OKLobby『Resort』(Self Released)

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 レーベル《同窓会》を主宰し、去年の年末に渋谷WOMBでおこなわれたイベント《大ネットレーベル祭》でも素晴らしいパフォーマンスを披露してくれたフード(Fo0d)の別名義によるアルバム『Resort』。フードとしても、『Amusement music』という良質な作品を去年リリースしたが、本作では、テン年代以降の要素を混ぜあわせた、温もりあふれるポップ・ミュージックに仕上げている。


 収録曲のなかで特に興味深いものを挙げると、まずは1曲目の「Brainwash」。スクリュー・ヴォイスやクエドなどに代表されるシカゴのジュークを独自解釈したようなジューク、いわば換骨奪胎の換骨奪胎をしているのが面白い。アルバム全体としては、チルウェイヴ以降のドリーミーなサウンドスケープが目立つものの、ビートや音色のヴァリエーションが豊富で、さらにはダンサブルな展開を作りだせるグルーヴもあり、聴き手を飽きさせない。そして、10曲目の「mind resort Scidaria」に代表される子供のチャントなど、随所にユーモアを散りばめているのも素晴らしい。


 そういえば最近、《Pitchfork》に"The New Electronic Brooklyn Underground"という興味深い記事が掲載されたけど、本作に込められた感性は、この記事でピックアップされているアーティストたちに通じるものがある。もちろん現在のブルックリンはテクノやハウスといった"エレクトロニック"色が強いし、"インディー=ロック"という図式を見事に壊した、いわゆる《DFA》をキッカケとしたジャンルの溶解と地続きのものだ。しかし、その溶解の成果として、サファイア・スロウズ(Sapphire Slows)やタクワミ(Taquwami)といった、先述の溶解と共振するアーティストが日本からも現れているし、《Cuz Me Pain》や《Diskotopia》など、面白いレーベルも出てきている。


 そしてこれらは、音楽性というよりも、溶解を楽しめる感性でもって繋がっているように見える。だからこそ、その溶解を象徴する動きであるインディー・ダンスにしても、そこにはハウスもテクノもあれば、ロックもアンビエントもあり、そこへ新たにインダストリアルやジュークも流れこんでいるのではないか。その点においても、本作はモダンなポップ・ミュージックとして多くの人に聴かれるべきだ。



(近藤真弥)




【編集部注】本作はOKLobbyのバントキャンプでダウンロードできます。

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