CRZKNY「RESIST EP」(Mixworks)

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 CRZKNY(クレイジーケニー)は広島を拠点に活動し、数多くのジューク/フットワーク・トラックを生み出してきたアーティスト。CRZKNYが作るトラックの特徴はズバリ、フロアに集う者たちを吹き飛ばすほどの狂暴なベースである。また、稲川淳二ネタの「JUNJUKE」をカルト・ヒットさせ、さらにはキューピー3分クッキングのテーマ曲をチョップした「3minute 2K13」(アルバム『ABSOLUTE SHITLIFE』収録)なんて曲も作ったりと、お茶目なユーモア精神も窺わせる。


 一方でCRZKNYは、良質なエレクトロも量産している(とは言ってもジャスティスデジタリズムのほうではなく、ドレクシアなどのデトロイト色が強いエレクトロ)。そのなかでも代表作に挙げられるのが、《Tokyo Electro Beat》から発表された『NUCLEAR/ATOMIC』。サウンドのみならず、終戦記念日にリリースというメッセージ性も込めるあたり、先述のドレクシアを連想させる内容だ。


 そんなCRZKNYによる新たなエレクトロ作品、それが本作「RESIST EP」である。まずタイトル・トラックの「Resist」は、ハードなサウンドと性急なグルーヴが印象的。『NUCLEAR/ATOMIC』もそうだったが、アンダーグラウンド・レジスタンスに通じる精神と感性もあるように聞こえる。反骨精神が根底にありながら、同時にクラウドを踊らせる(そして楽しませる)ことも忘れていない。B面収録の「Radiation」も硬質なキックが聴き手を惹き付ける良曲で、フロアに投下されたら歓喜が起きそうだ。


 本作において見逃せないトピックといえば、DJスティングレイが「Resist」のリミックスで参加していること。彼はドレクシアの元メンバーで、アーバン・トライブ名義での活動もよく知られている。カール・クレイグムーディーマンとのコラボレーション経験もあり、テクノ好きなら誰もが知る人物だ。そのDJスティングレイによるリミックスはミニマルな音像が際立ち、ローランドが生み出した名機TR-808のものと思われるキックを堪能できる。ラフなプロダクションに聞こえるかもしれないが、それをディープなカッコよさに繋げているあたりはさすがだと思う。


 本作は、日本とデトロイトのアンダーグラウンドが何度目かの邂逅を果たした作品として記憶されるだろう。



(近藤真弥)

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