LOVE LOVE LOVE『Sun In The Rain』(Speedstar)

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 結成から9年、初となるオリジナル・アルバムが完成。Vo.寺井孝太の優しい歌声を活かしたアコースティック・ナンバーから多重コーラスなハーモニー・ポップ、ストレートなロックまで、良性分裂症のごとき、俺ワールドを見事に確立している。


 「アルバムの制作が始まる前後ぐらいで、前向きなもの、っていう作品のテーマがあったんです。自分たちのバンドの背景も世の中の背景もありますし。でも一番は僕らが表現者として、人に対して何が出来るんだろう? みたいなことを前回のシングルから考えるようになって、そこから前向きに聴いてもらえるアルバムを作りたいっていうのがあったんですよね」(Vo/Ba 寺井孝太。以下同じ)


 確かにメロディが暗かったり切ない歌詞だったりしても、最終的にはポジティブな内容になっている、というのが今作の特徴かも知れない。


 「レコーディングが始まって、前向きに聴いてもらえるアルバムを作りたいっていう思いをどういう言葉に込めようかと考えてて言葉探しの旅をしてたんですけど、その中でピンときた言葉が太陽、sunていう言葉だったんですね。その太陽っていうのに始まって、3人でやってることとか、デビューして3周年ぐらいっていうことで、タイトルにサン(sun)を入れたいなと思っていて。そこからメンバーで映画の話になって、『雨に唄えば』なんですけど。自分たちはsunていう前向きな表現をしたいけど、実際はそうでない曲も多くて...。でも結果的に前向きなものになればいいなっていうところで、その映画のムードが自分たちが考えていることに近いなと思ったんですよね。今、世の中が雨だったとしたら、その中を飄々と口笛吹きながら歌いながらスキップするジーン・ケリーみたいな存在に自分たちがなりたい、っていう。それがあって、アルバムのタイトルを『Sun In The Rain』にしたんです」


 そして、今作でとにかく目(耳?)に付くのがメインを張る寺井孝太の見事な成長っぷり。ヴォーカルはとにかく聴かせるし、自身が作曲した曲ではこれまでの活動で培ってきたスキルを全て注いだかのよう。歌詞に関しても自らの根っこを意識しながらも、それを自分たちのスタイルで作り替えてしまう。そこにこそ彼らの底力があるような気がする。


 ゆるやかに流れ込む優しい歌声と、暖かみのあるギターの音色に導かれるしなやかな演奏が親しみやすい温もりを感じさせ、いつ聴いてもすっと染み入るような自然な心地良さと、何度のリピートにも耐えうる普遍的な力があり、末永く付き合えるスタンダードな作品。特に、彼らの優れたセンスを見せつけるアルバム後半の楽曲は素晴らしいのひと言。


 色んなことに挑戦していても雑多にはならず、ひとつにまとめあげられているのも彼らの包み込むような表現力の豊かさゆえだろう。そこが、他の数多くの歌ものバンドとの違いかも知れない。


 「自分がこのバンドをやってるってことがLOVE LOVE LOVEの強みというか、他のバンドとの違いですね。コーラス・ワークとか楽器編成とかの違いもありますけど、そういうのはグリコのおまけぐらいやと思ってて、自分がやってるってことが一番大事なんやと思います」



(粂田直子)

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