FOSTER THE PEOPLE 『Supermodel』(Columbia / Sony)

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 デビュー作で破格の成功をおさめたフォスター・ザ・ピープルが、至極まっとうな、堂々たるセカンド・アルバムをドロップした。世界中で1000万人以上がフィジカルを手にしたシングル「Pumped Up Kicks」に代表されるように、元々彼らのサウンドはシンセサイザーが肝になっていたのだが、今作は力強いギターが印象的だ。いま改めてアルバムを最初から聴いてみて、ちょうど3曲目に差し掛かったところなんだけど、こんなに堅実な進化を遂げるなんて、彼らは次世代のメインストリームとしての役割を担うことにとても肯定的なんだな、と実感する。何せファーストに並ぶアンセム揃い。そして、ファーストはダンスして汗だくになるアルバムだったけれど、今作はギター少年の心くすぐる見事なロック・アルバムに仕上がっている。浮遊感は後退し、かわりに地面にめり込むようなミドル・ビートが繰り出される。


 ここまで書いてみて、お洒落サウンド全盛の現代において、このアルバムが商業的な成功を得ることにはほとんど確信を抱いているのだが、作品性に関してはまともに評価されないんじゃないか、といらぬ心配をしてしまった。わたしは、10年遅くデビューしていたらゴキゲンなポップ・パンク・バンドで歌っていたであろうマーク・フォスター(ヴォーカル)の少年っぽい部分と、社会や人間の暗部をあぶり出すリリックと、人をちょっと小馬鹿にしたような象徴的なコーラスの、この絶妙なバランスのうえに成り立つアンセミックな魅力の虜になっている。純粋にオーディエンスを楽しませるために、まず自分たちが全力で楽しんでいるのが伝わってくるし、そのサウンドロジックは複雑に入り組んでいるが、一聴しただけでは分からないようにうまく工夫されている。どの曲を聴いても彼らっぽさはきちんと残されていて、ただ何回も聴くうちに、とてもひとつのバンドが作り出したとは思えない豊富なヴァリエーションがあることに気付く。


 結果論でいえば、彼らは成功したミュージシャンなのだが、デビューは意外に遅く、それまで自分たちの人生がけっして順風満帆ではなかったことがリリックからも窺える。だから、日常生活のなかでアイデンティティー・クライシスに苦しみ続けている人たちが、「ひょっとしてこいつらも同じような思いをしたんじゃないか」と想像することができる。たとえば今作に収録されている「Coming Of Age」では、自分に自信を持てず、それによってまわりの人たちを傷つけてきたことを認め、そのうえで自らの成熟を意識する、という内容が歌われている。成熟することは生きるうえで一種の喜びとなるが、それは若気の至りゆえに起こってしまった内外部のいざこざに疲れてしまった証拠でもある。わたしはいま20代後半を頭悩ませながら必死で生きている最中だから、この曲のメッセージにはひどく共感したな。そう、何かが完璧にうまくいかないのであればまだ吹っ切ることができるんだけど、問題なのは自分がいるべきではないと思っている場所で生きる時間が意外に長いということだ。



(長畑宏明)

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