KATY B『Little Red』(Rinse)

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 アルーナ・フランシス(アルーナジョージ)やジェシー・ウェアなど、ここ最近のイギリスには良質な歌姫がたくさんいる。ロンドン出身のケイティ・Bもその良質な歌姫のひとりだ。


 ケイティは10代の頃からヴォーカリストとして活躍し、2000年代半ば頃にベース・ミュージック・シーンで頭角を現した。DJ NG「Tell Me」、ジンク「Take Me With You」、ジーニアス「As I」といった曲に参加して、着実に知名度も得ていく。これらの作品がリリースされた時からベース・ミュージックを追いかけてきた筆者にとってケイティは、いわば "青春" みたいな存在。


 そんなケイティが多くの人に知られる大きなキッカケは、マグネティック・マンの『Magnetic Man』に参加したことだろう。この作品で全英アルバム・チャート5位を獲得したマグネティック・マンは、ベンガ、スクリーム、アートワークによるユニット。言ってみればベース・ミュージック界のドリーム・チームであり、そんなユニットにプッシュされたのだから将来は約束されたも同然。実際ケイティは2011年のデビュー・アルバム、『On A Mission』で全英アルバム・チャート2位を奪取した。


 さて、そうした成功を経てリリースされた本作『Little Red』は、前作以上にポップ・ソングとして聴かせることを意識した内容になっている。多くの曲が3〜4分台に抑えられ、ガイ・チェンバース、ジーニアス、ジョージ・フィッツジェラルドらによるサウンドはトランシーなグルーヴを生み出し、プロダクションも秀逸。全体的には昨今盛り上がりを見せるEDMに接近しながらも、「Next Shings」といった曲は90年代ハウスの要素を感じさせる。このあたりはおそらく、ディスクロージャーやゴルゴン・シティーといったハウス・ユニットが注目を集めるイギリスの音楽シーンに反応した結果だろう。


 また、ケイティは本作において、『On A Mission』と同様にソングライティング面でも奮闘している。5曲目「I Like You」以外は"Written"に彼女の名があり、そのせいかキャッチーな曲が多い。ヴァリエーションが少なくワンパターンなのは否めないものの、聴き手を一発で惹きつけるメロディーはとても親しみやすい。現時点では才能花開く、とまではいかないが、このまま順調に曲作りを経験していけばさらなる飛躍も可能だ。



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