OLEG POLIAKOV『Random Is A Pattern』(Circus Company)

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Oleg Poliakov - Random is A Pattern.jpg

 鍵盤、ストリングス、ダブ、インダストリアル、カール・クレイグ......『Random Is A Pattern』はあまりにも多くのものを飲み込んでいる。そのせいで、ハウスをベースにした全10曲のテンポは上がったり下がったり、ゴタゴタとしている。序盤のミニマルなトラックからピアノを基調にしたスペーシーな「A Quiet Storm」に入っていく部分も、ベースがディープな「Ethereal Thoughts」とカール・クレイグをサンプリングした極上のハウス・トラック「C.A.V.O.K」の並びも、どちらも強引に感じられる。フレーズ・サンプリングから始まるダビーな「Lies」をテック・ハウスで挟んでいる後半の3曲もそうだし、最後の最後にヒップホップのサンプリングを持ってくるのもそうだ。しかし、全く不快ではない。あまりにも突然に雰囲気が変わるため、トラックのインパクトが大きい。4つ打ちは妙に気持ち良く響き、ベースは身体を包み込むように深い。そして、アートワークにソンヤ・ブラースの『Tornade(竜巻)』(『The Quiet Of Dissolution』シリーズより)が使われていることを考えると、多少の荒さは意図してできているのだろう。そうなると、このアルバムのプロダクションはもはや鮮やかであると言える。


 『Random Is A Pattern』は、オレグ・ポリアコフことフレデリック・オーバーグのキャリア初となるアルバムである。彼はオレグ・ポリアコフ名義での活動を始める数年前にスカットという名義でもデビューしているが、どうやら今作のリリースと同時にスカット名義での活動は"過去のこと"にしたそうなので、彼にとっては新たなフェーズに入る決断としての作品でもあるのだろう。とはいえ、サンプリングの使用量、ハウスというジャンルの中を動き回るように変化に富んだトラックを作る姿勢は、オレグ・ポリアコフになってもあまり変わっていないように思う。"変わっていない"というよりも、彼はスカット名義の作品も飲み込んだところでこのアルバムを完成させている。


 ちなみに、フレデリック・オーバーグがこれまでリリースしてきた作品はすべて12インチだったので、今作が初のCDリリースだ。クラブ・ミュージックにおける12インチでのシングルカットとEPリリースの、あの異様な量を目の当たりにすると、やはりクラブ・ミュージックはレコードで聴くべきなんだろうな、と思ってしまう。が、ほぼ毎週リリースされる12インチや7インチのシングルを追うように買っていくのは、学生の僕にとっては経済的にかなり厳しいことだ。待望のファースト・アルバムに収録されたのがリード・シングルとしてリリースされた「C.A.V.O.K」と「Subterranean Rivers」だけだったのは残念だが、《Circus Company》ならまたユニークで豪華なコンピレーションを出してくれるだろう。このレーベルは、今やロック・ファンにも知られるニコラス・ジャーをピックアップし、そして何と言っても、素晴らしいハウス・マイスター、オレグ・ポリアコフを世に出したのだ。



(松原裕海)

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