HAPPY「Sun」(HAPPY RECORDS)

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 主に関西のインディーズ・バンドに関する批評を纏めた電子書籍『現代関西音楽帖』が先ごろフリーでリリースされた。岡村詩野監修のもと約1年かけて編集されたもので、1年前の段階ではほぼ無名だったバンドが現在は大きく注目されているケースも見られ、シーンの動向の早さに驚きを覚えた。その筆頭が京都は綾部市で2012年に結成された5人組ロック・バンドHAPPYだ。


 SSWの入江陽は「恋愛の終わりに気づいていないふりをする二人」について歌う自作曲「めきしこ」を、「原発に対する我々の態度の暗喩ではないか」と、EP-4佐藤薫に問われ驚いたという。時に批評によって、本人も気づいていなかった無意識の着想に気づかされるものらしいが、例えばSEKAI NO OWARIのように、歌詞以前にバンド名で物議を醸すケースもある。対してHAPPYはバンド名が期せずして、そんな暗い世相に対する強烈な批評となっているのが面白い。 


 そしてEPのタイトル「Sun」は、テンプルズのアルバム『Sun Structures』と被り、2バンドとも6070年代のサイケデリック・ロックの影響を受けている。しかし往時の雰囲気をより忠実に再現するテンプルズに対して、HAPPYはシンセ2台を駆使して、むしろポスト・パンク期のバンドに近いアプローチに思える。一曲目「Lift This Weight」は、重低音シンセにあたたかく親しみやすいメロディーと英詞ヴォーカルが乗るダンス・ナンバーで、続く「Win Key Gun」はBPMを落とし壮大な物語の始まりを予感させる。ハッピーというバンド名と爽やかなコーラスとは裏腹に、どこかダウナーな部分がメロディーの切れ間に見え隠れするあたりは、80年代のR.E.M.を思い出す。キーボード込みの編成でアフロ・ファンクの要素が感じられるという点では、名古屋のsukidadramas(スキダドラマズ)とも似ている。


 つらつらと書いてきたが、こういった連想が時代のムードを感じ取るヒントになればいいのだが。しかし一方で、HAPPYのメンバーがこれを読んだら「そんなこと考えもしなかった! 」と言う気もする。時代の流れを変えるようなアーティストとは得てしてそういうもので、無意識のうちに時代と共振する。



(森豊和)

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