フジロック・フェスティヴァル:3日目:ライヴ・レポート 2015年7月26日

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さて、いまさら...と思われてしまうかもですが、表題の件、ようやくアップします。編集部犬飼さんは、もちろん8月か9月くらいには原稿をあげていてくれたのですが、ここまで遅くなってしまったのは、ぼくの責任です。本当に、すみません。

ここには、ライドのレポもあります。せめて、彼らの秋の単独来日までには...と思っていたのですが、まさに直前になってしまった。これまた、すみません。

なお、ぼく自身はライドにも、なぜかほぼ同時に来日するザ・ジーザス&メリー・チェインのショウにも行けなさそう。ひどく残念だ...。でも、いろいろ忙しいからしかたない。もし自分が「どちらか」にしか行けないのであれば、たぶん...メリー・チェインを選んだ気もしますが(本当、ひねくれものだな、おれ:笑)。

(伊藤英嗣)


【編集部補足:2015年11月22日17時30分】先ほどクリエイション・マネジメントからフェイスブックで公開された情報によれば、今回のメリー・チェイン日本公演は、ウィリアム・リードの急病により延期、とのこと...。この情報に「誤り」があった場合、またさらなる「補足」をおこないますが...。いやはや、なんとも...。



このThe Kink Controversyは基本的に読者の方々からの原稿を掲載する場として作られたコーナーです(が、「関係者」が投稿することもあります)。

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・送っていただいた原稿の表記については、クッキーシーンにおける表記統一の決まりに合わせるため、編集部側で変えることもあります。それらがあまりに大量になったり、それによって文章のトーンが変わってしまう場合など問題があると判断した場合も、編集部のほうから連絡させていただきます。

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皆さまからの熱い原稿を心からお待ちしております!



 3日間とも晴天に恵まれた今年のフジロック。3日目はノエル・ギャラガーズ・ハイ・フライング・バーズをヘッドライナーに、約18年ぶりに復活したライド、ジョニー・マーなどUKインディー・ロックのベテランが勢揃い。他にもFKAツイッグス、ハドソン・モホーク、ライアン・アダムスなど、絶対に観ておきたいラインアップが目白押しだけど、じっくり観るには時間がかぶりすぎてる。タイムテーブルとにらめっこして、決めました。「やっぱり、ライドを中心に観て行こう!」と。そんなワケでフジロック3日目、ホワイト・ステージとグリーン・ステージがメインのライヴ・レポです。


TODD RUNGDREN: ホワイト・ステージ

 ライヴ開始の15分くらい前にホワイト・ステージへ到着。照りつける太陽とほんの少しの砂ぼこり。盛夏の真っ昼間の日差しの下でトッド・ラングレンを観ることに、ちっとも実感が湧いてこない。まだ〝オルタナティブ〟なんて言葉が使われていなかった60年代、70年代から独自のポジションを築いていたシンガー・ソングライター。ニューヨーク・ドールズからXTC、レピッシュまで、クセのあるアーティストの名盤を世に送り出したプロデューサー。そして、いち早くコンピューター/デジタル・ミュージックの可能性に着目していたソロ・アーティスト。時代の流れを敏感に読み取りながら、様々な音楽を生み出してきたトッドが、今日はどんなライヴを見せてくれるのかな? そんなことを考えていると、会場には人がどんどん集まってきた。見渡せば、年齢層高めのベテラン・ファンからこの暑さでも元気いっぱいの若い人たちまで様々だ。ステージ上では、黒人のDJがサウンド・チェックを行っている。

 会場に流れていたSEのボリュームが下がると、サウンド・チェックをしていたDJが観客をあおり始めた。「ア・ウィザード! ア・トゥルー・スター! トッド・ラーングーレン!」って調子。1973年にリリースされた名盤にちなんだコールとはいえ、いま鳴っているダンス・ビートとのギャップが微笑ましい(笑)。そして、ついにゼブラ柄タンクトップにサングラスでキメたトッドが登場! 「パワーパフガールズ」を大雑把にコピーしたような女性ダンサー2人を引き連れている。〝完全ダンス仕様〟の全貌が明らかになると、観客が一気に盛り上がる。

 オープングの「Evrybody」をプレイし終わるとギターをさっさと脇に置いて、大きな歓声に応えるようにトッドが軽快なステップで踊り始めた! とはいっても今年で67歳。足がもつれてよろけ、1曲終わるごとに肩で大きく息をしている。でも、その姿はエネルギッシュでチャーミング。そして何よりも、歌声は相変わらず伸びやかで力強い。最新アルバム『Global』を中心とした約1時間のステージをしっかり歌い、踊りまくったトッド。「少しだけでも観ておこうかな」という軽い気持ちだった僕も気がつけば、「International Feel」を含むアンコールまでフルで楽しんでいた。集まったみんなもハイ・テンションのトッドにダンスと大歓声、そして笑顔で応えていた。

 グリーン・ステージへ移動しながらツイッターやインスタグラムをチェックしてみると、早くもトッドのライヴが話題になってる! 「トッドがこけた」「女性ダンサーのカツラが取れた」「全部ディスコ!」「超楽しかった!」とかね。トッドのライヴを観たみんなは理屈抜きで楽しんだみたい。最高!

〈Setlist〉
1. Evrybody 
2. Flesh & Blood 
3. Rise 
4. Truth 
5. Earth Mother 
6. Party Liquor 
7. Soothe 
8. Today 
9. This Island Earth 
10. One World 
11. Global Nation 
12. Worldwide Epiphany 
アンコール:
13. International Feel 
14. Just One Victory 


JOHNNY MARR:グリーン・ステージ

 グリーン・ステージではすでにジョニー・マーのライヴが始まっていた。真っ赤なシャツを着て、大型スクリーンから飛び出さんばかりの勢いでストラトを弾きまくるその姿は〝ロック・スター〟そのもの。後方から観ていても盛り上がりがしっかり伝わってくる。

 そして、聴き慣れたあのリフが耳に飛び込んできた。観客のほとんどが「Bigmouth Strikes Again」のイントロで瞬時にヒート・アップする。2013年のサマーソニックで観たときよりも自信をつけたような佇まいが最高にカッコいい。ヴォーカルも格段に安定している。スミスからザ・ザ、エレクトロニック、そして近年ではモデスト・マウスやクリブスへの参加まで、30年近いキャリアをギター1本とソングライティングの技量だけで渡り歩いてきた男だ。決して〝インディー・ロック界の重鎮〟に納まることを良しとはせず、ここまで来た。「There Is A Light That Never Goes Out」を再現できるのは、モリッシーだけだと思っていたけれど、それは間違いだったようだ。グリーンステージを埋め尽くす観客の大歓声と大合唱に鳥肌が立つ。

 「マンチェスターが産んだ最高のダンス・トラックをプレイするよ」というジョニーのひとことで鳴らされたのはエレクトロニックの1stアルバム『Electronic』(91年)に収録されている「Getting Away With It」。もともとは打ち込み主体のこの曲をバンド・ヴァージョンにアレンジ。スパニッシュ調のギター・ソロが鮮やかだ。ニュー・オーダーのバーナード・サムナーとの両頭ユニット、エレクトロニックは90年代に3枚のアルバムを残しているけれど、どうしてもサイド・ユニット的なポジションが強かっただけに忘れられがち。名曲もたくさんあるのにね。そんな思いにもしっかり応えてくれるなんて嬉しすぎる! 

 そして「Getting Away With It」に続いてプレイされたのは、なんとデペッシュ・モードの「I Feel You」。オリジナルのレパートリーも豊富なのに、カヴァーのセンスも最高。「そういえばフジロックにはデペッシュ・モード、まだ来てないな」という感慨に浸っていると、深いリヴァーヴとディレイで切り刻まれたあのイントロが鳴り響く。30年前(1985年!)にリリースされたことが信じられないほど新鮮さだ。そのインパクトは、今でもまったく失われてはいない。涼しさを増す夕暮れ間近の風に乗ってラストの「How Soon Is Now?」がグリーン・ステージに響き渡る。ジョニー・マーのステージは後半しか観れなかったけれど、大満足。ポール・ウェラー、ノエル・ギャラガーに匹敵する〝ソロ・アーティスト〟ジョニー・マーの堂々とした、溌剌としたプレイには心から感動した。

〈Setlist〉
1. The Right Thing Right
2. Stop Me If You Think You've Heard This One Before(The Smiths)
3. Easy Money
4. Back In The Box
5. New Town Velocity
6. Generate! Generate!
7. Bigmouth Strikes Again(The Smiths)
8. Spiral Cities
9. There Is a Light That Never Goes Out(The Smiths)
10. Getting Away With It(Electronic)
11. I Feel You(Depeche Mode)
12. How Soon Is Now?(The Smiths)


RIDE:グリーン・ステージ

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 昼の猛暑がウソだったように心地よい風が吹き始めた。太陽が少しずつ傾き、ステージ上で入念にチェックされるライティングが夕暮れに鮮やかに映える。やがてバンド・ロゴのバックドロップが設置されると、小さなどよめきが起こった。大きく〝RIDE〟と記された4文字だけなのにグッとくる。いよいよ、このときがやってきた! 僕がライドを観るのは、20数年前の初来日以来。けれども正直に言えば、同じ頃に観たマイ・ブラッディ・ヴァレンタインやペイル・セインツに比べると、強烈な印象が残っているわけではない。若かったマーク・ガードナーとアンディ・ベルは、男子から見てもやたらカッコよくて、髪型やファッションを真似したりしてたけど。

 それにしても〝ゴリライド〟って...(笑)。ツイッターで話題になっている言葉がアタマをよぎる。1997年の解散以降、時の流れの中でマークはたくましい体格になり、ヒゲ面が似合うようになり、そして、頭髪が...かなり後退した。〝男子も憧れた〟美少年がゴリラ化って(涙)! でも〝ゴリライド〟って表現、僕はキライじゃない。〝伝説のシューゲイザー・バンド〟みたいに神格化するよりもよっぽどいい。みんながライドに親しみを持ってるってわかるから。

 苗場が夕闇に包まれた頃、オープニングSEのディス・モータル・コイル「Fyt」(カッコいい!)の不穏なビートとシンクロするようにサイケデリックなライトが瞬き始めた。一瞬の暗転と静寂のあと「Leave Them All Behind」のクリアなシーケンスがそのときを知らせ、マークとアンディの絡み合う2本のギターが一気に炸裂する。ゴリライド...いや、ハットをかぶったマークはステージ中央で活き活きとギターを弾きまくっている。アンディは相変わらずクールだ。スティーヴは一歩引いたポジションから黙々とベースを奏でている。そして、ローレンスのドラムは、解散後もギャズ・クームス(元スーパーグラス)などのバックをつとめていただけあって安定感が抜群だ。出音がちょっと弱いかな、と思ったけれど、それも2曲めの「Like A Daydream」で解消されてひと安心。マークとアンディのツイン・ヴォーカルもしっかりハモっている。見た目は大きく変わってしまったけれど、久しぶりに聴いたマークの歌声はあの時のまま、いや、むしろ表現力は格段にアップしている。

 前半は「Polar Bear」「Seagull」「Chelsea Girl」など、初期シングルから1stアルバム『Nowhere』(90年)までが中心。後半は2ndアルバム『Going Blank Again』(92年)の曲を織り交ぜた構成で、一瞬たりとも目が離せない。その合間に挟まれた「Black Nite Crash」の骨太なグルーヴがアクセントになって、あっという間に時が流れる。

 〝シューゲイザー(うつむいて靴を見つめてる)〟という言葉そのもののイメージを心地よく裏切るエネルギッシュなパフォーマンスに圧倒される。そして極めつけはラストの「Drive Blind」で放たれたノイズの嵐! デビューEP「RIDE(赤ライド)」からの選曲もうれしいし、多くの観客の鼓膜をノック・アウトしたマイブラの〝ノイズ・ビット〟にも負けないほどのヴォリュームに、ライドの底意地を見た。そして、何よりもステージでのプレイを楽しんでいる4人の姿。11月には単独での再来日も控えているし、この後も順調に活動を続けて欲しいと思う。楽曲の素晴らしさは言うまでもなく、バンドとしてのケミストリーも失われてはいない。〝伝説のシューゲイザー〟も結構だけど、リアル・タイムのバンドとして伝説を蹴散らす新曲を聴きたい。今のライドなら、それができるはずだ。

〈Setlist〉
1. Leave Them All Behind
2. Like A Daydream
3. Polar Bear
4. Seagull
5. Sennen
6. Chelsea Girl
7. Chrome Waves
8. Black Nite Crash
9. OX4
10. Time Of Her Time
11. Dreams Burn Down
12. Taste
13. Vapor Trail
14. Drive Blind


NOEL GALLAGHER'S HIGH FLYING BIRDS:グリーン・ステージ

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 僕が観ていたエリアには熱いノエル・ファンの女の子たちが集結していて、かなりの大騒ぎ。まわりに迷惑... なんてことは全然なくて、みんなと一緒に盛り上がれるいい雰囲気ができていた。これもフェス、フジロックの醍醐味。「楽しみすぎる!」「あの曲やってくれるかな?」「ドンルクしたい!」そんな会話が弾むとセット・チェンジの時間も楽しい。2ndアルバム『Chasing Yesterday』ツアーも締めくくりに入って、バンドのコンディションも万全のはず。いよいよフジロックの最終日ヘッドライナー、ノエル・ギャラガーの登場だ! 

 ステージに現れたノエルと日本人のホーン・セクション3名を含むバンド・メンバーは、ゆっくりとエンジンを温めるように「Everybody's On The Run」でライヴをスタートさせた。4曲めにはさっそくオアシスの「Fade Away」をアコースティックなアレンジでプレイ。ド派手な演出はないけれど、ホーンがサウンドに厚みを加える「Riverman」や切ないメロディが胸を打つ「The Death Of You And Me」では、みんなしっかり合唱している。歌いたいのは、オアシスの曲だけじゃないんだぜ。

 ノエルのMCも相変わらず面白くて、「ライアン・アダムスに捧げるよ」と言って「Champagne Supernova」をプレイした...ってのも美しい話なんだけど、「The Masterplan」でのやりとりも最高だった。演奏する前に「みんな、ちょっと静かにしててくれよ」とノエルがひとこと。それでも一部の観客が全然静かにならない。で、ノエルがちょっとキレぎみに「サルみたいにキーキーうるさい奴がいるな。誰か、つまみ出してくれよ」って言ってた。その〝サルみたいにうるさい奴〟が僕の近くにいた女の子。ちょっとはしゃぎすぎだったけれど、そのおかげで僕たちのまわりは大爆笑。最高に盛り上がったよ。

 そこからは、ノエルから僕たちへの最高のプレゼント「Whatever」をはじめとするオアシスのナンバーやダンス・ビートが炸裂する「AKA... What A Life!」まで最高な瞬間の連続。そして、ラストはもちろん「Don't Look Back In Anger」の大合唱。〝お決まりの...〟だとか〝予定調和〟だなんてアイロニーはいらない。まわりで一緒に観ていたみんなの雰囲気も相まって最高に楽しかった。火花も紙吹雪もなかったけれど、〝歌〟のチカラだけでこんなに心を揺さぶられるなんて最高だ。ノエルとバンド・メンバーたちは、軽く会釈をしたくらいであっさりとステージを去ってゆく。やがて夜の涼しげな風に乗って「Power To The People」が響き渡った。いつまでも鳴り止まない拍手とアンコールを求める声を静めるかのように。

〈Setlist〉
1. Everybody's On The Run
2. Lock All The Doors
3. In The Heat Of The Moment
4. Fade Away(Oasis)
5. Riverman
6. The Death Of You And Me
7. You Know We Can't Go Back
8. Champagne Supernova(Oasis)
9. Dream on
10. Talk Tonight(Oasis)
11. Whatever(Oasis)
12. The Mexican
13. If I Had A Gun
14. Digsy's Dinner(Oasis)
15. Half The World Away(Oasis)
16. The Masterplan(Oasis)
17. AKA... What A Life!
18. Don't Look Back In Anger(Oasis)

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