THE 1975『The 1975』(Dirty Hit / Universal)

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 話題になりはじめたころ、EPの曲をちょっと聴いてみたら、このバンド名のわりにドラムの音のダサさとか80年代っぽくない? ヴォーカルもスタジアム・ロックっぽいかも...と、あまりいい印象を受けなかったのだが、アルバム聴いて一気に意見を変えた。「今のダンス・ミュージック(R&Bおよび宅禄ポップっぽいフランク・オーシャンあたりも含む)」のいいところを、舌を巻いてしまうくらい見事に、ダイナミックかつしなやかなバンド・サウンドにとりいれている。


 アートワークや写真のイメージだと、かなりダークなこともわかったのだが、それと曲によっては脳天気なほど明るいトーン...という落差も最高におもしろい。だから、今のMGMTに感じる「明るいのか暗いのか、どっちともいえない」雰囲気が(また違った意味で)ここにも...!


 なにより素晴らしいのが(アルバム1曲目から順に)「The 1975」「The City」「M.O.N.E.Y.」「Chocolate」「Sex」「Talk!」...という、もう「シンプル」とか「わかりやすい」とか言うのもはばかられる曲名の数々。英語が母国語ではないぼくらにもやさしい...ってのを通りこして、一体何考えてるんだ? こいつら? と、うれしく...楽しくなってしまう。


 少なくとも「間口を広くしよう」という(無意識の? どうなんだろう?)意図だけは見えてくる。実際UKでは、かなり売れているらしい。いいことだ!


 結成地もしくは本拠地は、マンチェスター。なるほど! ぼくが(10CCの昔から)そこ出身のバンドを好きになることが多い理由は、その町の音楽にしみついた地方都市性にあると思っている。


 地方都市、そこでは「ジャンルの垣根」に関して「大都会」(クリスタル・キング...じゃなくて、東京とかロンドンとかニュー・ヨークとか)以上に頑なになってしまう人たちもいることはいるけれど、それを「自然に」飛びこえることに関しても、ときに「大都会」の人以上にむちゃくちゃなパワーを発揮することがある。


 このアルバムは、まさにその典型と言えるかもしれない。


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