JEBIOTTO『LOVE SONG DUET』(Call And Response)

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 サウンドクラウドやバンドキャンプで日本のギター・バンドの曲を聴いていると、Boyish(ボーイッシュ)のような和製ネオ・アコースティック、あるいはThe fin.(ザ・フィン)のような和製シューゲイザー、チルウェイヴなバンドによく出くわす。時流に乗るのが悪いわけではないし、流行る前から同じ音楽性を志向していたのかもしれない。でも、舶来の音楽をそのままコピーしているだけでは? と思うバンドも少なからずいる。咀嚼して自分の血肉にするまで至っていないのだ。その一方で《Maltine》がbo en(ボーエン)のようなJ-POPに影響を受けた海外ミュージシャンの作品をリリースし、ヴェイパーウェイヴが80年代の日本の歌謡曲をサンプリングする昨今、再認識するのは日本独自の進化を遂げたJ-POPの海外に対する有効性だ。


 その文脈において、東京のスリー・ピースJEBIOTTOジェビオットはダーク・ホースかもしれない。彼らが鳴らす歌謡ディスコ・パンク、胸躍るデジタル・ビートは、誰にでもある若き日の夏の思い出を呼び起こす。極上のメロディーは現実には存在しなかった美少女のシルエットさえ幻出させるかもしれない。まるでアシッドをキメているかのようだ。クスリなんかやらなくても彼らの音楽を聴いている間だけは、実際には無かった恋を回想することができる。それは優れたポップ・アートだけが持ち得る魔法だ。そして興味深いことに、アルバム・タイトルの頭文字をとると "LSD" となる(笑)。


 音楽自体の話に戻ると、低いシャープな声質でクールに歌うMadcaは、同時にシンセサイザーで下世話なほどポップなメロディーを奏でる。Tuttiのギターはベースのような音を出し、Molisonはドラム、エレクトロ・パッドを使い分け、3人が紡ぎ出す音はニュー・オーダーを連想させる。しかし同時に、歌謡曲というフィルターを通した日本ならではの視点で再構築されている。1曲目「Seqential TomTom Cats」は、うしろゆびさされ組が歌ったアニメ『ハイスクール!奇面組』の初代オープニング曲を思い出すし、3曲目「PaPaPa Emotion」はaccess(アクセス)「Virgin Emotion」のオマージュかもしれない。その一方で、後半の「Ax Nx C」や「We can dAnce」といった曲はソニック・ユースをはじめとする実験的なノイズ・ロックからの影響を感じさせる。一聴、ミス・マッチに思えるそういった音楽性の組み合わせには不思議な中毒性があり、私は繰り返し聴いてしまっている。



(森豊和)

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