dOPPO『反復』(iscollagecollective)

| | トラックバック(0)
dOPPO.jpg

「音楽は趣味でも仕事でもないかなあと思っている。音楽で食べて行こうとは全く思わないし、そんなおこがましいこと言えるような、まともなものじゃない。僕のは本当にインチキだらけ。音楽は趣味や仕事という概念でない。僕は歌う、皆はそれにお金を払って聞く。ただそれだけがいい」(電子書籍『dOPPOの反復mAGAZINE』所載、dOPPOの中心人物、橋本和樹のインタビューより抜粋)


 dOPPOの『反復』は本当にしつこいくらい反復する。歌詞も演奏も同じフレーズの繰り返し。ただし少しずつ位置をずらして、気がついたら真上から、あるいは足元から響いてくる。ドキリとすることを当たり前のボキャブラリーの範ちゅうでつぶやいている。ハード・コアの出自があって、明るい曲がやりたい、それがこんなフォーク・アルバムになるなんて。だからだろうか、背景音がすごいのだ。そのなかには橋本の趣味である編み物や切り絵も含まれる。切り絵はCDのジャケット・アート等に生かされているが、編み物は曲自体に登場する。メリヤスという曲はメリヤス編みに由来する。日々の生活の音を紡ぐ。


 木琴やピアノ、それにギター、ベース、ドラム。それらが曲ごとに組み合わされる。トラックは2010年頃に録ったが歌は今回とりなおし。メンバーでドラムも叩く辻本まりこの歌う数曲はイタリアのフィレンツェ録音だという。そのとき彼女がそこに住んでいたからだ。「元々セッションで曲をつくっていたのが、取捨選択して曲を作るようになっていった。歌とメロディがあればいい。斬新なアレンジとかバンド演奏のソリッドさは無くなって、曲もシンプルになった」と橋本は語っている。


 dOPPOは2003年頃から京都で活動しはじめる。eastern youthや、《K Records》等のUSインディーに憧れて、という出自から想像できる音楽性で、初期には京都のbedというバンドの山口将司がギターを弾いていた。名古屋のバンドTHE ACT WE ACTのベース五味秀明が加入したのをきっかけに2009年名古屋に移住。Stiffslack所属のバンドClimb The Mindの山内幸次郎がライブにおいてピアノで参加し、小鳥美術館というデュオのギター牧野とスタジオ入りしたり、名古屋のインディー・バンドと交流を深めるが、五味脱退後の2012年に再び京都に帰る。Vampilliaやトゥラリカ等をリリースする名古屋のレーベル《iscollagecollective》より2013年、初の1stフル・アルバムを発表した。最近はdOPPOではなくchinese magicianと名乗って演奏しているらしい。その時々に参加するが違う不定形ユニット。たとえば、もしあなたがチェロを弾けるなら、chinese magicianに参加してほしいそうだ。できれば彼らにすっとんきょうな音をくわえてほしいよ。


 ここで冒頭の橋本の発言に戻る。dOPPOの音楽は決してインチキではない。音楽は趣味か仕事かという議論を超越して、歌いたいから歌う。それだけ。私もこの文章をただ書きたいから書いている。



(森豊和)

retweet

トラックバック(0)

このブログ記事を参照しているブログ一覧: dOPPO『反復』(iscollagecollective)

このブログ記事に対するトラックバックURL: http://cookiescene.jp/mt/mt-tb.cgi/3693