伊藤英嗣: March 2012アーカイブ

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オトトイで、ぼく(伊藤英嗣)がおこなっている講座をベースに、歌詞対訳の妙味をお伝えするこのコーナー、久々の更新となります。

というのも、実は(以前もそれをにおわせることをお伝えしましたが)あるレコード・レーベルから「権利関係の問題上、当社から音源をリリースしているものに関しては、このコーナーでとりあげないでほしい」という申し出があったりして...。

それは、納得のいくことではあります。歌詞の権利を持っているのはアーティストであり、それを無許諾で使いつつ「利益」をあげた場合、どう考えても理論的におかしい。ただ、たとえば趣味で、もしくは「評論」(とか「教育」など)のため(特にその一部を)使用/引用する場合は法律的にも認められる。また、歌詞対訳の場合、実は法律で保護されていない(日本における音楽著作権管理会社のもとじめ的存在であるJASRACも、歌詞対訳は管理外ということらしい!)ため、そういった「グレイゾーン」が、かなり大きくなってきます。

にしても、このままウェブで「歌詞対訳1曲まるごとフル・ヴァージョンを発表しつづける」のは、なんとなく(クッキーシーンとしては)気がひける...。

というわけで、このコーナー、これからもなんらかの形でつづけようとは思っていますが、それとは別に新しい企画を考えました!

オトトイ歌詞対訳講座の課題として提出していただいた作品をもとにして、同じオトトイから電子書籍を発行する予定です。2012年4月11日(水)から始まる「第3期」が終わるまでには発行の具体的アナウンスができれば、と思っています!

制作は、クッキーシーン編集部が担当します。ちゃんと調べて必要だった場合、アーティストには適切なパーセンテージをお支払いします。もちろん作品を使用させていただいた受講者のかたにもです(ただ電子書籍は価格が安い、そしてあまり売れるものでもないので「適切なパーセンテージ」ではあっても、とりあえず金額的には本当に驚くほど低い可能性が高いです...。まあ、そういった「システム」を体験していただくのも学習のうち...なのか?:汗)。

オトトイ歌詞対訳講座では、現在第3期の受講生を絶賛募集中です。講義内容としては、たとえば普段ぼくが(かなり断片的に)おこなっている対訳とか英語とかアーティストに関するツイートを、かなり濃密に体系的にまとめたようなもの...になると言えばいいのか...(アバウトな説明で、すみません...)。

興味があられるかたは、こちらをご参照のうえ、是非お申込ください!

その前に、第2期受講生のかたに提出していただいた「課題」のなかから、ぼくがとくに「いい!」と思ったもののうち、「曲を聴かなくとも、日本語の対訳だけ見ても、なんかおもしろいと感じるもの」を厳選しておとどけします(ついでに、ぼく自身の対訳も1曲まぎれこんでいます:笑)。もちろん、その曲を知ってるかたであれば、さらに楽しめるはず。

1「Astronomy Domine」ピンク・フロイド
(対訳:加納由紀子)
2「Harborcoat」R.E.M.
(対訳:澤美佐子)
3「Fall On Me」R.E.M.
(対訳:伊藤英嗣)
4「It's The End Of The World As We Know It (And I Feel Fine)」R.E.M.
(対訳:太田健介)
5「Man On The Moon」R.E.M.
(対訳:西山由里子)
6「Imitation of Life」R.E.M.
(対訳:卯月香名子)
7「Loaded」プライマル・スクリーム
(対訳:松井喜和)
8「Losing My Edge」LCDサウンドシステム
(対訳:太田健介)
9「North American Scum」LCDサウンドシステム
(対訳:小泉幸子)
10「If I Had A Gun」ノエル・ギャラガーズ・ハイ・フライング・バーズ
(対訳:小口瑞恵)

では、どうぞ!

2012年3月26日

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22-20s『Got It If You Want It』
2012年3月26日 更新
GRIMES『Visions』
2012年3月26日 更新
HOWLER『America Give Up』
2012年3月26日 更新
THE CINEMATIC ORCHESTRA『The Cinematic Orchestra Presents In Motion #1』
2012年3月26日 更新
SCUBA『Personality』
2012年3月26日 更新
TETA『Fototse Racines Roots』
2012年3月26日 更新
MADEGG「Teach」
2012年3月26日 更新
PASCAL PINON「Partywolves」
2012年3月26日 更新

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THE WEDDING PRESENT.jpg 結成27年目にして9枚目となる、4年振りのオリジナル・アルバムである。ソニック・ユースよりもエモーショナルな展開ときっちりとした演奏で、スーパーチャンクよりも腰を据えたミドル・テンポであり、デイヴィッド・ゲッジが掻き鳴らすノイジーなギターは、全編を通して変わらずかっこいい。録音時のバンド・メンバーは前作から大きく変わり、本盤を境にバンドを脱退するグラエム・ラムゼイと、ドラマーのチャールズ・レイトンが参加し、バック・ヴォーカルとベースをペペ・ル・モコという女性が担当している(和音ベースのフレーズが非常にかっこいい)。ミックスもイギー・ポップやザ・マーズ・ヴォルタ、近年ではレッド・ホット・チリ・ペッパーズやアデルなどのエンジニアに参加しているアンドリュー・シェップスが引き受けている。事実上ソロ・プロジェクト化しつつも、新しいバンド・メンバーやエンジニアを迎えることで、新人バンドの傑作セカンド・アルバムかと思わせるような、瑞々しい勢いを放っている。

 単純なテンポでは測れない疾走感があり、アルバムの最後まですんなりと聴き通せる。しかしながら構成や展開は複雑であり、テンポを急変させることで場面をがらりと転換させる手法が多く取り入れられている。「The Girl From the DDR」のアウトロで聴ける慌ただしくもコミカルな展開は、さりげないものの、本盤のハイライトの一つと思わせるほどに見事だ。天野明香という女性によるナレーションが印象的なラスト・トラック(国内盤はボーナス・トラック2曲収録)の「Mystery Date」でも同様の手法が使われており、イギリスからやって来た男性を誘うナレーションが唐突に流れるアウトロは、本盤全体のアウトロであると同時にイントロでもあるようだ。

 熟練のソング・ライティングを抜きにしても、ジャングリーなカッティング、暖かみのあるアルペジオ、ファズによるブーミーな単音フレーズなど、ギターの音色を追いかけているだけで十二分にわくわくできる傑作である。『SEAMONSTERS』の再現パフォーマンスが期待されている来日公演が待ち遠しい。

 

(楓屋)

 

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DJANGO DJANGO.jpg スコットランド出身のザ・ベータ・バンドとは、常にユニークな場所を行き来していた。1997年という、恵まれた(と敢えて、言ってもいいだろう)時期のデビューのときからゴメス、アラブ・ストラップ辺りと並べられながらも、クール・ブリタニアやブリット・ポップなどの冠詞を全くスルーして、好き放題にサイケもブルーズもヒップホップ、カントリー、フォークも程良いラフさも含めて、アシッドで居て、どこかファニーな雰囲気を保っていたバンドだった。EPを経ての1999年のファースト・アルバム『The Beta Band』では、オリビア・トレマー・コントロール、オブ・モントリオール、アップルズ・イン・ステレオなどのエレファント6、アセンズ周辺の無邪気なDIY精神と実験性と繋がるものがあったが、ベックが90年代半ばに魅せた秀逸なエディット・センスからすると、彼らの場合は出来る限り、ジャンルレスに投げかけたまま、音をそこに置いてくるという、良い意味での支離滅裂なサウンドが詰まってもいたといえる。

 その後も、作品を重ね、スタジオ・ワークで凝る『ペット・サウンズ』、『ソング・サイクル』化が強まったかのようなところも含み、幾層ものサウンド・レイヤーの中に馨り立つポップネスの純度やハモンド・オルガン、ピアノに混じったサンプリングやビート、リズム・センスなども併せて、2001年『Hot Shot Ⅱ』や2004年の『Heroes To Zeros』と、フリーキーさは若干、初期よりも抑えられながらも、デモーニッシュ且つ催眠的なアンビエンスには、英国の深奥たる森から聴こえる残響を追ってゆくと、カンタベリー・サウンドの脈も見え、キャラバン的な「Winter Wine」を飲むに相応しかった気がしたという、どうにも捻くれた不思議なバンドだった。時代が彼らに追い付かなかったのか、彼らが時代を巻き込みきれなかったのか、2004年に残念ながら、解散を迎えてしまうが、今現在において、アニマル・コレクティヴやフリート・フォクシーズといったアクトのみならず、そういったサイケデリアや催眠的な浮遊感には彼らの遺伝子が残っているとは個人的に思うだけに、再結成も望みたいバンドの一つだ。

 その元メンバーのスティーヴ・メイソン(Steve Mason)は2010年にリリースしたソロ名義のアルバム『Boys Outside』をデニス・ボヴェル(Dennis Bovell)と組み、ダヴィーにリワークした『Ghosts Outside』を昨年に出し、一定の評価を得るなど、じわじわと各々のメンバーの動きやザ・ベータ・バンドそのものへの再評価の動きもある。そして、極めつけは、元メンバーであり、現在はTHE ALIENSのジョン・マクリーンの実の弟でドラムを担当するデヴィッド・マクリーン(David Maclean)が中心となるバンドが、ファースト・アルバムを上梓したと聞いて、冒頭から不世出のザ・ベータ・バンドのことに触れられずにはいられなかった。

 しかし、このジャンゴ・ジャンゴは、2012年版にアップデイトされたザ・ベータ・バンドという名称は大まかには正しい箇所は散見されるが、当然、精緻には違う。彼らよりも屈託なく、捻くれた音響工作に凝り、ミニマルなビート・メイクへの注心、アート精神の発露の仕方がスマートなところが目立つからだろうか。既にシングル・カットされ、フロアーでもよくスピンされる「Default」は洗練されたポップとサイケデリアがチープな電子音とともに、トランシーな境地に持ってゆくダンス・ナンバーは何処かで聴いた方も多いかもしれない。その他、素朴なカントリー風味の曲でもどこかチューニングが抜けた、肩の力が入っていない曲や「Zumm Zumm」における民族楽器の交わりとリフレインされるフレーズの断片はフェラ・クティをリファレンスしたみたく、か細くもじわじわと肝を捉えるグルーヴィーさがあるなど、混沌たるサウンド・ヴォキャブラリーは持っており、中毒性もある。

 ブルックリン・シーンとは全く違う場所、ロンドンを拠点として、このデヴィッド、ギター / ヴォーカリストのヴィンセント・ネフ(Vincent Neff)、ベースのJimmy Dixon(ジミー・ディクソン)、シンセ、キーボードのトミー・グレイス(Tommy Grace)の4人からなるバンドは活動を行ない、トミー・グレイスがコンテンポラリー・アートやグラフィック・デザインの分野で活躍もしているということなどもあり、彼らのコンセンサスでもあるのだろうバンドとしての打ちだし方も如何にもアート的でクールな印象を残し、今、この現代への時差ボケは全くなく、交叉している。

 全体を通して、このフル・アルバムではUK側からのブルーズ、サイケ、フォーク、ジャム、カントリーなどアメリカーナへの畏敬も溢れつつ、アート・ロックとして深く潜り込むほどまでの地下までは掘らない奇妙な浅さがある。その「浅さ」が面白いともいえ、ライヴや作品を重ねてゆくことで、もっとネジの外れた要素を持ってくるのではないだろうか。ザ・ベータ・バンドが最初から混沌に潜り過ぎて、多くの地上者たちに発見されなかった部分を彼らなら補ってくれるかもしれない、と期待したい。こういうバンドがふとUKから出てくるものだから、やはり音楽からは目が離せない。

 

(松浦達)

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Clark『Iradelphic』.jpg まったく異なるものが交わり、新たな興奮が生まれる瞬間に立ちあえるのは、とても幸せなことである。例えばヨーロッパでDJ活動が文化的行為として確立されているのは、世界中の音楽を頭に詰めこみ、それらを出し入れして独自の音楽的文脈 / 価値観を表現できる存在として認められているからである。そんなDJ活動に対する敷居は、PCDJソフトの普及によってかなり下がったと言えるだろう。だが、"DJができる"ことと"DJで表現する"ことが別物なのは、言うまでもない。

 "DJで表現する"には、頭に音楽を格納する際にそのDJにとって指標となる情報や視点を付与し、異なる文脈を上手く接合しなければいけないからだ。このDJ的編集感覚は、DJの価値を高める謂わば特権的なものであったが、その編集感覚もいまや音楽リスナーのデフォルトになりつつある。こうした潮流に、クラークの約3年振りとなるアルバム『Iradelphic』は、呼応しているように感じる。

 本作を一言で表せば、"クラークであってクラークではないアルバム"だ。本作でクラークは、自ら積み重ねてきた歴史、そして自己批評性から抜けだすことに成功している。前作『Totems Flare』までは、過去からの飛躍と変化で驚きを提供してきたクラークだが、それはあくまでテクノを基点としたものだった。しかし極論を言えば、本作に前作との繋がりはほとんど見受けられない。収録曲の大半にアコースティック・ギターがフィーチャーされているのもそうだし、美しくも悲しい響きを持つピアノ・ソロが印象的な「Black Stone」、リズムが意識的に鳴らされている「The Pining」という3部作にしても、どこかスパニッシュな香りを感じさせるなど、様々な要素が混在している。そして、これら多種多様な要素にジャンルを定義する必然性は、もはや存在しない。

 本作のタイトル『Iradelphic』は、虹色を意味する"Iridescent"と、曖昧を意味する"Delphic"を掛けあわせた造語だそうで、"曖昧な虹色"と訳せるタイトルである。本作でクラークが試みているのは、自身もコメントしているように、「これまで僕が作ってきたもののように聴こえないもの。だけど紛れもなく自分だと思えるもの」だが、この無謀とも言える試みの成功によってクラークは、どこへでも行ける"自由"を獲得している。そして結果的に、従来の歴史や文脈を超越するチルウェイヴ以降の音楽と共振するアティチュードも身に付けてしまった。もちろん偶然の一言で片づけることも可能だが、クラークも情報に影響されることなどありえなくなった現代に生きるひとりの人間だ。偶然と呼ぶには、あまりにも出来過ぎではないだろうか。そして、ここまで述べてきたことを前提に言わせてもらえれば、本作は"音楽"としか呼ぶほかない作品であり、既存の音楽の在り方を根本から揺るがす問題作である。

 

(近藤真弥)

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Mindful Beats Vol2.jpg いま関西が面白い。例えば東京のインディー・シーンもUSインディーに影響される形で盛り上がりを見せているが、その東京とはちょっと違う雰囲気を、関西の音楽シーンからは感じる。

 筆者が気になるところでは、京都暮らしのYeYeにトリコ、それからザ・クリームズ。そのザ・クリームズのEPをリリースしたレーベル《Node》が今年の初めに開催したパーティーには、《Vol.4》を主宰するLimited TossとD.J. Fulltono、そしてザ・クリームズを率いるNaorockが一緒に出演するなど、興味深い繋がりもある。筆者は関西の音楽シーンについて詳しいわけではないが、ここ最近の関西から出てくる音楽が面白いものであることは自信を持って言える。そんな関西において、主宰者であるSeihoの『Mercury』をリリースし、一躍注目レーベルに躍り出た《Day Tripper》から、mfpによる『Mindful Beats Vol.2』がリリースされた。

 mfpは、ジャイルス・ピターソンが主宰する《Brownswood》のコンピレーション『Brownswood Electric 2』にも曲を提供した新進気鋭のビート・メイカーだが、本作ではヒップホップを下地にしながら、ハドソン・モホークラスティーに近いキラキラとしたスペーシーな音色を鳴らしている。ハドソン・モホークとラスティーに共通するのは、ストイックになりすぎない実験精神と、聴き手に驚きを提供しようとするサービス精神だが、このふたつが本作にも感じられる。そしてなにより、LAビート・ミュージックのようなグルーヴと時折見せるディープな雰囲気。これらが交わり生みだされる音楽は、フレッシュでハイな高揚感を聴き手にもたらしてくれる。さらに飛び道具だけではない"ハマる"タイプのトラックもあるなど、mfpの音楽的多様性が遺憾なく発揮された本作は、mfpをさらなる高みへ導いてくれるはずだ。

 

(近藤真弥)

2012年3月19日

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2012年3月19日更新分レヴューです。

夜夜『曲芸』
2012年3月19日 更新
BROKEN FINGERS『BF Juke 4』
2012年3月19日 更新
NINA KRAVIZ『Nina Kraviz』
2012年3月19日 更新
ME AND CASSITY『Appearances』
2012年3月19日 更新
EGOISTIC 4 LEAVES『Aluva』
2012年3月19日 更新
BATHS『Pop Music / False B-Sides』
2012年3月19日 更新
LILLIES AND REMAINS『Re/composition』
2012年3月19日 更新
窪美澄『晴天の迷いクジラ』書籍
2012年3月19日 更新

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先ほど、サーバーの管理会社より、弊サイトの検索部分に負担がかかっており、同サーバー上にあるほかのサイトにも迷惑がかかっているのでいったん検索機能を停止する旨の連絡が届きました。

かなりの数のアクセスを見こんで作ったつもりだったのですが、ここのところ、当初の想定以上のアクセスが集中しているようです。

なるべく早めの対応を予定していますが、諸般の事情により多少時間がかかってしまうと思われます。ご不便をおかけしますが、どうかご了承ください。

すみません!

2012年3月12日(月)4時35分 (HI) 

2012年3月

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  • オーウェン vs リョウ・ハマモト

    それって、ずいぶん難しいカヴァーなんじゃないの(笑)?

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「Private Top 10s of 2011」のほう、アップがむちゃくちゃ遅れています。本当に申し訳ありません...。

この部分はアップ作業が大変ややこしく、編集長の伊藤が主にそれを担当しているのですが、なかなかそれをおこなう時間がとれない...という感じです...。

なるべく早めに、必ずアップしますので、もう少々お待ちください...。すみません!

2012年3月8日(金)0時43分 (HI) 
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