MOGWAI『Rave Tapes』(Rock Action / Hostess)

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 もともと「歌詞のないインスト・バンド」という地点からスタートした、モグワイ(バンドとしては。メンバーは、それ以前にハードコア・パンク・バンドをやっていた)。それゆえ、だろうか? 彼らの表現は、「総合芸術~トータル・アート~ポップ・アートとしての完成度」が非常に高い。


 たとえば、最近、彼らは自分たちの名前を冠したウィスキーを発表した。スコットランドといえば(日本でも「スコッチ」という言い方があったくらいで)ウィスキーの本場。日本でいえば「バンド名入り地酒を造る」ってな感じ? この行為、あまりにグレイトすぎる。


 この原稿が発表されて数日~1週間くらいしたころ、彼らは来日公演をおこなう。そこでは限定生産の(って、あたりまえ! 酒を大量に造れるのは専門家だけ)その酒も売られるそうだ。うわっ! 飲みてー! ぼく(現在愛知県在住)も東京に住んでたら絶対行きたかったわ! モグワイ・ウィスキー飲みつつ彼らの轟音に...どっちに酔ってるんだかわからない。ああ、素敵すぎる...(笑)。


 これはディスク・レヴュー。なので、酒は関係ない(笑)。今回のアルバムについて言えば、そのタイトルおよびアートワークに、ぼくは完全にぶっとばされた。


 仕事がら、まずはディスクを手にせず音だけ聴いた。もう15年以上彼らの音楽を聴きつづけている自分だが、相変わらず素晴らしいと思った。まだ彼らの音楽を聴いたことのないファンがこれを聴いても、きっと「いい!」と思えるだろう。今回の特徴のひとつは、シンセサイザー系の音が(とりわけ)効果的に混ざっていること。彼らのライヴを何度も体験してきた自分としては(とくに、そこでは以前からシンセサイザー系楽器の使い方に感服していたので)「レア! これまでにないアルバム!」とまでは言えないけれど、それがこのタイトルおよびアートワークで「作品」としてまとめられると、やっぱ(自分にとって)目から鱗、「新展開」だと思ってしまう。


 モグワイがデビューする前、80年代後半~90年代前半に盛りあがった、いわゆる「レイヴ・カルチャー」には、いろんな意味があった。「パンクの自由さ」を10年ぶりに復活させたりとか、それよりさらに10年前のヒッピー・カルチャー的な「ちょっと常軌を逸してフレンドリーな感じ」にも近いとか...。そこ...「レイヴ」に集うディープな音楽ファンのあいだでは、ミックス・テープをやりとりするとか普通のことだった。著作権? いや、それはみんな「個人的な楽しみ」のためだけにやってたことだから(笑)。


 『Rave Tapes』を聴いていると、そんな「カルチャー」に通じる「自由さ」に今も包まれている気がして、頭がくらくらする。さらに言えば今回のアートワーク、その「(いい意味での)しょぼさ」が当時のレイヴ風。もっと言えば、テクノ系というより、レイヴ周辺でむしろ音楽的にはヒッピー・ロックに近いことをやっていた一部のバンドのそれを(わりと直接的に)想起させたりする。


 うーん、やっぱ、モグワイ「ややこしくて深い」ぜ...って、たぶん(とくにアートワークに関しては)「意識せずやってる」気もしますが...。


 でも、(逆説的に)だからこそ、いいんだろう!



(伊藤英嗣)

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