伊藤英嗣: January 2014アーカイブ

2014年1月31日

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2014年1月31日更新分レヴューです。

シャムキャッツ「MODELS」
2014年1月31日 更新
KERRIDGE『A Fallen Empire』
2014年1月31日 更新
二階堂和美『ジブリと私とかぐや姫』
2014年1月31日 更新
rega『DISCUSS』
2014年1月31日 更新

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Temples-Sun-Structures.jpg

 昨年のEPで、「おお、なんだ、こいつら? すっげーよくないか?」と猛烈に感じさせてくれた、UKの田舎...地方都市バンド、テンプルズ。先頃リリースされたファースト・アルバムを聴いて、その思いはさらに強くなった。こうやって50分以上のアルバムを何度プレイしても全然飽きがこないどころか、さらに聴きたくなってしまう。極めてポップなメロディーの魅力が、それに大きく寄与している。なんというか、とても間口が広いのだ。


 そんなこともあって、ぼくはこのアルバムから突然「グループ・サウンズ」などという言葉を思いだしてしまった(ここ日本での習慣にのっとって、以下GSと略す。まあ、これは「ほぼ」日本でしか通用しないタームですが:笑)。


 古い記憶をたどれば、70年代、とりわけそのブームが下火になったころの日本で、GSは「ダサいもの」の象徴だった。メンバーたちの思いは考慮にいれず巨視的に見てしまった場合、「ビートルズ以降にロックの本場である英米で起こったバンド・ブームを芸能界が商業的にとりいれたもの」というマクロな図式が、誰の目にも明らかな形で提示されてしまっていたから。


 しかし、80年代のレア・グルーヴ・ブーム以降に再評価されていくなかで、GSのもうひとつの(いわば、ミクロ面の?)本質がクローズ・アップされていった。60年代なかば以降のUSで、まさに雨後の筍のごとく登場した、いわゆるガレージ・ロック/ガレージ・サイケデリック・バンドとGSは、実は音楽的にとても近かったのではないか?


 そんな評価の流れにとどめをさしたのは、70年代の末ごろからリヴァプールをベースにガレージ・サイケデリックな音楽をやりつづけてきたジュリアン・コープが07年に本国で出版した『ジャップ・ロック・サンプラー(Japrocksampler)』。「ジャップ」という単語が日本人に対する蔑称として(とくに第二次世界大戦を経験した世代とかに)一部で使われていたことは、たぶん彼も知っているだろうが、彼はそれより10年以上前に『Krautrocksampler』という本も出している。その書名はドイツのファウストというバンドの「Krautrock」という曲名からとられている。その造語には、実は「イギリス人がドイツ人をみたときにありがちな、ちょっとバカにするっぽいニュアンス」もこめられていた(つまり、ファウストにしてみればある種の「自虐的」センスをこめたものだった。まあ、80年代の日本に、ジャップ・レコーズというパンク・レーベルがたしかあったことと同じように:笑)。


 『Krautrocksampler』出版後、ファウストやカンやノイなど、ドイツの60年代~70年代ガレージ・サイケデリックをクラウトロックと呼ぶことが、世界中で定着した。ジュリアンの思いとしては、『Japrocksampler』はその「続編」という意識があったはず。対象に近寄りすぎることのない「客観性」に貫かれた(UKっぽいブラック・ユーモアもまじえつつ)作られたガイド本。もしかすると「専業評論家」にはできなかったもしれない優れた仕事を、彼は10年という時間の流れをへて、2度もなしとげた。残念ながら(少なくともここ日本では)ジャップロックというジャンル名は決して定着しなかったものの、ぼくはあえて(もう一度)こう言いたい。


 テンプルズの音楽って、まるで「最も優れた60年代~70年代前半のジャップロック(もしくはGS)が、今の空気をいっぱい吸いこんで突然変異を起こしつつ、現代に甦ったようだ」と!


 ここまで書き進んだ今、昨年クッキーシーンに載った彼らの「Shelter Song」EPのレヴューをチェックしてみたところ、筆者である(ぼくと同じく日本人の)森くんも、その音楽からGSを連想していたらしい。やっぱ、そうだよね...と同意しつつ、彼らは「自らの音楽をネオ・サイケデリックと称している」とも書いてあった。


 なるほど。ちなみに、この「ネオ・サイケデリック」というターム、80年代の日本では(主に『フールズ・メイト』誌をとおして)ちょっと日本独自のイメージをまとっていったのだが、もともとUKでは70年代末ごろ、先述のジュリアン・コープ率いるティアドロップ・エクスプローズや、彼らと同じリヴァプールのクラブ(エリックス)を根城にしてたエコー&ザ・バニーメンらの音楽を指すものとして使われはじめたものだった。


 なんとなく、感慨深い...。


 そして、もうひとつ。ぼくは、この音楽の開放感からGSを思いだしたのだが、昨年のEPもこのアルバムも1曲目は「Shelter Song」。シェルターって言葉と開放感は理論的に並立しないのでは? などという「自己つっこみ」に対する返答(笑)で、この原稿をしめくくりたい。


 だから、あれを思いだせばいい。


 やはりエリックス周辺から育っていったバンド、ペイル・ファウンテンズが80年代なかばに残した、傑作ニュー・ウェイヴ・ロックンロール・アルバム『...From Across The Kitchen Table』冒頭を飾る「Shelter」って曲の歌詞。《隠れてみよう、このちょっとしたシェルターに、ぼくと一緒にさ!》。朗々と歌われるその一節を聴くたび、とても広々とした風景が、なぜかぼくの頭の中に拡がっていった。


 『Sun Structures』は、まさにそんなアルバムだ。



(伊藤英嗣)

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ミツメ『ささやき』.jpg

 どこか異邦人の匂いがする。浮世離れしているというか、別の世界から奏でられた音というか、でもたまらなく親近感を感じる。ミツメのサード・アルバム『ささやき』のことだ。このバンド名から私は最初、手塚治虫の漫画『三つ目がとおる』を連想した。超能力を有した古代人「三つ目族」の唯一の生き残りである写楽保介の物語。名前が似ているからではない。シーンにおける孤高の立ち位置も似ている気がする。


 ミツメはこれまでの音源全てを自主レーベルから発表している。JAPAN TIMESのインタヴューでメイン・ヴォーカルの川辺素は、「僕たちは誰のコントロールも受けていない。できることはなんでも自分達でやりたい」と語っている。ドラマーの須田洋次郎によれば「まず曲をレコーディングしてネットで公開していた。(結成当初は)東京のインディー・シーンをよく知らなかった」という。ギターとシンセサイザーを操る大竹雅生はMOSCOW CLUBのメンバーでもあり、ベースのナカヤーンは近くソロ作を発表する。彼らの活動は柔軟かつ自由でどこにも属さない。


 本作で彼らはより彼岸に向かっている。もともと抑制されていた感情はミニマルでエレクトロなビートの奥へさらに後退している。エコーがかったヴォーカルはもやの中に隠れて、しかし、なお意味を失わない。現代の感性と技術で70年代のサイケデリック・ロックやファンク・ロックの空気感を表現しようとしたらこうなるのかもしれない。


 個人的にはアナログ・レコードA面からB面へのつなぎが白眉だった。A面ラスト、肉体性を削ぎ落とし精神性をダークに突き詰めたかのようなファンク・ナンバー「いらだち」から、続くB面1曲目、対照的に力強くポシティヴなギターが鳴らされるタイトル・トラック「ささやき」への流れ。この2曲から私は、プリンスが一度封印した『The Black Album』と次作『Lovesexy』をイメージした。


 彼らは情報過多のインターネット世代に生まれ、それを使いこなし活動しながらも、その音楽は過剰さを避け、音数を抑制していく。最新のネット上の音楽から影響を受けながらも、古典的なロックの方法論へ、その起源に近づいていく。逆にネット世代だからこそ容易なのだ。過去の音楽史を全て参照できる彼らの世代ならではの共通無意識を辿っていく。ユングの云う共時性の概念を思い出す。全ての事象が原因であり同時に結果でもあり等しくそこに在るのだ。



(森豊和)


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Katy B『Little Red』.jpg
 アルーナ・フランシス(アルーナジョージ)やジェシー・ウェアなど、ここ最近のイギリスには良質な歌姫がたくさんいる。ロンドン出身のケイティ・Bもその良質な歌姫のひとりだ。


 ケイティは10代の頃からヴォーカリストとして活躍し、2000年代半ば頃にベース・ミュージック・シーンで頭角を現した。DJ NG「Tell Me」、ジンク「Take Me With You」、ジーニアス「As I」といった曲に参加して、着実に知名度も得ていく。これらの作品がリリースされた時からベース・ミュージックを追いかけてきた筆者にとってケイティは、いわば "青春" みたいな存在。


 そんなケイティが多くの人に知られる大きなキッカケは、マグネティック・マンの『Magnetic Man』に参加したことだろう。この作品で全英アルバム・チャート5位を獲得したマグネティック・マンは、ベンガ、スクリーム、アートワークによるユニット。言ってみればベース・ミュージック界のドリーム・チームであり、そんなユニットにプッシュされたのだから将来は約束されたも同然。実際ケイティは2011年のデビュー・アルバム、『On A Mission』で全英アルバム・チャート2位を奪取した。


 さて、そうした成功を経てリリースされた本作『Little Red』は、前作以上にポップ・ソングとして聴かせることを意識した内容になっている。多くの曲が3〜4分台に抑えられ、ガイ・チェンバース、ジーニアス、ジョージ・フィッツジェラルドらによるサウンドはトランシーなグルーヴを生み出し、プロダクションも秀逸。全体的には昨今盛り上がりを見せるEDMに接近しながらも、「Next Shings」といった曲は90年代ハウスの要素を感じさせる。このあたりはおそらく、ディスクロージャーやゴルゴン・シティーといったハウス・ユニットが注目を集めるイギリスの音楽シーンに反応した結果だろう。


 また、ケイティは本作において、『On A Mission』と同様にソングライティング面でも奮闘している。5曲目「I Like You」以外は"Written"に彼女の名があり、そのせいかキャッチーな曲が多い。ヴァリエーションが少なくワンパターンなのは否めないものの、聴き手を一発で惹きつけるメロディーはとても親しみやすい。現時点では才能花開く、とまではいかないが、このまま順調に曲作りを経験していけばさらなる飛躍も可能だ。



2014年1月24日

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2014年1月24日更新分レヴューです。

AKKORD『Akkord』
2014年1月24日 更新
WARPAINT『Warpaint』
2014年1月24日 更新
reddam『Nighthawk Is Singing 1.2.3.4』
2014年1月24日 更新

2014年2月

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  • ローレル・ヘイロー

    私が初めてやった音楽の作業はサンプリングではなくて、合成(シンセシス)なの

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音楽配信サイト、オトトイ傘下TV♭(フラット)で絶賛放送中、テレヴィジョン・クッキーシーン。最新のものから昔のものまで、時代を超えていい曲(いいミュージック・ヴィデオ)をがんがん紹介しています。


全10曲程度で合計45分くらい(昔のLP1枚分くらい)のセットリストが、基本「隔週」木曜日22時に更新され、時間枠いっぱいに何度もリピート・ストリーミング放送中!


初回放送時、最初にセットリストが一巡するくらいまで、今回のセレクター伊藤がツイッターの個人アカウントから軽く(?)曲紹介をおこなう予定です...が、もしなにか緊急の予定が入ってしまったらできないかも(そうなったら、すみません...)。


2014年1月23日(木)から2014年2月5日(水)までの期間に放送される第42弾は、伊藤が「あるテーマ」をもとに選んだものですが、説明がちょっと(いろんな意味で)大変...(すみません:笑)。今回は「ナゾ」のまますませてしまうかもしれないですが、上記「ツイッター活動」時に(そこのみで)お伝えする可能性も高いです。


放送日時は以下のとおり。


1/23(木) 22:00-24:00 ※初回放送

1/24(金) 18:00-21:00 ※再放送(以下同)

1/25(土) 18:00-22:00

1/26(日) 22:00-24:00

1/27(月) 10:00-16:00

1/28(火) 13:00-18:00

1/29(水) 10:00-16:00


1/30(木) 22:30-24:00

1/31(金) 18:00-21:00

2/1(土) 18:00-22:00

2/2(日) 22:00-24:00

2/3(月) 10:00-16:00

2/4(火) 13:00-18:00

2/5(水) 10:00-16:00


なお、第43弾の初回放送は2月6日(木)22時スタート予定。


よろしければ、是非!


2014年1月22日22時12分(HI)

2014年1月20日

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2014年1月20日更新分レヴューです。

前野健太『ハッピーランチ』
2014年1月20日 更新
AXEL BOMAN『Family Vacation』
2014年1月20日 更新
MONOCHROME SET『Super Plastic City』
2014年1月20日 更新

2014年1月15日

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2014年1月15日更新分レヴューです。

NAVIGATEUR『S U R F A C E』
2014年1月15日更新 更新
CRUNCH『ふとした日常のこと』
2014年1月15日更新 更新
NEW GODS『Beloved』
2014年1月15日更新 更新

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音楽配信サイト、オトトイ傘下TV♭(フラット)で絶賛放送中、テレヴィジョン・クッキーシーン。最新のものから昔のものまで、時代を超えていい曲(いいミュージック・ヴィデオ)をがんがん紹介しています。


全10曲程度で合計35~55分くらい(昔のLP1枚分くらい)のセットリストが、基本「隔週」木曜日22時に更新され、時間枠いっぱいに何度もリピート・ストリーミング放送中!


初回放送時、最初にセットリストが一巡するくらいまで、今回のセレクター近藤がツイッターの個人アカウントから軽く(?)曲紹介をおこなう予定ですが、もしなにか緊急の予定が入ってしまったらできないかも...。


2014年1月9日(木)~2014年1月22日(水)に放送される第41弾について、近藤はこんなふうに言っています。


「一応今回は、『"ノスタルジック"で繋がる過去~現在~未来』といったコンセプトで選んでます。ここ最近何かに向けられた懐かしみではなく、"懐かしみ"という感情そのものを求めるような表現が多いなと感じるので」


放送日時は以下のとおり。


1/9(木) 22:00-24:00 ※初回放送

1/10(金) 18:00-20:00 ※再放送(以下同)

1/11(土) 20:00-22:00

1/12(日) 22:00-24:00

1/13(月) 13:00-16:00

1/14(火) 20:00-21:30 ←【1月13日追記】時間変更になりました。

1/15(水) 16:00-18:00


1/16(木) 22:00-24:00

1/17(金) 18:00-21:00

1/18(土) 20:00-22:00

1/19(日) 22:00-24:00

1/20(月) 13:00-16:00

1/21(火) 20:00-22:00

1/22(水) 16:00-18:00


なお、第42弾の初回放送は1月22日(木)22時スタート予定。


よろしければ、是非!


2014年1月9日7時36分(HI)

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