NEW GODS『Beloved』(Self Released) 

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 時代の音を鳴らしているか? 技術がずば抜けているか? 革新性はあるのか? そんなこと全部どうでもよくなって、ただ引き込まれて聴くアルバムが1年に1枚くらいある。私にとって、オーストラリアはメルボルンのバンド、ニュー・ゴッズのアルバム『Beloved』がそうだった。


 ニュー・ゴッズの持ち味は、教会の賛美歌を思わせる厳かなコーラスと鍵盤、アコースティック・ギターの響きに絡むヴォーカル、それに追従するエレキ・ギターといったサウンドで、それはヤックをはじめとする90'sオルタナティヴ・ロック復権の流れを思い出させるものだ。


 ニュー・ゴッズのフロント・マン2人はかつて、2012年までリトル・レッドというアート・ロック・バンドで活動し、ヴァンパイア・ウィークエンドやスプーンらとオーストラリア・ツアーをしている。そんな2人が日本デビューと来日公演も果たしたリトル・レッドを解散させ、新たに組んだニュー・ゴッズとして、インターネット上の架空カセット・テープという方法で『Beloved』を発表した。要はフリー・ダウンロードだが、そのやり方が凝っている。彼らのサイト上に浮かぶ手描きのプレイヤーをクリックすると再生ボタン、曲目、歌詞カード等が現れ、あたかも現物のカセットを手に入れラジカセで聴いている気分になれるのだ。


 最初のハイライトは4曲目の「Sky-Man」。眠りを誘うようなアルペジオと気だるいヴォーカルに始まり、中盤から歪んだエレキ・ギターが差し込まれるが、最終的に浮遊するギター・エフェクトとなってかき消えていく。6曲目の「I Love You Too」では、ジ・エックスエックスを思わせる反復リフとベース・ラインに乗せて切ない片思いが歌われ、後半のストリングスが華を添える。8分に及ぶ「Caravan Park」のインプロヴァイゼーションはまるでヴェルヴェット・アンダーグラウンドみたいだ。続く「Step Into The Light」は、挫折しながらも歩んでいこうとする意思を奏でる。静かな曲調から一転、幕を切り落とすような一音とともに暴れだすギターに、私はレディオヘッドの「Stop Whispering」を連想した。彼らが歌う10代の情熱、失望、その繰り返し、それは決して恥ずかしいことじゃないし、別に10代に限ったことじゃない。だからラストの「Deeper Love」で彼らは精一杯、大仰に演奏し、声を枯らして叫ぶし、私も折に触れ、このアルバムを聴き返すだろう。



(森豊和)



【編集部注】『Beloved』バンドのホームページからダウンロードできます。




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