ANAMANAGUCHI『Endless Fantasy』(Dream Hax / Inpartmaint)

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 以前にレヴューを書いたDSTVVに関わる《Teen Witch Fan Club》や、ウルトラデーモンを中心とするシーパンクなど、ネット以降における新たな文化創造とコミュニティー形成のプロセスを経た表現は本当に面白い。これらの動きは、様々な文化を渡り歩く軽やかさと全能感を携え加速しているし、「もはや自分が孤立した個人であるとは感じなくなり、自らが、急速に統合するグローバル・ネットワーク、すなわちめざめたグローバル・ブレインの神経細胞の一部であることを知る」(※1)状況をもたらしている。青臭いことを言えば、すでに革命は起きていて、あとはそれに気づいたうえで行動すればいいんじゃないかとすら思える。おそらく、ニューヨークのバンドであるアナマナグチも、そうした状況を愉快犯的に楽しんでいるのではないだろうか?


 アナマナグチは、海外版ファミコンのNESやゲームボーイを駆使した音楽性が特徴で、いわゆる8ビット/チップ・チューン・サウンドを鳴らす4人組バンドである、というと、ニッチな層に好まれるバントと思うかもしれないが、いやいや、彼らのサウンドには実に数多くの音楽的要素が混在している。ロックを基調としながらも、EDM、エモ、さらに「Japan Air」ではJ-POPを大胆に取りいれるなど、あらゆる音楽にアクセス可能となった"今"の恩恵をフル活用した爽快さを纏っている。さらに彼らのメロディー・センスには、聴く人を選ばない親しみやすさがある。


 しかし何より面白いのは、彼らのオタク的側面が爆発した曲名群。「Endless Fantasy」というRPGのタイトルみたいなものもあれば、ネット上で行われている音楽フェスの名称である「SPF 420」。大友克洋原作のアニメから引用したであろう「Akira」。たぶん"暴走族"の「Bosozoku GF」。さらには顔文字を掲げた「(T-T)b」もある。こうした感性は初期のハドーケン!に通じるものだが、アナマナグチはそこからさらに飛躍した過剰さを持っている。真面目な話、これが現在(いま)なんだと思う。



(近藤真弥)




※1 : ピーター・ラッセル著『グローバル・ブレイン』の第5章「進化する現代社会」130頁より引用。

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