YUKI『FLY』(EPIC Records Japan)

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 クッキーシーンの色に合わないかなあ・・・とか、そんなのどうだっていい。楽しいものは楽しいし、面白いものは面白い。好きなものは好き、食べたいものを食べ、着たい服を着ればいい。もっと言えば、好きな服を着てる私が好きみたいな自己陶酔も大歓迎だ。子供がパパやママに目を輝かせながら"見て見て!"と笑顔でアピールする姿を見て思わず微笑んでしまうように、誰かが楽しそうにしている様を見るのは、実に素晴らしいと筆者は思う。


 ソロ・アルバムとしては、2011年の『megaphonic』以来7枚目となる『FLY』を完成させたYUKI。彼女が本作で披露してくれたのは、再生ボタンを押した瞬間、目の前の景色が一気に華やぐ、誰もが楽しめ踊れるポップ・アルバムだ。他誌の仕事で出会った、YUKIが元JUDY AND MARY(ジュディ・アンド・マリー)のヴォーカルであることを知らなかった2000年生まれの女の子も、これなら一発で気に入るかも? なんて思ったり。それほどまでに本作は、キラキラとしたヴァイヴスを放っている。


 収められた曲群も、ディアンジェロなどのネオ・ソウルを漂わせる「It's like heaven」、スクリレックスやポーター・ロビンソンあたりのEDMの要素がうかがえるダンサブルな「Jodi Wideman」、さらにはKAKATOが参加したヒップホップ・トラック「波乗り500マイル」といった具合に、多彩を極めている。そんな『FLY』を聴き進めていくと、YouTubeでさまざまな時代の音楽を手当たり次第聴いているときと似たような感覚に襲われる。この感覚、なんだがインターネット以降のセンスだなと思いもしたが、そういえば、2012年8月にリリースされたシングル「わたしの願い事」ではtofubeats(トーフビーツ)、そして先月リリースのシングル「誰でもロンリー」ではSeiho(セイホー)など、いわゆるインターネット世代と呼ばれるアーティストをリミキサーに迎えていた。将来的には、彼らとガッツリ組んだアルバムを・・・なんて構想もあったりするのだろうか? このような想像が出来るほどの同時代性も本作は孕んでいる。


 また、歌詞にも遊び心が込められており、「誰でもロンリー」における《奈落から這い上がれ 誰かのアイドル》という一節はドラマ『あまちゃん』のことだそうだし、「Jodi Wideman」ではハッキリ《レリゴー》と歌っている。こうした遊び心と余裕からはYUKIの円熟味を見いだせるが、その円熟味に触れていると、近年のカイリー・ミノーグを連想してしまうのは筆者だけ?


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