UNDERWORLD『Second Toughest In The Infants (Super Deluxe Edition)』(Universal)

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 あけましておめでとうございます。今回の年末年始も筆者は日本から脱出し、海外へ行ってきました。場所は韓国と台湾。久々にのんびりと過ごすことができ、リフレッシュ! 今年も何卒よろしくお願いいたします。


 さて、のんびりしている間、筆者が頻繁に聴いていたのは、アンダーワールドのアルバム『Second Toughest In The Infants』(1996)である。実は本作、去年11月に4枚組のリマスター盤として再発され、それで筆者も購入して聴いていたというわけだ。現在のアンダーワールドは、カール・ハイドとリック・スミスのユニットだが、本作リリース当時はダレン・エマーソンをくわえた3人組だった。今よりもダンス・フロア向けの音作りが際立ち、ダンス・トラック特有の反復による高い中毒性がいま以上に出ていた。


 本作でいうと、「Pearl's Girl」などがその高い中毒性を象徴している。トランシーなシンセ・サウンドから始まり、ジャングルの要素を取りいれたアグレッシヴなビートが印象的な「Pearl's Girl」は、アンダーワールドの代表曲であり、今もライヴで頻繁にプレイされる。〈crazy crazy crazy crazy...〉というリフレイン、音の抜き差しで起伏を作りあげる手法など、根底にあるのはダンス・ミュージックの方法論。


 しかしアンダーワールドは、そうした曲をポップ・ソングとしてアウトプットするのが抜群に上手い。これはやはり、街中で聞いた会話などを常にメモし、それを歌詞に反映しているカール・ハイドの貢献が大きいと思う。カール・ハイドの言葉は抽象的なものが多く、聴き手の想像力が入りこむ余白を多分に備えている。ゆえに聴き手は、アンダーワールドの音楽に対して、能動的にコミットできる。こうした親密な関係性を築けるところに、アンダーワールドの魅力がある。


 アンダーワールドは、〝踊らせる〟というダンス・ミュージックの機能性に、文学的要素が色濃い歌詞を絡めることによって、独自性を獲得した。このような接合は、今でこそ多くのアーティストによって実践されているが、先駆けはアンダーワールドだろう。さらにアンダーワールドは、音や言葉だけでなく、ヴィジュアル面でも面白い表現を生みだしている。この点は、アンダーワールドも設立メンバーであるデザイン集団、TOMATO(トマト)による働きが大きい。数多くの秀逸なMV、そしてライヴでの凝った演出などなど、アンダーワールドは〝視覚〟でも私たちに刺激をあたえてくれる。アンダーワールドの表現は〝聴く〟だけにとどまらない、全身で〝体験〟するものだと言える。


 本作は、ブレイクビーツ、トランス、ジャングルなど、さまざまな音楽的要素が溶けあっているが、興味深いのは、時代に迎合したサウンドがほとんど見られないことだ。本作に限らず、アンダーワールドは、トレンドとは距離を置いた音を鳴らしてきた。だからこそ、ダブファイアやアップルブリムといったプロデューサーを迎えいれ、アンダーワールドなりにトレンドを意識した『Barking』(2010)はイマイチだったのだが...。それでも、今年リリース予定の最新アルバムが楽しみであることに、変わりはない。


(近藤真弥)

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