MIRROR / LOW-PASS「split」(STIFFSLACK)

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low-pass.jpgのサムネール画像

 本作は東京のMIRROR、京都のLOW-PASS、2組のスプリット7インチである。両者とも国内外問わず数多くのバンドと共演を重ねるメロディアスで軽快なインストゥルメンタル・ポスト・ロック・バンドだ。彼らの音楽は歌が無くてもギターの一音やドラムの一打だけで感情は表現できることを教えてくれる。


 まずMIRRORについて述べる。ジャケット・イラストは公園で遊ぶ少年だが、1曲目「FAAF」はブランコを揺らす少年の身体感覚を2本のギターと小刻みなドラムで表しているかのよう。続く「Awkward」は、グローブジャングルを回す少年のイメージが思い浮かぶ曲。ミラー・ボールにも通じるその回転はタイトル通りぎこちない。少年が大人になる過程で出会う様々なドラマを奏でているのかもしれない。LOW-PASSも同じく2曲収録しているが、MIRRORからバトンを受け取って、公園で遊ぶ少年のその後、思春期の物語を綴っていると私は解釈した。積乱雲を意味する「cumulonimbus」は、薄暗がりのなかから徐々に光が差し、世界が明るく照らされていく光景が思い浮かぶ。2曲目「chapter square」では、ファンキーに歌うリード・ベースとアクロバティックに高鳴るギターが絡み合い、自在に拍子を変え展開するドラムがアクセントを添える。その様は、3つの楽器がそれぞれに別の曲を演奏し、それらが組み合わさって1つの曲になっているかのよう。ありったけの感情を詰め込むには有効な手段だ。結果として数分間のポップ・ソングで、思春期の様々な葛藤が表現されているように感じさせる。


 本作は国内外のエモ~ポスト・ロック・アクトをリリースするレーベル《STIFFSLACK》から。名古屋栄にバー併設の実店舗を構える同レーベルは、《Polyvinyl》等海外レーベルのヴァイナルをCDとして国内流通させる一方で、7インチのリリースにも積極的だ。例えば、cinema staffの兄貴分にあたるClimb the mindのCDと7インチ、そしてOGRE YOU ASSHOLEの出戸学も尊敬するSICK OF RECORDERの復活作となった7インチをリリースしている。LOW-PASSについて付け加えれば、ベース小野泰伸は細野晴臣をリスペクトし、女性シンセサイザー奏者3人とのニュー・ウェイヴ・バンドYOU MUST SEE Iとしても活動している。東京~名古屋~京都間での繋がり、ミュージシャン個々の音楽性の出自をたどっていくのも面白い。



(森豊和)

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