MARK RONSON『Uptown Special』(RCA / Sony Music)

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 まず、普段使ってるオーディオ・システムで、さらっと聞いたら「うわあ、最高!」と思った。つづいて、寝室で使ってるボーズのスピーカーにiPodつないで深夜に聴いたら「ん? 旧作に比べて、ちょっと地味?」と感じた。そしてまたふりだしに戻って聴いてみると、うん...素晴らしく、いい感じ!


 上記の〝流れ〟は、一昨年にリリースされたダフト・パンクの最新アルバムを最初に聴いたときと、そっくり。でも、それより、もうちょっと若々しい気はするな。まあ、彼ら全員の実年齢がどうなのかは知らない(興味ない)けど。そして、今回「生演奏中心で、いわゆるエレクトロニック・ミュージック的な手法は重視されていない」という部分も両者に共通している。


 ぼくにとってマーク・ロンソンとは(00年代初頭に2メニーDS'sが先鞭をつけた)「カット/コピー文化」の、最もおいしい部分を獲得しつづけた男。まず名前がぼくの頭に残ったのは、DJとしてよりも、リリー・アレンおよびエイミー・ワインハウスのサウンド・プロデューサーとして、だった。それで聴いてみた彼のソロ・アルバムも、カヴァーと生演奏、歌とサンプリング・サウンドの混ざり具合が、とにかく痛いところをつきまくりだった。そして、ボブ・ディランの「初めての公式リミキサー」にまで起用されてしまったという事実は、どう考えても、やばいでしょう...。


 なぜ? エイミー・ワインハウス存命中の〝最新サウンド〟、そしてここ2、30年のディランの志向性は、パンクもロックンロール(という言葉たち)も飛びこえて、20世紀から21世紀初頭全体のポップ・ミュージックを(できる限り〝境界線〟をまたいで)ちょうどいい塩梅のスープ料理に変えるというマジカルなものだったから。


〝時代を超えようとしている〟やつら、ぼくは常に大好きだ!


 このニュー・アルバム、全体の感触としては、まだラップ・ミュージックと呼ばれていたころのオールドスクール・ヒップホップが、少しだけスムーズなノリを手に入れたころのそれに近い。ただし、80年代の普通のヒット・ポップス(プリンスあたりを除く)に比べれば、ずっと、はるかに骨太かつソウルフルだ。


 こんな流れゆえ、たとえば、1曲目とかに(ヴォーカルじゃなくて、ブルース・ハープのみで:笑)スティーヴィー・ワンダーが参加している(!)という情報も、あらゆる意味でネガティヴなものではなく、極めて気持ちよく作用する。


 話を冒頭に戻せば、ダフト・パンクのあれに比べて、小音量で聴いたときお洒落な感じがするってのは、やはりフランスのバンドとUK(やらNYやら?)をベースに活動する者の地域性もあるのだろうか? すでに英米では、なにやら大ヒットを記録しているらしい。早耳さんからしぶいもの好きまで、エヴリバディにお薦めです!



(伊藤英嗣)

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