GUIDED BY VOICES『Cool Planet』(Guided By Voices Inc. / Fire / Magniph)

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 やはり、やつらは「本物」...D.I.Y.ロック・バンドの鑑のような存在だった。この春、たてつづけにリリースされた(リリース・ギャップはわずか数ヶ月...。あいかわらず好き勝手流...だし、そのギャップの短さはイーノ&ハイド以上...というか彼らがGBVを真似た...のかしら?:笑)2枚のニュー・アルバム『Motivational Jumpsuit』と『Cool Planet』を聴いて、まじでそう思った。


 がさつだけど緻密。クールだけど熱い、そして「激しい」けれどスーパー・ポップというGBVならではの世界は、キャリアや年齢を重ねても、まったく衰えていないどころか、まずます磨きがかかっている。


 ある程度年期の入ったインディー/オルタナティヴ・ミュージック・ファンの方であればご存知と思うけれど、彼らがワールドワイド・ブレイクを果たしたのは90年代初頭。グランジ・ブームとシンクロしたUSにおける「その手の音楽」の盛りあがりのなか、当時は一介の新進レーベルにすぎなかったマタドールを、ペイヴメントや(UKの)ティーンエイジ・ファンクラブと並んで(レーベル本国USでは彼ら以上に?)盛りあげた。日本では、ベックや(これまた)ペイヴメントと並んで「ローファイ」ブームの旗頭となっていた。そんな「タグ」、今となってはまったく「有効」ではないだろう。ただし、「D.I.Y.だから、どうしてもハイファイ(Hi-Fi)志向は無理」という意味では、彼らは本当にそんなノリを今も貫いている...と、むしろ感心してしまう。


 『Motivational Jumpsuit』も『Cool Planet』も、20曲以上入って、時間は40分前後。だらだらと50分以上1枚のアルバムにつきあわされる必要もない。まあ、それはそれで、もちろん「あり」なんだけど、GBVの「今を生きる」疾走感には似合わない。おおげさに言ってしまえば、ポスト・パンク時代...70年代後半にワイアーがデビュー・アルバム『Pink Flag』(オリジナルは全21曲入りでトータル約35分という潔さ)でやらかした「極端さ」を、今も継承している。そのたとえ無理があるだろう、って? いや全然そんなことないよ。先述のとおり、彼らの名前が「世界にとどろきわたった」のは90年代だけど、もともと結成は80年代初頭。それも、ペル・ウブやディーヴォと同じ、オハイオ州で。


 とりあえず、彼らのことを知っている方も知らない方も、できれば2枚とも聴いてみてほしい。比較するなら『Motivational Jumpsuit』のほうが、よりストレートにガレージ・ロックンロールっぽく、『Cool Planet』のほうがストレンジ・ポップ度が高い。たとえば、彼らは00年代なかばに一旦解散する前...90年代末にはクリエイション・レコーズからUK盤を出したこともある、という情報にピンと来た(彼らのことを知らなかった)方には『Cool Planet』のほうがお薦め...かもしれない。


 10年代初頭の再結成以降、彼らは本国USでは「自らの名前を冠したレーベル」から、UKではファイアー・レコーズ(わお!...とジジイは言う:笑)から作品をリリースしている。そんな形も、今という時代にふさわしい。まあ、本国におけるウェブ・メディアでのプロモーションは手薄になっちゃうから、それらを基準に音楽を聴いてる方には「誰それ? あそこで褒められてなかったじゃん」って感じかもだけど(いや、実際に褒められてるかそうじゃないかは「あそこ」をまったく見てないので知りませんが:汗&笑)、まあ、騙されたと思って、一度アルバムを聴いてみてほしい。できれば、歌詞など「言葉」の使い方にも、是非着目しつつ!



(伊藤英嗣)

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