KYLIE MINOGUE『Kiss Me Once : Live at the SSE Hydro』(Parlophone / Warner)

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 カイリー・ミノーグって、日本ではどのように見られてるのだろう? 長年カイリーを追ってきたファンからすれば、今でもポップ・シーンの第一線で活躍するトップ・アーティストという認識なのは、言うまでもないだろう。ところが筆者の周りには、「I Should Be So Lucky」をヒットさせた、いわゆる一発屋的にカイリーを見ている人もいて、さすがにビックリ。確かに、マニック・ストリート・プリチャーズなどをプロデューサーに迎えた『Impossible Princess』(1997)期は、商業面で大きな成果を残せなかったがゆえに、お世辞にも常に目立っていたとは言えない。


 しかし、カイリーの創作に対する貪欲な姿勢、もっと言えば理想主義的な探求心は評価されてもいいはず。アルバムごとに旬のアーティストやプロデューサーを迎え、自らも積極的に曲作りをするなど、着実に深化と進化を果たしてきた。こうして自身の順応性と懐の深さを育んできたからこそ、ニック・ケイヴやロビー・ウィリアムスともデュエットでタイマン張れるほどの歌唱力を獲得できたのだ。それに、紆余曲折がありながらも、競争が激しいポップ・シーンで生きぬいてきた精神力も見逃せない。その精神力をカイリーは、神々しさという形でステージ上に現出させる。


 そんなカイリーの姿を観れるのが、本作『Kiss Me Once : Live at the SSE Hydro』だ。この作品は、2014年のグラスゴー公演をCD2枚+DVD1枚に収めたもの。「Can't Get You Out Of My Head」や「Slow」など、カイリーの代表曲がこれでもかと披露されるベスト・ヒットな選曲に、観客も大声援で応えているのが何とも微笑ましい。こうした光景を観ていると、カイリーは観客を蹂躙的に圧倒するよりも、観客に御輿を担いでもらって盛りあがるタイプのエンターテイナーであることがわかる。この点が、終始ストイックで緊張感を滲ませるマドンナのステージとは違うところで、どこか牧歌的な雰囲気も漂わせるカイリーのステージは、肩の力を抜いて楽しめるのだ。


 また、カイリーのステージはゲイ・カルチャーを多分に取りいれていることも特徴だが、それは今回のツアーでも健在。これは、カイリーの音楽を支持するファンのなかにゲイが多いことも関係しているのだろう。いわば、ゲイの人たちに向けたカイリーなりのリスペクトである。もちろん、年々増していくカイリーの妖艶さも楽しめる。同時に、どこか少女性を醸しているのも興味深いのだが、これは身長150センチ弱の小柄な体つきがそうさせるのか? それとも、これまで生きてきたなかで未だ汚れていない部分があるとでもいうのか...。まあ、そんなことはどうでもいい。まずは皆さんも、華々しいダンサブルなエレ・ポップ・ワールドを描くカイリーのステージに浸りましょう。イッツ・ショータイム!



(近藤真弥)

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