doopiio『Syrup Gang』(Day Tripper Records)

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 『Footwork On Hard Hard Hard!!』『160 OR 80』といったコンピレーション・アルバム、それからサタニックポルノカルトショップの『AtoZ!!!!!AlphabetBusterS!!!!!』、クレイジーケニーの『Absolute Shitlife』など、シカゴのジュークを独自の視点から発展/進化させた作品が日本から立て続けに生まれている。


 イギリスではジュークがポスト・ダブステップ的に解釈され、ブルックリンからはスラヴァの「Soft Control EP」といったインディー・ダンスと交雑したジュークも出てきているが、正直に言うと、日本におけるジュークの盛りあがりと比べればまだまだである。例えば、先月新宿ロフトでおこなわれた《SHIN-JUKE Vol.2》がそうだったように、異なる要素が交わる瞬間の興奮とダイナミズムという点では、日本のジューク・シーンは群を抜いて面白い。そうした日本のジューク・シーンの面白さが、本作『Syrup Gang』にはあると思う。


 本作を作りあげたドーピオは、それぞれ京都と大阪に在住している2人組のユニット。そんな彼らが生みだす音楽はジュークだけでなく、LAビート・ミュージック以降のビート感覚も持ちあわせており、インテリジェンスの高さを窺わせるサウンドスケープも秀逸だ。そして、ひとつひとつの音に込められた遊び心はコーネリアスを想起させる。すべての曲が洗練されており、尚かつアッパーなグルーヴが耳に残ることもあって、筆者はピクニック・ウーメンのジュークを想起してしまった。また、本作はコズミックなアトモスフィアを醸しだしているが、このアトモスフィアには、スペース・ディメンション・コントローラーに通じるSF感がある。こうした世界観も本作の聴きどころだと言える。


 強いてお気に入りを挙げるとすれば、「Aspara」だろうか。この曲のダイナミックな展開は、熟練のジャズ・ミュージシャン達によるジャム・セッションを思わせる。それから「Redlips」も特筆しておきたい。本作のなかでは最もシカゴ産ジュークに近い音を鳴らしているが、エレガントな音色とビートは何度聴いても心地よい。ジュークの良さであるラフな質感を残しつつ、同時にドーピオなりの独自性を確保することにも成功している。



(近藤真弥)

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