DEADBOY「Blaquewerk」(Numbers)

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 なんか最近、テック・ベースなるジャンル名をよく見かける。簡単に説明すれば、テクノ色が強いベース・ミュージックということになるのだろうか。筆者なりにいろいろ聴いてみた限りでは、ポスト・ダブステップと呼ばれる音楽に近い、というか曲によっては、ほとんど変わらない。ポスト・ダブステップには、2000年代半ば頃から定型化してしまったダブステップが、本来持っていた高い順応性を拡大解釈するという側面もあるから、そうした様々な試みのなかからテック・ベースも生まれたのだと思う。


 現にテック・ベースは、とても曖昧な音楽だ。例えば、ベルリンのレーベル《Dystopian》のリリース作品をテック・ベースとする者もいれば、モードセレクター主宰の《50 Weapons》からリリースされた、ベンジャミン・ダメージの『Heliosphere』をテック・ベースと呼ぶ者もいる。だが、いま例として挙げた音楽の間には明確な差異があり、言ってしまえば、全然似ていない。とはいえ、それが悩みになることはなく、むしろ先に述べた拡大解釈の成果とするべきだろう。


 その成果のひとつとして、デッドボーイによる「Blaquewerk」は面白いEPだ。デッドボーイは、サブマーズのシングルなどをリリースする《Well Rounded》の看板アーティストであり、スキューバやデルフィックのリミックスも手掛けるなど、いまや多くの注目を集める売れっ子。


 そんなデッドボーイは本作において、かなり大胆な横断性を披露している。アンセミックなディスコを鳴らす「On Your Mind」をはじめ、アート・デパートメントに通じるディープなハウス・ミュージックで聴き手を惹きつける「Geek'd Up」。さらに「Black Reign」では、『Homework』期のダフト・パンクを想起させるフィルシー・プロダクションでUKガラージを調理している。そして「Nova」はなんと、ジャングルである。雑食的音楽は数多くあれど、ここまでやられてしまっては、もはや笑うしかない。



(近藤真弥)

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