WARPAINT『Warpaint』(Rough Trade / Hostess)

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 前作『The Fool』から約3年ぶりとなるウォーペイントのアルバム『Warpaint』、実に心地良いサウンドスケープなんです。プロデュースはデペッシュ・モードやニュー・オーダーとの仕事が知られるフラッドに託し、ミキシングはナイジェル・ゴッドリッチ、さらにジャケット・デザインとミュージック・ヴィデオはクリス・カニンガムが手掛けるなど、80〜90年代のロック・ファンにターゲットを絞った? と思わせるような人たちが参加。


 とはいえ、本作が80〜90年代の音をまんま鳴らしているかと言えばそうじゃない。端的に言うと本作は、前作よりもエレクトロニックな音色が増え、洗練されたサウンドが印象的。どこか緩いバンド・アンサンブルが良い味を出していた前作と比べれば大きく異なり、緊張感漂う耽美的な雰囲気は聴き手をトリップさせる魔力で満ちあふれている。ポップ・グループやマキシマム・ジョイに通じるダビーなベースが多く見られる点はポスト・パンク、いわゆる "80年代的" かもしれないが、音が鳴っていない空間を生かした秀逸なプロダクションは現代的。少なくとも、"あの頃の音を懐かしむ" みたいな懐古的姿勢は皆無。まあ、「Hi」の曲展開は『Hail To The Thief』以降のレディオヘッドみたいで少々笑ってしまったが。しかしその「Hi」にしてもドラムの音はヒップホップの要素を滲ませたりと、いろいろ実験をしているのがわかる。


 そして本作中もっとも興味深いのが「Disco//Very」という曲。この曲はタイトル通りウォーペイント流のディスコ・ソングなのだが、何回聴いても "本当はジェームズ・マーフィーがプロデュースしたんじゃないか?" と勘ぐってしまう。ジェームズが主宰する《DFA》からリリースされてもおかしくないし、ザ・ラプチャー『Echoes』やLCDサウンドシステムの作品群で聴ける、あのファットなキックと乾いたハイハットがある。もしかすると、彼女たちなりに "00年代" を受け継ごうとしているのかも。


 今はなにかと "90年代" が取りあげられ騒がれている。だがウォーペイントは "00年代以降" の感性で過去と向き合い音楽を鳴らす。それこそ、LCDサウンドシステム「Losing My Edge」で歌われていること。強いて形容するならば、"YouTube世代の感性"。この感性をウォーペイントは持っている。ジェイク・バグ、ザ・ストライプス、グライムスカインドネスといった人たちと同様の感性。さまざまな要素が接合された本作を聴くとそう思える。





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