LOVE LOVE LOVE「アンサーソング」(Self Released)

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 ライブ会場限定で販売している3曲入りシングル。ナイーヴでひねった内容をホップにしているのが良い。音符の間を滑らかな曲線で繋いでいくような独特の歌唱法と優しく伸びる声がどことなく、はっぴいえんどを彷彿させる。極めてナチュラル、それでいてブルーな旋律。そんな寺井孝太の歌声に、リスナーの心は締めつけられながらも洗われていく。


 タイトル曲である「アンサーソング」。LOVE LOVE LOVEは今年で結成10年なのだが、その節目にソングライターである寺井が改めて音楽と自分、というテーマで作った1曲だ。それはたぶん、音楽と彼自身が一心同体だという所信表明。クールじゃないし派手さもないが(むしろ地味・・・)、切なくなるくらいに熱い。レイドバックした演奏の中に激しい感情をたぎらせているのは、《でも君を忘れたくない 君はいつだって僕のもの 夢見ているんだ 夢見ているんだ 君との夢 それアンサー 果てるまで僕のアンサーなんです》という歌詞からも伺える。弱々しく女々しい軟弱ポップス(褒め言葉!!)だが、楽器の音を必要最低限に抑えてメロディーを際立たせ、ひたすら優しいヴォーカルを聴かせる戦略(だと本人たちは思ってないと思うが・・・)は大正解。今の彼らが感じていることをそのままメロディーに乗せている。素直で飾らない彼らの思いは、聴く人の素に寄り添い、励まし、元気を与え、そして自然と笑顔を生む。そんな曲だ。


 そして、1曲目に収められている「一生傷」。この演歌のようなタイトル、そして普段はベース/ヴォーカルである寺井がピアノで弾き語っている、異色の1曲。意図的と思えるほどに未整理な手ざわり、解消不能な痛みにのたうちまわるような空気感は彼らなりの原点再確認、ある種のリセットなのではないかと解釈したくなる。アコースティックでありながら、お腹にズシンとくるこの重さはどうだ。少し頼りないヴォーカルが淋しさを漂わせながらも、時折力のある言葉で真実をついてくる。曲のなかの不思議なドラマ性の高さが聴く者の耳を捕らえて離さない。弾き語りという、放っておけばどこまでも内へと入り込んでいける道具を使いながら、絶対に溺れない、という寺井自身の壮絶な戦いのような曲だ。静かな激情が確かにある、美しき世界。


 本物っぽい雰囲気より、感動するメロディーを。その考え方は最近のシンガー・ソングライターよりも、往年の作曲家に近いかも知れない。一部のマニアを喜ばせるものではなく、老若男女に届く歌心を追求するLOVE LOVE LOVE。その志の高さが変わらないからこそ、彼らはどんな時でも努力し続けているのだし、その努力があったからこそ、今作は彼ららしい傑作に仕上がっている。



(粂田直子)

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