RSS B0YS『HDDN』(Mik.Musik.!.)

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 RSSは、ウェブサイトの更新情報をまとめ、配信するための文書フォーマットのこと。その配信された情報を受けとるためのアプリがフィードリーダー(RSSリーダー)と呼ばれるものだ...という説明は、ネットが当たりまえとなった今ではありがた迷惑かもしれない。だが、RSSボーイズと名乗るポーランドのふたり組について書くためには、必要な説明でもある。筆者からするとふたりの表現は、フィードリーダーで集めた情報を自分たちなりの文脈に変換したようなものだから。


 ユニット名が示唆しているように、ふたりの表現がネット以降を意識したものであるのは確かだ。しかし一方で、莫大な情報量に晒されるネット以降の現在においては、過激さや奇抜さだけで他人との差別化を図るのは難しいということも理解している。 だからこそふたりは、これまで発表してきた曲のほとんどに読み方が不明なタイトルをつけ、無闇な主張を避けてきた。ボイラールームに出演した際は覆面を着用し、詳しい素性も明かしていない。言うなれば、女子高生などがニコ生でヴューワー数を稼ぐために服を脱いでいく過激さと、そうした過激さとは反対に〝普通〟を標榜することで、他との差別化を試みたノームコアの中間に位置する感覚。こうしたものが、ふたりには備わってるように見える。理性と感情を上手く両立させる優れたバランス感覚と言えるものが。そう考えるとふたりは、新しいとされる情報を狂信的に追いかけるよりも、一歩引いて情報で弄ぼうとする意識が強いとも言える。


 その優れたバランス感覚は、本作『HDDN』のサウンドにも反映されている。音の抜き差しで起伏を作り上げる手法は見事なもので、実に渋い。人の歯やペニスをジャケットにフィーチャーしてきたショッキングなヴィジュアル面とは裏腹に、音の組み立て方は職人的。音楽性も、LFOなどが有名なプリープ・テクノを思わせるベースの使い方や、D.A.F.やリエゾン・ダンジェルーズを想起させるEBM的ビートなど、さまざまな要素を掛けあわせる手際の良さが目立つ。このことからも、RSSボーイズが新奇さだけを狙った凡庸なユニットではないことがわかるはずだ。


 また、ハイハットがあまり使われていないのも興味深い。それでも本作がグルーヴを生みだすことに成功しているのは、音の置き方が巧みだから。無駄を徹底的に省き、必要な音だけを鳴らしている。それゆえ本作の音像はミニマルかつドライであるが、そこがまたクセになる。以前紹介したザミルスカも含め、ポーランドのテクノ・シーンは本当に面白い。



(近藤真弥)

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