HABITS OF HATE「Habits Of Hate」(Electronic Explorations)

|
Habits Of Hate「Habits Of Hate」.jpg
 ダンス・ミュージックの "今" と "未来" を知りたければ、「Habits Of Hate」を聴けばいい。と、柄にもなくセンセーショナルな書き出しになってしまったが、このシングルを聴いたあとでは、そう書かせるほどの興奮状態に陥ってしまうのだからしょうがない。


 さて、なぜこうした書き出しになったのか?それにはまず、ハッパという新進気鋭のアーティストについて説明しなければいけない。英リーズ出身のハッパは、現在16歳のトラックメイカー。客としてではなくパーティーの出演者としてクラブを初体験したという。


 彼が注目を集めることになったキッカケは、2012年に発表された「Boss」。このトラックがリンスFMでプレイされると、ハッパの名は早耳リスナーたちの間でたちまち話題となった。それはダブステップを "過去の音楽" と認識し、若いリスナーに "再解釈" という形で届ける世代の登場を告げるトラックだった。その後ハッパはフォー・テットにリミキサーとしてピックアップされ、以降もジョン・ホプキンスやフォンデルパークといったアーティストの曲をリミックス。一方で自身のレーベル《PT/5》を立ち上げ、第1弾リリースのウィッチ「Vent」ではシフテッドをリミキサーに迎えるなど、UKハード・ミニマルの潮流とも邂逅している。こうしたさまざまな潮流を行き来することで、デビュー当初はベース・ミュージック界隈の新世代に過ぎなかったハッパは、将来のUKダンス・ミュージックを背負って立つアーティストのひとりとなった。


 そんなハッパが、《Black Sun》などからリリースを重ねるマンニ・ディーと結成したユニットこそ、デビュー・シングル「Habits Of Hate」を発表したばかりのハビッツ・オブ・ヘイトである。このシングルは、昨今のインダストリアル・ブームがベース・ミュージックに接近しつつある流れを反映させ、同時にダンス・ミュージックの攻撃性を極限にまで高めたヘヴィーなサウンドも鳴らしている。それはテン年代に向けた "ダブステップの再解釈" でありながら、プロディジーやケミカル・ブラザーズといった、ロック・ファンも巻き込んだビッグ・ダンス・アクトの血筋を見いだせるものでもある。言ってしまえば、将来的にディスクロージャーと肩を並べられるポテンシャルを示しているということ。それこそ、数年後には大型音楽フェスのメイン・ステージに立っていてもおかしくないほどの。「Boss」以降のサクセス・ストーリーや16歳という年齢ばかり注目されるハッパだが、そうした外部の煽動がなくても、生まれもって授けられた素晴らしいセンスだけでダンス・ミュージックの未来を切り開けるアーティストなのだ。この事実を「Habits Of Hate」は雄弁に鳴り響かせる。さすがのスクリームも、うかうかしていられないだろう(それゆえか、先日《Of Unsound Mind》というレーベルの立ち上げを発表したばかりだ)。


 そして、こうしたシングルが、ダブステップ以降のベース・ミュージックを牽引してきた《Hyperdub》の10周年記念コンピ『Hyperdub 10.1』と同じ年にリリースされたのは、なにか運命めいたものを感じてしまう。おまけに、ミリー・アンド・アンドレア『Drop The Vowels』が示せなかった、飽和状態にあるインダストリアル・ブームの "先" をたった1枚のシングルで私たちに見せてくれる。いやはや、すごい新世代が現れたものだ。


retweet