TEMPLES「Shelter Song EP」 (Heavenly / Hostess)

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 信用できる耳を持つ知人が噂しているバンドは、聴いてみたくなるのが人情だと思う。私は知人のバンド・マンに会うと決まって「いま気になるアーティストは誰?」とたずねる。去年の秋、名古屋のニュー・ウェイヴ・バンドCRUNCHのメンバーがこう答えた。「サイケデリック期のビートルズ、シド・バレット在籍時のピンク・フロイド、あるいはゾンビーズの『Odessey & Oracle』を連想するバンドなんです」。聴かないわけにはいかない。調べたらチャーリー・ボイヤー・アンド・ザ・ヴォイヤーズに続く《Heavenly》からの新人バンド、テンプルズのことだった。


 彼らは、ギター/ヴォーカルとベース、ドラム、キーボードの4人編成。本国イギリスではサード・シングルまでリリースされているが、2013年11月末の初来日に合わせて5曲入りEPが届けられた。内容は最初の2枚に収録された4曲にサード・シングルのB面曲を合わせたもの。「Penny Lane」の頃のビートルズを現代の感性で解釈し、恋人との甘い一夜を夢想するShelter Song。そしてどこか場末のスナックで飲む孤独な一夜を思わせるPrismは、ママが仕事で疲れた客に子守唄代わりに歌う曲みたいだ。このファースト・シングルをジョニー・マーが賞賛し話題になった後、続いて録音されたのが残る3曲。スケールのでかい音響空間を描き、ノエル・ギャラガーに銀河系の未来がかかった音とまで言わしめたColours To Lifeから、過酷な行軍をイメージさせる曲調のAnkhへ。最後の「Jewel Of Mine Eye」では、ノスタルジックなメロディーに乗って我々は異端者だと歌う。


 リヴァーブが効いてモヤっとしたサウンドは、オーストラリアのサイケデリック・バンド、テーム・インパラと比肩され、テンプルズ自身、自らの音楽をネオ・サイケデリックと称している。我々日本人にも耳なじみがいいメロディー、私が思うに60~70年代のグループ・サウンズに似ているのだ。当時の海外ガレージ、サイケデリック・サウンドを輸入して独自解釈した音。もちろんテンプルズがそんなもの聴いているはずがない・・・、いや待てよ、日本の古い歌謡曲、ロックの一部は海外で珍重されているケースがある。遠い異国へ流れ着いた日本のレコードから彼らが着想を得ていたとしても不思議はない、むしろロマンチックだ。そして、万が一その妄想が正しければ、テンプルズのサウンドは日本でこそ、さらなる喝采を浴びる可能性があるのだ。



(森豊和)

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