THE WATERMARK HIGH「Murmurs EP」(Self Released)

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 まず、迫力のあるジャケットに目を惹かれる。カットアップ/コラージュで作られたそのジャケットは、サンプリングを主体に作られた本作「Murmurs EP」を見事にヴィジュアルとして表現しきっている。


 本作を作り上げたのは、南アフリカはヨハネスブルグを拠点に活動するザ・ウォーターマーク・ハイ。彼の音楽を一言で表せば、おそらくビート・ミュージックということになるのだろうが、おもちゃ箱のようにキラキラとしたそのサウンドスケープは、まるで歌っているかのようなポップ・ソングとしてのキャッチーさを獲得し、単一タグでは括れない音楽的彩度がある。


 全5曲のすべてが弾けるような躍動感をこれでもかとアピールし、トロピカルなサウンドと奔放なサンプリング・センス、それからダイナミックなビートなど、本作を組成するあらゆる要素が瑞々しさを放っている。荒々しくも刺激的な響きをもつ音色、そして自身の感性をそのまま音に変換したような感覚的かつのびのびとした作風は、アンリ・マティスやモーリス・ド・ヴラマンクといった、いわゆるフォーヴィスム周辺の絵画作品を彷彿させる。いわば本作は、"音を鳴らしている"というよりは、"音を描いている"と言ったほうが適切なサウンドを創造している。


 それが顕著に表れているのが、1曲目の「Life's That」である。地を揺るがすほどの強烈なビートが印象的に刻まれながらも、優雅で上品なサウンドが次々と飛び出してくる。ブームや固定化したスタイルとは無縁の場所からこうした作品が生まれてくること、また、そうした作品に出会えたことを嬉しく思えるような本作は、あらゆる"音楽好き"の心に届くはずだ。



(近藤真弥)



【編集部注】本作はザ・ウォーターマーク・ハイのバンドキャンプでダウンロードできます。

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