伊藤英嗣: July 2011アーカイブ

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当サイトは、昨年5月に(ヴァージョン4として)リニューアル・オープンした前後約数ヶ月は山本徹さんと伊藤による、そして昨年7月ごろからは小熊俊哉と伊藤による、ふたり態勢で編集作業をおこなってきました。それが、このたび新たに4人の大所帯として運営していくことになりました。

「経済的に潤ってきたからひとが増えた」わけではありません。むしろ、その逆(笑)。

これまでは「少しでも早く、運営費だけはまかなえるように...」ということでがんばってきたのですが、その「少しでも早く」という部分を放棄し、「なるべく近い将来に(なんとか2、3年後には...)」という目標に変更しました。

ただし、このサイトは「個人ブログ」ではありません。あくまで「メディア」として、今まで以上にvolunteeredな姿勢を強めつつ、名実共に(って、別に、認可を申請するつもりはさらさらないですが!)NPO(Non Profit Organization)として活動できるよう、もう少し余裕を持って(?)がんばっていきたいと思います!

新しい編集部員となるのは、まだ大学を卒業したばかり(23歳になったばかり)の近藤真弥、ついこのあいだ30歳になった吉川裕里子(雑誌時代のクッキーシーンで、2年ほどパートタイム編集者として活動してもらったこともあります)、そして輝かしきアラフォー世代の犬飼一郎。これに、ほぼアラフィフ伊藤を加えて、4人。世代的にもいい塩梅のスペクトラムを構成しているかと(笑)。

小熊くん(彼も、まだ20代前半です)、約1年間、本当におつかれさまでした! コントリビューターとして、これからもよろしくです!

近藤くん、吉川さん、犬飼さん、これからいろいろご迷惑をおかけすることもあるかとは思いますが(だいたい、なにより、いろいろ更新が遅れるのは、伊藤の多忙のせい...。ただし、そこにおける精神的苦労の少なくない部分が、サイト主宰者として「いろいろ考えなきゃいけない」ということだったり...)、よろしくです!

そして、なにより読者のみなさん、これからもクッキーシーンを、よろしくお願いします!

P.S. なお、クッキーシーンは「決してエスタブリッシュメントには、ならない」というパンク/ポスト・パンクの姿勢をいまだに継承しているため、わざと「体制」ではなく「態勢」という表現を使ってみました。♪This is a song from under the floorboards...(by マガジン)...みたいな(笑)。

2011年7月28日7時41分(HI)

2011年7月29日

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2011年7月29日更新分レヴューです。

GLASVEGAS 『Euphoric///
Heartbreak\\\』

2011年7月29日 更新
WU LYF 『Go Tell Fire To The Mountain』
2011年7月29日 更新
FIGURINES『Figurines』
2011年7月29日 更新
VARIOUS ARTISTS『TB Or Not TB』
2011年7月29日 更新
くるり『ベスト オブ くるり / Tower Of Music Lover 2』
2011年7月29日 更新
HEAVENSTAMP「Stand By You - E.P. + Remixes」
2011年7月29日 更新
『SUPER 8 / スーパーエイト』映画
2011年7月29日 更新
CHANNEL IN CHANNEL OUT 『The Author And The Narrator』
2011年7月29日 更新

2011年7月26日

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2011年7月26日更新分レヴューです。

ATARI TEENAGE RIOT 『Is This Hyperreal?』
2011年7月26日更新
BRIAN ENO AND THE WORDS OF RICK HOLLAND 『Drums Between The Bells』
2011年7月26日更新
EMA 『Past Life Martyred Saints』
2011年7月26日更新
SEAPONY 『Go With Me』
2011年7月26日更新
環ROY 『あっちとこっち』
2011年7月26日更新

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先日おこなわれた標題のイベントですが、ユーストリーム配信の(微妙な)「失敗」の衝撃により、ご報告が遅れてしまい申し訳ありません。

ご覧になっていただけたみなさん、本当にありがとうございます!

前回のロフトAからオトトイに場所を移して開催した、この「洋楽トーク」第2回には、クッキーシーン・ムック第2弾のプロモーション・イベントという意味合いもありました(だから、ムックの「サイドAA」...文字が縦組になっている部分...にあわせて、テーマを「80年代」としたわけです:笑)。

その発行元であるCDジャーナルのサイトのニュースで、当日の模様が紹介されています

この「サエキけんぞう×クッキーシーン presents 洋楽トーク」、今後も半年に1、2回くらいはおこなっていきたいと思っています。

今後とも、よろしくお願いします!

2011年7月14日10時56分(HI)

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今回の「表紙」にフィーチャーされたのは、日本先行で初のセルフ・タイトルとなる新作を(まずはタワーレコードから)リリースした(その他のお店では27日に発売となる)ハー・スペース・ホリデイ。彼のインタヴュー記事は、こちら

「DLすると横幅が1500pixel」となる画像をアップしました。あなたのPCの壁紙に使えるかも?

2011年7月13日15時05分 (HI)

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HER SPACE HOLIDAY

結局、終わりが訪れることには変わりがない
それならお祝いで終わりにしよう


梅雨も明け、これからの季節にふさわしいアルバムが、絶妙なタイミングでリリースされた。90年代後半から、その名を冠して活動をつづけてきたマーク・ビアンキによるひとりユニット、ハー・スペース・ホリデイ、初のセルフ・タイトル・アルバムだ。

これまでにブライト・アイズやザ・ゴー・ティーム、ピンバックやボブ・モウルド(元ハスカー・デュー)とツアーを行い、R.E.M.からブーム・ビップまでのリミックスを手がけてきたハー・スペース・ホリデイだが、この『Her Space Holiday』がファイナル・アルバムとなる。

ベッドルーム・レコーディングのドリーミー・ポップからエレクトロニカをへて、フォーキーなオーガニック・ポップに至った彼(ハー・スペース・ホリデイとなる前には、ハードコア・バンドにも所属していたという)の、まさに集大成的な作品となっている。

アンセミックとさえ言える美しい"うた"の数々は、アコースティックな演奏とあいまって、とてもオープン。晴れわたった夏の空が目に浮かぶようだ。これが「最後の」アルバムなのに?

7月のある晴れた日、マークに電話インタヴューを試みた(注:伊藤英嗣が質問を作り、中谷ななみさんが話を聞いています)。

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naomigorokikuchi.jpg  ボサ・ノヴァが緩やかにアメリカのミドルクラス・サイドのラウンジ・ミュージックへと回収され始めた1960年代初頭、本来持っていたブラジル発信の「ボサ・ノヴァ」の持つ先鋭性や反骨の要素因子は如何せん対象化されていたところがあったのは否めない。元来、ボサ・ノヴァはリオの海岸地方に住んでいたジョビンなどを筆頭に台頭した「うたごころ」も備えたものであり、同時期に行き交ったジャズ・サンバは、マンフレッド・フェスト辺りのジャズ側からのアプローチに伴うブラジルのリズム感覚に沿ったモダン・ジャズと言えた。としたならば、いまだに名盤扱いされている63年にレコーディングされた『Getz/Gilberto』という作品は、どのような場所での座標軸を定めるべきなのか、曖昧にされている領域があり、曖昧にされることでマスターピースに成り得ているともいえる。ボサ・ノヴァの歴史のコアを担う錚々たる面々、ジョアン・ジルベルト、アントニオ・カルロス・ジョビン、ミルトン・バナナなどに混ざって、白人の当時は少し人気が凋落気味だったスタン・ゲッツがテナー・サックスを持ち込むというボサ・ノヴァとジャズの関係性の複雑さをポップネスに漂白した形で落とし込んだアルバム。世界的にはブレイクし、尚且つ、それまでボサ・ノヴァやジャズ・サンバに疎い多くのリスナーも「巻き込んだ」と言えば、響きはいいものの、この作品によって、ボサ・ノヴァの商業化に拍車化を掛け、必ずしもクールやアンクールでは語られない音楽形式(ボサ・ノヴァは形式ではなく、アティチュードだった)であるはずなのに、70年代に入り、緩やかなアンクールの称号がアメリカを中心にして消費されてしまったのは周知の歴史かもしれない。

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  今回、Naomi&Goroが菊地成孔とコラボレーションして、この『Calendula』をリリースする運びになったが、現在でも今作を巡って行き交う多くの音楽評は『Getz/Gilberto』的な磁場を巡るものだったりする。Naomi&Goroといえば、布施尚美女史と伊藤ゴロー氏からなる本格的に且つオーセンティックにボサ・ノヴァを追求するデュオであり、その世界観はほぼ確立もされている。そこに、あのプロデューサーとしてのセンスも長けており、ときに蠱惑的なサックスを吹くジャズメン、菊地氏の参加がどういった影響が起こるのか、正直、僕は不安が募った。しかし、結論から言うと、お互いがお互いを牽制し合っていないという意味に沿って、艶めかしい涼やかさを感じる内容になったのは好ましい。ここに、イージーリスニングやヒーリングの成分やCTI辺りの空気を見出せる人たちもいるのだろうが、もっと良質な音楽そのもの豊かさを取り戻そうとする蛮性もある。選曲にしても、書き下ろしの曲やジョビンなどの曲のみならず、流麗に再構築されたプリファブ・スプラウトの「The King Of Rock'n Roll」や叮嚀に纏められたホール・アンド・オーツの「One On One」、布施女史の声が柔らかく弾み、ピアノとサックスのミニマルな絡みが美しいブリジット・フォンテーヌの「Brigitte」などベタながら、興味深い11曲が収められている。欲を言えば、菊地氏絡みのワークであるならば、UA×菊地成孔のときのような「Over The Rainbow」のような大胆なアレンジがあっても良いと思ったが、そこを抑制の美で纏めたところは菊地氏がNaomi&Goroの良さを引き立て、尚且つ、彼らが菊地氏により有効なフィードバックをもたらすような「関係性」が「Getz/Gilberto的な何か」ではない形で良い方向性を向いているということを表象している気はする。個人的には、「イパネマの娘」のようなサービス・トラック(勿論、これが入口になってもいいと思うが)は入れなくても良いのではと感じたりもするが、"ボサ・ノヴァ×ジャズ"といった距離感へ訝しさを持つリスナーやフラットに軽やかで流麗な音楽を聴きたいリスナーにとっては「感性のクールダウン」を要求させるという意味で、2011年の「今」に相応しい音楽になったという気がする。

  不穏な時代こそ、こういった透き通った質感を持った音楽が個々の感性に風穴を開けて、空気を送り込み、"三月の水"を飲める逃避行へと導くべき路を示すとしたら、ひとまずこの作品の上梓を僕は喜びたいのとともに、大きな音で静かに聴きたい内容になったのには快哉を叫びたい。

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  最後に、このアルバムを聴いて、ジョルジョ・アガンベンの「インファンティア」という言葉を喚起した。インファンティアとは、「非言語的」ではある訳だが、言語がそこを前提として成立していくような「閾(いき)」ある。そこで、言葉は「閾」から、何かしらの新しい衝動を獲得して、言語的な何かに向かって生じるものである。だからこそ、「歴史を語る」にしても、美術表現にいたるのも、そもそもが「インファンティア」に発し、「インファンティア」に根付いているものなのだとしたら、この作品はしっかりとインファンティアに対峙していると思う。

(松浦達)

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Hudson Mohawke『Satin Panthers』.jpg『Butter』ではサイボトロンやアウトキャストなど、実に様々な影響を感じさせる音を鳴らして見せたハドソン・モホーク。そんな彼が届けてくれた最新EP「Satin Panthers」には、今まで以上に強烈なパワーが宿っている。

  本作から感じ取れるのは、エレクトロやヒップホップにR&Bはもちろんのこと、ダフト・パンクや初期レイヴを想起してしまう瞬間もある。つまり、『Butter』を超えるいろんな音が散りばめられているわけだが、個人的に本作が持つパワーは、初期レイヴの要素が大きな役割を果たしていると思う。しかし何よりも重要なのは、ハドソン・モホーク自身が我々を驚かせようと、意識的に他とは違う音楽を作っている点だ。しかもストイックな求道者のそれではなく、自分のなかにある趣向を躊躇なく表現する遊び心によるものだ。それはまるで、おもちゃ箱をひっくり返し、無邪気な笑みを浮かべて遊んでいる子供のようにも映るけど、そんなハドソン・モホークが生み出す音楽は「過剰」ですらある。しかしその「過剰」さは、ジャスト・ブレイズ(カニエ・ウエスト、ジェイ・Z、リル・ウェインなど)のような売れっ子プロデューサーがツイッターで本作を絶賛したように、世間ではすんなり受け入れられている。

『Butter』リリース時に、クッキーシーンのインタビューで「特にメッセージっていうようなものはないと思う」と前置きしながらも、「ただ僕が好きないろんな要素を混ぜ合わせて作った作品だし、もし何かそこから言えるとしたら、100通りの別なスタイルを混ぜ合わせたってOKなんだってことだけかな(笑)」と答えたハドソン・モホーク。「Satin Panthers」でもこの姿勢を貫き、さらなる進化を果たしている。そしてこの姿勢を貫きながら、もっともアルバムが待たれるアーティストへと成長した事実。この事実には、多くのアーティストが見習うべきものがある。「過剰」であることに躊躇する必要はないのだ。

(近藤真弥)

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V.A.『HARUTA EP』(Lowfer Records).jpg『Haruta EP』は、ダブステップがダブステップを自ら取り込み、進化していることを証明するコンピだ。

 国産ダブステップ・レーベルとして、6月にオープンした《Lowfer Records》が放った最初の一手に収録されている楽曲群は、ダークな2ステップが雛型となって生まれたのがダブステップとするならば、ダブステップから逸脱している。元々ダブステップは非常に高い順応性を持った音楽だけど、その順応性を主因として進んだ多様化のなかで、ダブステップはダブステップを超えてしまった。そして、この「ダブステップを超えたダブステップ」が、「ポスト・ダブステップ」と呼ばれる音の正体だと思う。しかし僕は、「ダブステップを超えてしまった」音を「ポスト・ダブステップ」と呼ぶことに、違和感を覚えてしまう。強いて言うなら、「ベース・ミュージック」ではないだろうか?まあ、なんとも曖昧な言葉ではあるが、現在進行形で進むこの混沌とした音楽を表すには、適した言葉だろう。

《Hessle Audio》からリリースされた『Hessle Audio: 116 & Rising』や《Planet Mu》の『14 Tracks from Planet Mu』といったコンピ、それからアフリカ・ハイテック『93 Million Miles』などがダブステップ以降のベース・ミュージックを上手く鳴らしているけど、『HARUTA EP』は、これらに匹敵するくらい現在のベース・ミュージックと未来を表している。曲単位では、ニュー・エレクトロとダブステップをごった煮したような相対性理論「Miss Pararel World (Loco Edit vvotaro retouch)」や、曲名が表すように、弾けるような爽快感が気持ちいいMononofrog 4sk「Soda Float」が、ヘヴィさを保ちつつも、国産らしい軽やかなグルーヴを生み出している。日本からも、こうして素晴らしいベース・ミュージックが生まれていることを我々はもっと知るべきだし、『Haruta EP』は、その第一歩として最適なコンピであるのは間違いない。

(近藤真弥)


追記 『Haruta EP』は、Lowfer Recordsのホームページで無料ダウンロードできる。


 

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PLASTICGIRLIINCLOSET.jpg  岩手発、最強の新世代ギター・ポップ・バンド、プラスチック・ガール・イン・クローゼットのセカンド・アルバムが到着。(夏ならではの?)切なさ、もの悲しさを鮮明にサウンドに乗せつつ、クリアに、そして優しく聴かせてくれる。ノイズ・ギター、ピュアなメロディ、真っ直ぐなヴォーカルなどが溶け合ったマジカルなサウンドは、ノスタルジックな要素が満載ながらも「現在」の音として新鮮に響く。そんな器用さが全く嫌味に聞こえない理由は、全12曲を一気に聴かせてしまうテンションの高さが、ちゃんと彼ららしさになっているからだと思う。そ・オてとにかくメロディが美しい。マイナー・コード主体でメランコリーの深い霧が全編を包み込むも、暗い印象は与えない。それが彼らの持ち味なんだろう。風を斬るような勢いのあるギターも、かっこよくキメることをどこか恥じらっているような控えめさが美しく見え隠れ。

(粂田直子)

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