VARIOUS ARTISTS『Cassette Club 3』(Moontown)

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 相も変わらず、ネットやレコード・ショップで面白いダンス・ミュージックを探しもとめているが、なぜだか最近、カセット・リリースの作品に〝面白い!〟と感じるものが多い。クッキーシーンで取りあげた作品でいえば、ノイ・バランスケイタ・サノヘレナ・ハウフなどなど。レーベルでいえば、いまや多くのリスナーから注目される存在となった1080pを始め、Where To Now?(ホウェア・トゥー・ナウ?)、Hylé Tapes(ヒュレー・テープス)、Bootleg Tapes(ブートレグ・テープス)、J&C Tapesといったところか。これらはすべて、カセットを中心にリリースしている。


 とはいえ、カセット・リリースだから、ダンスフロアで流れることはほとんどない(mp3のダウンロード・コードなどがある作品は別だが)。つまり、カセットでリリースされているダンス・ミュージックの多くは、DJが使いやすいようにと作られたものでもなければ、フロアライクなものでもない。言ってみれば、ひとりヘッドフォンをしながら音楽に浸ったり、ベッド・ルームでささやかに踊りながら楽しむような者に向けて作られている。それは〝みんなのダンス・ミュージック〟というより、〝あなたのダンス・ミュージック〟という親近感のあるものなのだ。この親近感こそ、ここ最近カセットでリリースされているダンス・ミュージックのほとんどに共通する、魅力のひとつだと思う。


 なんてことを考えていると、またひとつ興味深いカセットが手元に届いた。名はズバリ、『Cassette Club 3』。以前レヴューを書いた『#Internetghetto #Russia』(2014)と同じくらい秀逸なタイトル。『Cassette Club 3』は、オーストラリアのカセット・レーベルMoontown(ムーンタウン)からリリースされたコンピレーションで、収録アーティストもオーストラリアを拠点に活動する者が選ばれている。


 そのなかでも特に興味深いトラックは、フォー・ドアの「Refresh」だ。一定の間隔で淡々と刻まれるヘヴィーなキックに、妖しげでドラッギーなシンセ・サウンドが聴き手を飛ばすそれは、さながら『Frequencies』(1991)期のLFOである。明るいトラックではないが、深淵の底を這いずるようなグルーヴに筆者は心を奪われてしまった。


 そして、ルイ・マルロの「Divvy In The Rear-View」も出色の出来。「Refresh」と同様、ダークで妖しげな雰囲気を漂わせているが、「Divvy In The Rear-View」はシカゴ・ハウスの要素が色濃いビートを特徴としている。アシッディーかつトリッピーなサウンドと、高い中毒性を生みだすヴォイス・サンプルの使い方も秀逸だ。


 また、ポエトリー・リーディングとミニマルなビートで構成されたカルリ・ホワイト「You Can Drive」も、ポスト・パンク好きの筆者としては見逃せない曲。聴いているとヤング・マーブル・ジャイアンツを連想してしまうのは、筆者だけだろうか?



(近藤真弥)




【編集部注】『Cassette Club 3』はMoontownのバンドキャンプで購入できます。

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