ケロケロボニト

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KERO KERO BONITO


性別で成り立っているムーヴメントは

好きではありません


ガス、ジェイミー、サラの男女3人によるケロケロボニトは、ロンドンを拠点に活動するバンド。ガスとジェイミーがMixb(ミックスビー)というロンドンに住む日本人向けの掲示板でラッパーを募集し、それにサラが返事をしたのがケロケロボニトの始まり。


彼らの存在を知ったのは、バンドキャンプにアップされていたミックス・テープ『Intro Bonito』がきっかけ。キャッチーでキュートなサウンドが際立ちながらも、ダンスホール、グライム、ハウス、テクノ、そしてJ-POPなどなど、実に多様な音楽性が宿っていた。


そんな『Intro Bonito』がこのたび、良質なインディー・ミュージックを数多くカタログに並べているレーベル、ダブル・デニムからリリースされた。それを祝して、というのは少々大袈裟だが、聴きたいこともたくさんあるのでインタヴューを申し込んでみた。答えてくれたのは、ヴォーカルのサラ。日本語も話せるバイリンガルだけあって、日本語で回答してくれるという嬉しいおまけ付き。


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 まず、先にも書いたように、『Intro Bonito』にはJ-POPの要素が見え隠れする。この側面は見逃せないだろうということで、これまで聴いてきた音楽のなかで気に入っている作品を挙げてもらった。それは以下の3つ。


「Halcali『嗚呼ハルカリセンセーション』、Tiger『Yu Dead Now』、The Dixie Cups『Iko Iko』」


「Yu Dead Now」はレゲエ・クラシックとして有名な曲で、「Iko Iko」はディキシー・カップスという1964年にアメリカで結成された女性ヴォーカル・グループの代表曲だが、そこにHALCALI(ハルカリ)が入るのは面白い。HALCALIは"脱力ラップ"と言われるスタイルを持っているが、サラのラップにも似たようなところがあるからだ。また、ゲーム音楽の要素については、「ニンテンドウ64とプレイステーションで遊びながら育ちました。その音楽も大好きで す。知らなくてはいけないすべての事が含まれていると思います」とまで語ってくれた。


 そして、細かいところでもいくつか興味深い点が『Intro Bonito』にはある。ひとつは、「Kero Kero Bonito」の歌詞に登場する《Jack your body》というフレーズ。このフレーズは、ハウス・ミュージックにおけるサンプリング・ネタの定番で、さらに「Intro Bonito」のMVでは808ステイトのTシャツを着ていたりと、もしかして彼らは相当なダンス・ミュージック好きじゃないか?と思ったり。この点についてサラはこう答えてくれた。


「ガスは15歳の頃からレイヴDJとしてツアーをしています。踊るならシカゴ・ハウスが一番いいです」


 サラさん、けっこう渋い嗜好の持ち主である。


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 ふたつめは、「Let's Go To The Forest」のメロディー。それがなんと沖縄音楽なのだ。それゆえ、エキゾチカを彼らなりに解釈したのだろうか?と邪推してしまったが、どうやらガスが大の沖縄音楽好きらしく、それが「Let's Go To The Forest」に繋がったようだ。


「ガスは沖縄の民族音楽が大好きです。那覇にも行ったことがあります。その音楽を『Let's Go To The Forest』を通して僕たちの世界に広めたかったから、この曲は作られました」


 歌詞で一際目を引くのは、「Babies (Are So Strange)」。曲調は親しみやすいポップ・ソングに仕上がっていながらも、冒頭では《おまえ女なんだから子供生むの当然だろ》というサンプリング・ヴォイスが飛び出し、歌詞の内容も女性に向けられがちな固定観念に対する戸惑いを吐露したようなもので、ライオット・ガールの文脈を見いだせなくもない。だが、サラはこの見方に否定的な立場をとっているようで、「私はライオット・ガールを知りません。ガスとジェイミーは彼女たちの音楽が好きですが、性別で成り立っているムーヴメントは好きではありません。」と、明確に意見を主張している。


 それはカラフルな色使いが際立つヴィジュアル面にも及んでいるが、そのヴィジュアルに関する言葉でこの記事を締めさせてもらう。


「たくさんのミュージシャンが自分のことを真剣に考えすぎだと思います。世界にはたくさんの色が必要です」



2014年9月

取材、文/近藤真弥



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ケロケロボニト
『イントロ・ボニト』
(Double Denim / M/A/G/N/I/P/H)

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