star Wars』
33. Roger Waters『The Wall』
34. The Strypes『Little Victories』
36. cero『Obscure Ride』
37. サザンオールスターズ『葡萄』
40. !!!『As If』
41. Palma Violets『Danger In The Club』
42. トリプルファイヤー『エピタフ』
44. Circa Waves『Young Chasers』
45. Jaga Jazzist『Star Fire』
46. Modest Mouse『Strangers To Ourselves』
47. Smallpools『Lovetap!』
48. 乃木坂46『透明な色』
49. Richard Thompson『Still』
50. The Orb『Moonbuilding 2703 AD』

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「音楽を聴き始めて30周年!」だなんてしみじみするヒマもないほど、あっという間の1年だった。あの頃の僕が、いまの自分を見たらなんて言うのかな? 「フツーに働きやがって。どこがパンクだよ!」ってガッカリされるかも。そして、いまの日本と世界を見渡したら? 間違いなく絶句するだろうな、2015年。それでも僕は音楽を聴き続けているよ。ニュー・オーダーとブラーが新作をリリースして、ライドが復活した。キース・リチャーズはしっかり生きている、とかね。

「いまも新しい歌が生まれ続け、不変のグルーヴが鳴り続けているよ」と今の僕。「そんなの当たり前だろ!」って言われたり。でも、僕はそんな当たり前が少しだけうれしかったりする。

 というワケでTop 50を発表します!...と言いたいところだけれど、犬飼だけTop 30にさせていただきました。 超個人的な「30周年」にちなんだってことではなくて、この1年にしっかり聴くことができた新譜は50枚もなかった。その中でランキングを考えながら厳選した結果、30枚になりました。ごめんなさい! でも、これからもずっと聴き続けられるアルバムばかりだと思っています。

 その名のとおり越境し続けるキャレキシコ、「やんちゃで元気」というスーパーグラス時代のイメージをクールに裏切るギャズ・クームス、真っ黒なジャケットとは裏腹に〝音楽で鮮やかな色彩〟を放つアラバマ・シェイクス、メンバーを失いながらも歩み続けるシャーラタンズ。そして、ブラック・ミュージックとオルタナティヴ・ロックの境界線を揺さぶるヤング・ファーザーズ。

〝ポップ〟と言い切れるほど開かれた音楽が、何度も僕の背中を押してくれた。〝Let The Good Times Never Be Ending〟が希望ではなくて、実感としてありますように。そんな感じでストーン・ローゼズの来日がアナウンスされたばかりの2016年へ!

Ichiro Inukai's Top 30 albums of 2015

1. Young Fathers 『White Men Are Black Men Too』
2. Calexico『Edge Of The Sun』
3. Gaz Coombes『Matador』
6. God Help The Girl(OST)
8. Bjork『Vulnicura』
10. Belle And Sebastian『Girls In Peacetime Want To Dance』 
11. Jamie xx『In Colour』
13. Blur『The Magic Whip』
14. Jim O'rourke『Simple Songs』
17. Battles『La Di Da Di』
18. Keith Richards『Crosseyed Heart』
19. Sherwood & Pinch『Late Night Endless』
21. FFS『FFS』
22. Refused『Freedom』
23. The Cribs『For All My Sisters』 
25. Public Image Limited『What The World Needs Now...』
29. The View『Ropewalk』
30. Madonna『Rebel Heart』

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 優れたポップ・ミュージックは、広く知れわたるだけでなく、長い時を越えて受け継がれていくものだ。つまり、共時性だけでなく、通時性もなければいけない。これは、共時性を同時代性、通時性を先見性に言いかえても成立する話ですが、このことについて、筆者の体験もふまえて少し話したいと思います。

 ここ最近、バンドキャンプやサウンドクラウド、さらにはライヴハウスの物販やレコード・ショップで、YouTubeなどの動画サイトがモチーフと思われるジャケットをよく見かけます。それは〝今〟に相応しいデザインだと思いますし、同時代性という点だけでいえば、もちろんアリです。でも、そのほとんどは、同時代性〝だけ〟なんですよね。正直それだと、流行や時代に媚を売ってるだけなので、すごくサムい。そんなサムい作品と出逢うたびに筆者は、〝創造するだけでなく、想像するのも表現者の仕事でしょ?〟と、嘆息してしまいます。

 では、同時代性と先見性を兼ね備えた作品とは? 2010年代にリリースされた作品のなかでは、M.I.A.のサード・アルバム『/\/\ /\ Y /\』(2010)がそれです。『/\/\ /\ Y /\』は、インターネットをテーマにしたアルバム。2010年にもなればインターネットは一般化していたから、このテーマ自体は斬新というわけじゃなかった。でも、歌詞が秀逸だった。いま、インターネットやソーシャル・メディアを駆使して、世界中に恐怖と憎しみをバラまいている過激派組織「イスラム国」が跋扈していますが、そうした現況が来ることを予見していたかのような言葉がたくさん並べられている。また、その現況が来ることに抵抗する姿勢があるのも素晴らしい。リリース当時は、ピッチフォークが4点台をつけたりと、あまり評価されなかった作品です。それでも筆者は、「何もわかってないな!」と、ひとり怒りながら『/\/\ /\ Y /\』に夢中でした。今となっては、良い想い出でございます。

 というわけで、今回のベスト・アルバム50は(も)、〝同時代性と先見性〟を評価基準にしました。いま聴かれているのはもちろんのこと、後々2010年代のポップ・ミュージックを振りかえったとき、〝◯◯はああいう音を鳴らしていたよね、ああいうことを歌っていたよね〟といった具合に、未来のリスナーに再発見されるであろう50枚です。

 たとえば、ねごとの『VISION』と、Base Ball Bearの『C2』。この2作品、いまだBPM170以上の4つ打ちを基調とする曲で溢れかえる日本のロック・シーンに一石を投じる内容だと思うのですが、どうでしょう? この2作品に共通するのは、4つ打ちも含めた多彩なリズム・パターンが際立ち、ゆえにグルーヴも豊穣な点。この点に筆者は、同時代性と先見性を見いだしました。

Masaya Kondo's Top 50 albums of 2015

3. Art Melody『MOOGHO』
6. KOHH『Dirt』
7. Kendrick Lamar『To Pimp a Butterfly』
19. Le1f『Riot Boi』
20. SHINee『Odd』
22. Arca『Mutant』
23. 水曜日のカンパネラ『ジパング』
26. Justin Bieber『Purp』
27. 前野健太『今の時代がいちばんいいよ』
28. Tame Impala『Currents』
30. 沖ちづる『わたしのこえ』
32. Basic Soul Unit『Under The Same Sky』
33. Blanck Mass『Dumb Flesh』
35. Girl Band『Holding Hands With Jamie』
36. Deerhunter『Fading Frontier』
37. Base Ball Bear『C2』
39. cero『Obscure Ride』
42. サカナクション『懐かしい月は新しい月 〜 Coupling & Remix works 〜』
43. SEKAI NO OWARI『Tree』
46. Vilod『Safe In Harbour』
47. Floating Points『Elaenia』
48. RP Boo『Fingers, Bank Pads & Shoe Prints』
50. Glim Spanky『Sunrise Journey』