FRIENDZONE『DX』(Self Released)

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 FACTに掲載されているフレンドゾーンインタヴューは、実に興味深い内容だった。そのインタヴューによると、メンバーのジェームズとディランはPerfumeダニエル・ロパティン、ザ・スミスなどを愛聴しており、さらには多くの人が持つ音楽に対する先入観に不満を述べていたりと、彼らが音楽に接する際の姿勢を垣間見ることもできる。


 フレンドゾーンを一躍有名にしたキッカケは、おそらくメイン・アトラクションズとのコラボレーションや、エイサップ・ロッキーにビートを提供するといった、ラッパーとの仕事だと思う。それゆえフレンドゾーンのことを、クラウド・ラップ周辺のユニットだと認知している人も多いはず。


 とはいえ、自身のアルバムやシングルにおけるフレンドゾーンは、ヒップホップだけでなく初期IDM、トラップ、それからオールド・スクール・エレクトロも取り込むといった、ひとつのスタイルに収まらない奔放さを持ち、レイヴィーなシンセの音色を好むセンスはハドソン・モホークラスティーに通じる。言ってみれば、憧憬にも尊崇にも溺れない、あらゆる音楽を平等に扱い消化してしまうラディカルな感性。こうした獰猛さを、オタクなルックスとは裏腹にフレンドゾーンは秘めている。


 本作『DX』は、その獰猛さが顕在化した作品だ。前作『Collection I』は、美しいアンビエント・ミュージックの「Stresses」で幕を開けるなど、落ち着いた"静"の雰囲気を漂わせていたが、本作ではザ・フィールドに通じるトランシーな恍惚感を強く打ち出し、エイフェックス・ツインの『Selected Ambient Works 85-92』をアップデートしたような高揚感もある。ちなみにジェームズとディランは、共にエイフェックス・ツインの作品群にハマっていたそうで、本作の2曲目「RETAILXTAL」ではエイフェックス・ツインの代表曲「Xtal」をサンプリングしている。過去にも岡田有希子をネタにしたりと、遊び心あふれるサンプリングもフレンドゾーンの特徴だが、本作においてもそれは健在といったところか。


 そしてもうひとつ本作の特色を挙げるとしたら、すべての曲がメロディアスであることだ。ゆえにドラマティックであり、ほんの少し狂気が滲むイノセントなエモーションを宿している。そんな本作に筆者は、聴けば聴くほど『Selected Ambient Works 85-92』の影を見いだしてしまうのだが、ここは躊躇せず、『DX』はインターネット・ミュージック世代の『Selected Ambient Works 85-92』、と言ってしまおう。



(近藤真弥)




【編集部注】『DX』はフレンドゾーンのバンドキャンプでダウンロードできます。

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