EQ WHY『The Dynamic Time』(Booty Tune)

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 日本ではDJラシャド『Double Cup』と同日の10月19日にリリースされた、EQホワイのファースト・アルバム『The Dynamic Time』。もしかすると、『Double Cup』は持っていても『The Dynamic Time』はまだ、なんてリスナーもいるのだろうか? もしあなたがそんなリスナーのひとりならば、今すぐ『The Dynamic Time』を探しに近くのCDショップへ行くべきだ。


 EQホワイといえば、今年1月に自身のトラックを100曲以上も詰め込んだ『100%EQWHY(100+ Juke Tracks)』をフリー・ダウンロードでリリースするなど、トラックだけでなく行動でも私たちに"驚き"を与えてくれた。だがこの作品、物足りなさがある内容だったのは否めない。もちろんトラックのクオリティーは素晴らしく、全曲フロアで映えるのは間違いないのだが、EQホワイはフットワーカーによるフットワーク・バトル向けのトラック、いわゆる"フットワーク"を得意とするトラック・メイカーであり、そういった意味でややおとなしい『100%EQWHY(100+ Juke Tracks)』は、EQホワイの本質を伝えているとは言いがたい作品だった。


 しかし、『The Dynamic Time』は全曲フットワークとなっており、EQホワイの真骨頂を味わえる。乱れ飛ぶヴォイス・サンプリング、予測不可能な刻み方をするリズム、そして圧倒的な勢いと熱を帯びたグルーヴは、文字通り"踊るための音楽"である。


 とはいえ、ジューク/フットワーク・ファンにだけ受け入れられる作品かと言えばそうではない。本作の優れた点のひとつは、展開の奇抜さで多くの人を取り込める可能性を秘めているということだ。唐突に音を抜いたかと思えば、次の瞬間にはシンセ・サウンドが飛び出してきたりと、いわばビックリ箱のようなトラックが多く収められている。


 本作のトラック群は、フロアやDJミックスにおいて本領発揮となるタイプのものだが、家で聴いても興奮を得られるのは間違いない。もちろんその興奮は、これまでジューク/フットワークを聴いたことがない人も味わえる。この点は、RPブーのアルバム『Legacy』と共通する要素だと思う。



(近藤真弥)

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