ALIAS KID『Revolt To Revolt』(359 Music)

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 少し前からインターネット上でよく名前を見かけるようになった。最近であれば、今年のワイト島フェスティヴァル(ぼく的にはレディングやグラストより全然古い、それこそジミ・ヘンとかが出ていたという印象しかなかったのだが、今年のラインアップは結構よさそうだった)に出ただの、ブラック・グレイプのツアー(ショーン・ライダーは今年前半ハッピー・マンデイズとしてのそれも、このバンドとしてのそれもやっている。なんて働き者なんだ!)のフロント・アクトを務めただの...。


 マンチェスターで結成された、そんな現状5、6人組バンドによるファースト・アルバム。わざわざ和訳しないけれど、タイトルも最高にかっこいい。大体バンド名がいいよね。偽名とか通称という本来の意味以上に、最近は別のニュアンスで使われることが多いってことは、5~10年以上パソコンを使いたおしてきたひとには(これまた)説明不要だろうが、一応解説しておこう。エイリアスとは、アプリケーションやファイルにダイレクトで飛べる、いわゆるアイコンではなく、あいだにもうひとつかませた感じでコンピューター上に表示される、二次アイコンとでも言うべき存在。


 そんな名前でエレクトロニック・ポップをやっていたら、まあ普通、おもしろいとは思わなかった気もするのだが、彼らの場合、本格的ロックンロール。ポップかつアンセミックなメロディーを、ディストーション・ギターがサポートするタイプの音楽。ただ、このアルバムを聴いて(バント名ともあわせて)興味深かったのは「実写映像作品やライヴを体験することを三次元体験と呼び、アニメ映像作品を観ることを二次元的体験と呼ぶのであれば、後者に近い」と思える、サウンドのまろやかさ。そう、なにも「荒れくるう」ばかりがロックンロールじゃない。そして数ヶ月前にネットで見て驚いたのは、ブライアン・エプスタインのもとでプロモーションを学び、60年代にローリング・ストーンズやスモール・フェイセスも手がけた、まさに生きる伝説的なレコード・プロデューサー/マネジャー、アンドリュー・ルーグ・オールダムが彼らのことを褒めていた。これは、さすがのぼくも本物の証...と感じてしまう。


 これで結成わずか6ヶ月後というステップの軽やかさにも驚かされる『Revolt To Revolt』は、チェリー・レッド傘下に一昨年設立された、359ミュージックからのリリース。キュレーターをアラン・マッギーが務めるレーベルだけに、そしてバンド名も考慮するのであれば、こんな言い方も許されるだろう。90年代の初期オアシスとブラーの「いいところ(筆者の好きなところ)」を融合させたみたいな感じ?


 アランの名前が出てきたところで、そちら系のファンには応えられないであろう情報も、最後にお伝えしておこう。レコーディングはグラスゴーにて、元ティーンエイジ・ファンクラブのポール・クインおよびグラスヴェガスの教会録音盤「A Snowflake Fell (And It Felt Like a Kiss)」も手がけた重鎮ケヴィン・バーレイとともにおこなわれた。一聴の価値、おおいにあり!



(伊藤英嗣)

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