奥名懋一「(Jesus has given and)xxx​.​EP」(ano(t)raks)

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 こりゃあ良いっすな。奥名懋一(「おくな・ぼういち」と読むそうです)が《ano(t)raks》からリリースした、「(Jesus has given and)xxx​.​EP」のことです。幽玄なサウンドスケープに身を委ねる心地よさ、繰り返し何度も聴いてしまう中毒性、そしてどうしようもなく惹きつけられてしまうポップネスとキュートさ。筆者の記憶から例えを引っ張りだすならば、エイフェックス・ツイン『Selected Ambient Works 85-92』や、グライムス『Halfaxa』を初めて聴いたときの驚きでしょうか、これと類似するナニカが本作にはあるのです。


 長野出身の17歳である彼女(らしい)、奧名懋一を知ったキッカケは、自身のバンドキャンプにアップされている「praha. EP」なんですが、ローファイながらも美しさを湛えたアンビエント・サウンドにすっかりトリコとなってしまい、特に10分以上もある「lumière (yasasii Remix)」は、音色の変化などが最低限に抑えられたミニマル・ミュージックの要素、それからドローン的な耽美的雰囲気も携えていて、寝転びながら何十回と聴かせてもらったほどハマりました。もし興味を持った方がいましたら、「praha. EP」もぜひ。


「(Jesus has given and)xxx​.​EP」に話を戻すと、アンビエントな音像を基調としながらも、ビートはヒップホップからの影響を感じさせるなど、彼女の彩度ある音楽性があらわになっていまして、このあたりが「praha. EP」とは異なる点だと思います。それから本作は彼女なりの歌モノ作品でもあって、「waterfloat」「cherenkov」「praha(yasasiii pop ver.)」では、彼女によるものと思われる歌声が聴けます。「praha(yasasiii pop ver.)」においては、《YO チェキラッチョ》なんて掛け声が唐突に入ってきたりと、かなり奔放な姿を垣間見ることもできる。


 さらに面白いのは、本作では何かが水面に落ちる音が随所で印象的に鳴り響くこと。これは「praha. EP」も同様だから、彼女は水の音が好きなんでしょうか? それはともかく、この水の音が鳴るタイミングもほんと絶妙で、カッコいい。


 彼女のツイッターを見る限り、わざと文字化けしたような文体でツイートを頻繁にしていたりと、キャラもかなり立っているので、いろいろ楽しませてくれそう。 とにかく、今後の活動が楽しみなアーティストがまたひとり現れたということです。



(近藤真弥)




【編集部注】「(Jesus has given and) xxx​.​EP」は《ano(t)raks》のバンドキャンプからダウンロードできます。

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