歌詞対訳の扉:その6:エコー&ザ・バニーメン、ザ・シンズなど

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音楽配信サイトototoyでおこなわれている、歌詞対訳講座とリンクしたこのページ、「第4期(2012年10月~2013年3月:毎月第3土曜日開講:全6回」の募集告知をかねつつ、更新させていただきます...。

もうすぐ始まる第4期では、デヴィッド・ボウイやザ・キュアー、「最初のUKパンク」やソニック・ユース、ザ・リバティーンズやクラップ・ユア・ハンズ・セイ・ヤーといった人たちを俎上にのせ、いろいろみんなで「研究」していければと思っています。

興味を持っていただけた方は、どうか、こちら(ototoyサイトの歌詞対訳講座最新情報ページ)をごらんください。

こういった「講座」の常として? 「受講料」はちょっとお高い感じですが、ぼく(伊藤英嗣)の場合、愛知に住んでいるので、現状これらもほとんど交通費等の経費で消えてしまうというか...いや、そんなことは関係ないですね(すみません:汗)。ぼくとしては、とにかく、出していただく料金に見あったものをご提供したい...と、毎回がんばってます!

がんばりすぎて、ぼく自身のトークの内容とかがいつも「濃く」なりすぎているのでは? とか反省してしまうくらいに...(笑)。

概要は上記リンク先に載ってますが、いくつか、そこでは触れきれなかった点を捕捉しておきますね。

毎回「教材」としてお渡ししている約1時間程度の音源が入ったCDRは、もちろん基本的に「特に歌詞がおもしろいと思える曲」をセレクトしたものですが、「研究」が終わったあとは、そのまま移動や日常のBGMとしても楽しんでいただけるものになるよう心がけています。

いわゆる「代表曲を網羅したベスト・アルバム」的なものとは、ちょっとひと味違うというか...。たとえば、第4期の初回は基本「デヴィッド・ボウイの『宇宙』をテーマにした曲を集めたもの」なんですが、あれやこれやそれ(いや、ネタバレになっちゃうんで、とりあえずふせておきます:笑)はもちろんですが、基幹テーマから派生した「よもやま話」のために「参考教材」としていくつか他のアーティストによるカヴァー曲(なかなかレアなもの含む:笑)も入れてみたり...。

あと、第3期までは平日夜の開講だったので、終わったあと、みんなで軽く飲みにいっていろんな話をしたり、数日後にときどき有志(ぼく含む:笑)でカラオケに行ったりしてました。

第4期は土曜の午後~夕方開講ゆえ、そのあと(ライヴに行きたい! という方もいらっしゃるでしょうし、「飲み会嫌い!」「カラオケ嫌い!」という方もいらっしゃるでしょうが...)「普通に飲みに行くか、カラオケに行くかどっちか」という形をデフォルトにしたいと思ってます(笑)。

また、以前このページで、この講座をベースにした電子書籍の企画がある...みたいなことを軽くお伝えしました。それも、ぼくのどたばたのせいで遅れてますが(すみません...)、進んではいます。

というわけで、第3期を講座をとおして集まった歌詞対訳作品の一部を、ずらーっとご紹介。ボブ・ディラン、エコー&ザ・バニーメン、ザ・シンズ、パッション・ピットの曲の、みなさん(伊藤含む)による対訳作品が載ってます。

では、どうぞ!

2012年4月から9月まで毎月1回おこなわれていた歌詞対訳講座第3期、初回のテーマは「60年代のキンクス」。「初回は受講生の方に課題提出をお願いせず、講師がいろいろ語る」という形(第4期もそれを踏襲)になっているので、とりあえず省略。

その次の回のテーマは「70年代のボブ・ディラン」。講師伊藤が「これらは60年代の彼の作品と比べても遜色がないどころか、それ以上にいいと思える気もする...」みたいに太鼓判を捺す、『地下室』『血の轍』『欲望』という3枚のアルバムの歌詞を研究しました。

『血の轍』が入ってこれば、当然「男女間の問題」について語らざるをえない。みなさん(主に伊藤?:笑)の恋愛観についても、いろいろ話しあいました。

「シンプル・トゥイスト・オヴ・フェイト」from『血の轍』

二人公園に座る
夕暮れが近づいてくる
ふとこっちをむいた彼女の顔を見たとき感じたんだ 
骨までぞくぞくするような
火花が散るような感覚を
その瞬間初めて孤独を感じた
もっとまっとうに生きてれば良かったって
注意するんだよ
偶然に絡んだ
運命の糸には

僕らは古い運河沿いの
誰もいない道をふたり歩いてた
少し混乱してたんだ、今でもよく覚えてる
ぼくらは立ち止まった
ネオンサインの輝く奇妙なホテルを見つけて
その夜の熱に襲われるような感覚
それはまるで貨物列車
進んでいくんだ
偶然に絡んだ
運命の糸と

遠いどこかでサキソフォンが鳴ってる
彼女はアーケードの下をずっと歩いてる
目覚めて薄く目を凝らすと
破けたブラインドの裂け目から光が差しこんでくる
彼女は門のところで
盲目の男のコップの中にコインを落とした
そして忘れた
偶然に絡んだ
運命の糸のことも

目覚めると部屋は空になってた
どこにも彼女の姿はない
「どっちだっていいさ」
そう言い聞かせて
大きく窓を開け放した
心に穴が開いてしまった気がした
すれちがってしまうね
偶然に絡んだ
運命の糸のせいさ

時計がチクタクと時を刻んでる
おしゃべりなオウムを連れて歩く
水兵たちが降り立つ波止場で
彼女の姿を探した
もしかしたらもう一度彼女が見つけてくれるかもしれない
あとどれくらい待てばいいんだろう?
運命の糸が絡み合う瞬間
もう一度だけ

罪なんだってね
余りに多くの心のうちを
知ろうとするのは
感じようとするのは
だけど今でも信じてるんだ
ぼくらはふたりで一つだって
指輪はなくしてしまったけれど
彼女は春に生まれたのに
ぼくの生まれた季節は遅すぎた
ぜんぶ偶然に
絡んだ運命の糸のせいさ

(対訳:大西萌)

「お前がいなくなったら寂しくなるだろうな」from『血の轍』

愛がドアを横切るのを見た
今までこんなに近付いた事はない
簡単でもゆっくりでもなかった
俺は暗闇の中で鉄砲を撃ち過ぎていたみたいだ
何かがおかしい これは間違いだ
お前がいなくなったら俺は寂しくなるだろうな

空高くには竜の形をした雲
俺は不注意な愛しか知らなくて
それはいつも俺を不意打ちした
今度はもっと正確なものだ
標的を真っすぐに狙うみたいにね
お前がいなくなったら俺は寂しくなるだろうな

ムラサキツメクサ、アン女王調のレース
深紅の髪がお前の顔にかかっている
お前が知らないんだとしたら泣きたくなるよ
何について考えていたのか思い出せない
お前はあまりに多くの愛で俺を駄目にしてしまったんだ
お前がいなくなったら俺は寂しくなるだろうな

丘の中腹の花々は気が狂ったみたいに咲きまくっている
コオロギが韻を踏みながらあちこちで喋っている
青い川はゆっくりと呑気に流れている
お前とだったら永遠に一緒にいられただろう
時間が経つのも忘れて

状況は悲しい結末を迎えた
関係はいつだってこじれていた
俺の場合 まるでヴェルレーヌとランボーみたいだったよ
だけど 今の事態にそんな比較をしてもまるで意味がない
お前がいなくなったら俺は寂しくなるだろうな

お前のせいで 自分が何をしているのか分からなくなる
ずっと先に行ってしまったお前においていかれて
お前のせいで 自分が何を言っているのか分からなくなる
お前のせいで 俺は独り言ばっかり言っている

昔懐かしいホノルルで
サンフランシスコ アシュタビューラでお前を探すことにするよ
そう お前は俺から去らなきゃいけなかったんだろう
だけど 空の上で俺はお前に会えるだろう
高い草が覆い茂っている場所で 
そして愛する人たちのなかにおまえの面影を見る
お前がいなくなったら俺は寂しくなるだろうな

(対訳:大野知樹)

「コーヒーをもう一杯」from『欲望』

君の甘い吐息と
空で瞬く二つの宝石のような目
姿勢のよい背中と 柔らかい髪
枕の上に横たわっている
でも 愛していないんだ
感謝の気持ちも 愛情も感じない
君だって僕ではなくて
頭上の星たちの虜なんだ

餞のコーヒーをもう一杯
旅立つ前に コーヒーをもう一杯
深い谷へと向かう前に

君の親父 あいつは無法者だ
さすらうことが商売
君にナイフの掴み方とか選び方とか
使い方なんかを教える
自分の縄張りには隅々まで目を光らせているから
よそ者は決して入り込めない
あいつの声 わなわなと震えるんだ
もっと飯をよこせと叫ぶたびに

餞のコーヒーをもう一杯
旅立つ前に コーヒーをもう一杯
深い谷へと向かう前に

君の妹は未来を見ている
母親や君自身の様にね
読み書きなんて習ったことはないし
棚には一冊の本もないが
いつだって最高に楽しそうだ
マキバドリの様な声をしているけど
心は海の様だね
神秘的で 深く暗い

餞のコーヒーをもう一杯
旅立つ前に コーヒーをもう一杯
深い谷へと向かう前に

(対訳:西山由里子)

ちなみに、曲名について、「可能であれば、対訳を手がけてみた人が独自の邦題をつけてみる」ということになっています。「コーヒーをもう一杯」って、「公式邦題」と同じじゃない? と思われるかもしれません。しかし、これをつけた西山さんは、それをご存知なかったようです。偶然同じになっちゃうというのも、おもしろいんじゃない? という感じですが...今よく見たら違った(笑)! 公式邦題は「コーヒーもう一杯」。当時のCBSソニーA&R/ディレクター氏が、助詞の使い方ひとつにも頭をひねっていた(美しい)姿が目に浮かぶようです!

そして第3回のテーマは、エコー&ザ・バニーメン。この回は、ユーストリーム配信もおこなったので、見ていただけた方もいらっしゃるかも? そこでも言ったとおり、伊藤はとにかく今も彼らの音楽が死ぬほど大好き。それゆえ、伊藤のトークも、いつもにも増して濃くなってしまったような(笑)。

「レスキュー」from『クロコダイルズ』

もし僕が道に迷ったっていったら
君は同情するかな?
同情してくれるかな?

わけが分からなくなっている
周りの人も離れていくかもしれない
わけが分からなくなっている
周りの人も離れていくかもしれない
元々つきあいなんてなかったけどね

駆けつけてくれるかい?
僕をレスキューしに来てくれるかい?

うまくいかない
うまくいかなくなっている
それが歌にも表れているかな?
これ以上何が欲しいのか、分からない
キスさえあれば、それでいい

駆けつけてくれるかい?
僕をレスキューしに来てくれるかい?
レスキュー レスキュー レスキュー

うまくいかない
うまくいかなくなっている
それが歌にも表れているかな?
こんな大変なこと、意味が分からなくなってきたよ
僕が歌っているのは、ブルースなのかい?
僕が歌っているのは、ブルースなのかい?
僕が歌っているのは、ブルースなのかい?
僕が歌っているのは、ブルースなのかい?

駆けつけてくれるかい?
僕をレスキューしに来てくれるかい?
僕が歌っているのは、ブルースなのかい?
僕をレスキューしに来てくれるかい?

(対訳:松井喜和)

松井さんは、お仕事で翻訳もされている達人(先日おこなわれた、EMI主催ノラ・ジョーンズ対訳コンテストでも優勝しました)。この対訳でも「レスキュー」という単語をどう訳されるか悩んだようですが、「救助」とか「救い」とか訳すより「レスキュー隊」みたいな言葉が日本でも定着してるということで、こういった訳になったそうです。その意見に、ぼくも賛成!

「反抗のクロコダイル」from『クロコダイルズ』

雑誌で読んだ
二度と見たくない
ぼくは雑誌を投げすて
この気持ちを説明する誰かを探した
ふりかえりたくない
まわりのシーンとか関係ない
そんなものなくていい

でかいものもマイナーなものも聴こう
やつらが出す音を聴こう
うるさくても怖がっちゃいけない
皮膚が震えだす
ふりかえりたくないだろう
背筋をぴんとのばして
うんざりするようなやつらが這いまわるのを見るんだ

そう わかるだろう
そう わかるよね

きみは憂鬱なブルースを抱えてるんだね
ワニ(アリゲーター)革の靴をはいて
ぼくは ずっと微笑んでる
ぼくはワニ(クロコダイル)革のやつをはいて偽りの涙を流す
ふりかえりたくない
まわりを見まわすなんて無理
そんなものが現れるなんてたえられない

ついこのあいだ ある男に会った
「明日まで待て」と言われた
ぼくは「じゃあ今日はなにをやってるの?」
彼は言った「明日やるからさ」

先日ある男に会った
「明日まで待て」
ぼくは言った「だからあんた
今日はなにやってるんだよ?」

ぼくも明日やってやる

(対訳:伊藤英嗣)

この邦題は、歌詞の内容を受けつつ、もちろん「いわゆる邦題ノリ」を意識してつけました(笑)。

「約束」from『ヘヴン・アップ・ヒア』

何かが変わると君は言った
ふたりはオシャレして
どこかへ出かけようとする
雨は降りそうになかったけど
何かがが変わると
君は誓った

何も変わりはしないと君は言った
あれだけ近くに居たとしても
心の距離は広がるもの
雨が降ってきた
それでもふたりは永遠だと
君は誓った

約束

同じこと
君は言った
たしかにいつも同じだよ
だけど僕は変えようと思う
なにか同じものへと
約束しよう

約束

今宵波に乗って
今宵波に乗って
今宵波に乗って

約束

(水の上を眩しく照らし)
(僕らは永遠に航海をつづける)
約束...

(対訳:近藤真弥)

「エコー&ザ・バニーメンの歌詞の魅力は、アンチ同調圧力という点にある」みたいなグレイトな指摘をしてくれた近藤くんは、自宅録音(あれ? バンドだったかな?)でカヴァーしたこともあるという、自らにとって思い入れの強い曲を選んでくれました。

ちなみに、この歌詞(かつての)日本盤についているものと、現在ネットで流布しているものが大きく異なります。かつて...80年代や90年代ころまでは「日本在住英米人に聞きとってもらった歌詞を商品につける」という行為が、わりと普通だったようです。

「反抗のクロコダイル」も、たぶんそう。高校時代(80年代初頭)の日本盤では《I don't want fact》みたいになっていた部分があって、《現実を見たくない》? あまり好きじゃないフレーズだな...と思っていたところ、今回ネットでは《I don't wanna look back》になっており、聴きくらべても、やっぱ、それっぽい(まあ、自分の好きなように聞こえてしまう...って部分はあると思いますが...:笑)。《ふりかえりたくない》と訳した部分です。

なお、この講座では、基本、伊藤がネットからコピペした歌詞(ものによっては、日本盤と比べてチェックを入れています)をもとに、課題を進めていただいていることをお断りしておきます。

「カッター」from『ポーキュパイン(やまあらし)』

8階にいるのは誰だ?
「オルタナティヴ」ラッパを吹きならして
最下段のひきだしにはなにがある?
誰かになにかあげられるタイミングを待ちながら

ぼくらにカッターをくれ
ちょっとカッターみたいなものがほしいんだ
マスタードも切れやしない

自分を克服しなければ
次のハードルが近づいてくる
そう ぼくらにはできる ぼくらはやれる
「大海の一滴」なんかじゃない

誰もが自由もしくは誰もが無料という状態に至る
セロテープとナイフで
1メートル80センチあるやつもいる
ぼくらは自分の「人生」から解きはなたれる

ぼくらにカッターをくれ
ちょっとカッターみたいなものがほしいんだ
マスタードも切れやしない

ぼくは「幸福な喪失状態」にあるのか?
後退することはまだできるのか?
肌を喪失してしまったのに
ぼくは価値ある「十字架」たりえているか?
まだどろにまみれることはできるのか?
汚れをすっかりおとされてしまったのに

自分を克服しなければ
次のハードルが近づいてくる
そう ぼくらにはできる ぼくらはやれる
「大海の一滴」なんかじゃない
海...

見ろよ 指が近くにある
その手は冷たい

ぼくは「幸福な敗北状態」にあるのか?
後退することはまだできるのか?
肌を喪失してしまったのに
ぼくは価値ある「十字架」たりえているか?
まだどろにまみれることはできるのか?
汚れをすっかりおとされてしまったのに

ぼくは「幸福な死傷者」?
まだどろにまみれることはできるのか?
汚れをすっかりおとされてしまったのに

(対訳:伊藤英嗣)

ちなみに、出だし部分は《7th floor》と歌われているのですが、ぼくの記憶では、UKでは2階が《1st floor》になるので(90年代、最初にUK行ったとき驚きました! 彼らにとって1階はfloor...床じゃないのか? 高床式住居時代を経験してないから?:笑)、いちおう当時の現地のノリに則ってこう訳しました。

「湿った土」from『ポーキュパイン(やまあらし)』

半分と半分のうちの 半分なのか
それとも 全体のうちの 半分なのか?
全ての半分を集めた一つでなくちゃいけない
それが 価値ある 自然な 目標
それが 意味ある 現実的な ゴール
それが この世の目的

重い片割れなのか?
軽い自分の
覚悟ができてる部分なのか?
浮ついてる自分の

崩壊した時
ぼくは砂でできていないから
粉々になっても
湿った土が ボロボロと残る 手の中に
人生は長い道のり 多くのものを課された
彫像と後光

半分と半分の 半分なのか
それとも 全ての 半分なのか?
全体の半分
完璧さの片割れ

間違っている側面なのか?
正しい自分の
腕力にまかせる部分なのか?
知性に訴える自分の

バラバラになった時
砂ではないから
崩れ落ちても
粘土は 手の中で 粉々になる
壊れてしまった時
砂で できていないから
倒れ込んでも
土が 細かい塊となって 手中に残る

ほんの少しの制御を 学べたら
僕らが ひとつになって コントロールしたら

素晴らしいじゃないか?
心が 氷でできているなんて
いいことだ
ハートが 氷でできてるのは

重い片割れなのか?
軽い自分の
準備万端の部分なのか?
気後れしている自分の

可能性の中の「確実」なのか
それとも 成功の途中なのか
大量の妄想が
押し寄せてくる
自分は そこそこの人間か?
自分は ある程度の人間だろうか?
それなりの

崩壊した時
砂で できていないから
粉々になっても
湿った土が ボロボロと残る 手の中に
バラバラになった時
砂で できていないから

カインであり
アベルである
壊れてしまっても
土が 細かい塊となって 手中に残る

(対訳:小口瑞恵)

課題提出と同時に、小口さんが出してくださった「メモ」も含み、グレイト! そのまま引用しておきます。

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Clayには、「人間を形作る材料としての土壌」という意味や、(霊魂に対する)肉体という意味があるようです。

カインとアベル(アダムとイブの子供)の名前が出てくることからも、創世記や宗教という連想ができる為、歌詞に出てくる「clay」の中の一つを、そういった感じの訳にしたいと思いましたが、どうも上手く当てはめられず、全て「粘土」「土」となってしまいました。

また、「mongol」ですが、普通に考えれば「モンゴル人、モンゴル人の」ということになりますが、それだとcerebralと対にできないので、モンゴル人が、ユーラシア大陸の大部分を支配したという強いイメージから、(肉体的な)「力」という訳にしてみました。

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「キリング・ムーン」from『オーシャン・レイン』

蒼い月の下であなたと出逢った
一瞬のうちに僕の心を奪うだろう
その腕に抱き上げて
許しを請うも拒もうにも手遅れさ
ただの退屈しのぎに過ぎないとわかってるけれど
心ならずも僕のもの

運命
意志ではどうにもならない
どんなことがあっても
待つつもりだ
あなたが身を委ねるまで

星明りの夜にあなたと出逢った
残酷にも僕にキスをした
あなたの唇は魔法のような世界
宝石をちりばめた空に
キリングムーンが
もうすぐ昇ってくる

運命
意志ではどうにもならない
どんなことがあっても
待つつもりだ
あなたが身を委ねるまで

蒼い月の下であなたと出逢った
一瞬のうちに僕の心を奪うだろう
その腕に抱き上げて
許しを請うも拒もうにも手遅れさ
ただの退屈しのぎに過ぎないとわかってるけれど
心ならずも僕のもの

運命
意志ではどうにもならない
どんなことがあっても
待つつもりだ
あなたが身を委ねるまで

(対訳:澤美佐子)

澤さんの「メモ」もおもしろかった!

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選曲の理由は、エコバニといえばこの曲! バンドの存在を知ったのがこの曲なので。ヒット当時はティーンでミーハーでメインストリームの音楽しか聴いてなかったため、曲の良さよりビッグマウスの美青年イアン・マッカロクのキャラのほうが強く印象に残っておりましたが(笑)、今回対訳を取り組んで知りました、ラヴ・ソングということを!

歌詞のなかに出てくるhe(彼)は自分のことを第三者的に描いているとの理解です。

ロマンチックで艶めかしい~。邦題をつけるなら「妖艶な月」でしょうか(笑)。イメージとしてはほぼ満月。

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さて、第4回のテーマはストーン・ローゼズでしたが、それは近いうちに(って、なんか野田首相発言みたいになってる気が...:汗)刊行予定の電子書籍に課題作品の一部も使わせていただく予定ゆえ、省略。

さらに、第5回のベル・アンド・セバスチャンは、現在日本盤を出しているレーベルから「そこから出ているものは、ここで使ってほしくない」という申し出を受けているため、これも省略。

後者の事情も、わかります。以前もこのサイトで述べたとおり、ぼくが、このように「英語の歌詞の対訳をウェブで発表している」ことは、厳密に考えればアーティストの権利を侵害していることになりますが、ぼくは「小さなクラブでプレイする」もしくは「そこそこの知名度のDJが趣味的に作ったミックスCDRを自分で焼ける分だけ友だちに渡す」程度の「グレイゾーン行為」と捉え、こうやってつづけています。しかし「グレイゾーン行為」であるだけに、完全に「シロ」とは思っていません。なので、道義的に正しいと考えられるクレームが入れば、やはり対応します(笑)。

そして第3期のしめくくり、第6回は、伊藤が最近とても愛聴している2枚、ザ・シンズおよびパッション・ピットの最新アルバムである『ポート・オブ・モロウ』および『ゴッサマー』がテーマでした。この2枚を並べたのは、決して無理やりではありません。とりわけ歌詞まで掘りさげて見てみると、なんかすごく共通点が多い。たとえば、歌詞にどこかブルース・スプリングスティーンを思わせる部分があるとか...。後者に関しては「テイク・ア・ウォーク」という曲の歌詞が、もろそれっぽいんですが、とりあえあずどなたも課題作品として選ばなかったのと、ぼく自身は商品盤に対訳を提供しているので(つまり、ぼくの「作品」としての権利のある部分をレーベルに渡しているので)、とりあえず(いちいち「確認」してる時間もないので:笑)ここでは発表しません。すみません。

「人生ってそんなものさ」from『ポート・オブ・モロウ』

君は芯から染まりきって、自然の欲求に追い詰められた
君はずっと、浮かれた人の群れと飛び跳ねていたいんだろう
だけど、すべての歯車ををすり減らしているというのに、どうやって舵をとれるっていうのかい?

君は長い時間しゃべり続けて、言った、「時は全ての塔を海まではこぶだろう」
そして、今になって、胸に不安を抱いた

そうだな、人生って、そんなものなんじゃないかな
そうなるように、なってるんだ
僕たちは皆、うさぎの穴に落っこちて、ほんの少しの時間を過ごしているんだ
彼らが君に教えたこと
彼らはよってたかって、君を捕まえようと狙っている
君を行き止まりまで追い詰めた

電話するよ
かかってきたら、電話にでてくれないかな?

今、まさに君が進んでいる道に僕は来ている
そんなに暗くて、寂しくなくたっていいはずさ
ちょっと時間はかかるかもしれないけど、出口を見つけて、もとに戻れるよ

君は以前はライオンみたいだった
だけど、今では僕の膝で泣くようになった
戻ってくれ
ここまで来るなんて、思ってもいなかったあの頃に

僕が開いていたドアを閉じたなんて、本当に思ったのか?
未来が電話してきたなら、僕は答えるよ
車輪は動いている 君のぶんを飲んだりはしないよ
君が傷つくのは分かっているから

パラシュートを開くんだ 落っこちていくのを止めてくれるだろう

今、まさに君が進んでいる道に僕は来ている
そんなに暗くて、寂しくなくたっていいはずさ
ちょっと時間はかかるかもしれないけど、出口を見つけて、もとに戻れるよ

(対訳:松井喜和)

「イッツ・オンリー・ライフ」from『ポート・オブ・モロウ』

世界から消えてしまって、君はもっともな願いから行き詰まってしまっている
キラキラした仲間たちと日々を過ごしたいんだよね
でも自分で自分をすり減らして、
どうやって舵を取っていけるの?

君はもうずっとしゃべり続けてる
「時が全ての頼りを海に流してしまうの。」って
そんな不安を心に抱えてしまって

でもぼくは思うよ。たかが人生だって
ぼくらみんな、時たま少しの間アリスみたいに
うさぎの穴にまっさかさまに落ちて悲しくなるけど、
それは当然で仕方ないことなんだ
そしてみんなが君に言うこと
あれこれ言って君を悩ませて、
いよいよ壁際まで追い込まれるだろう
でも大丈夫。ぼくが電話をかけるから、
君は受話器を取ってくれるかい?

ぼくは君が今まさに歩いてる道にいる。
きっとそんなに暗くもないし、寂しくもないさ。
ちょっと時間はかかるかもしれないけど、
そのうち答えは出るよ
そしたら元通りさ

君はまさにライオンって感じだった
ぼくのひざを借りて涙を流す前は
こんな遠くまで来ない!と思ったら元に戻ろうか

でもぼくがせっかくの機会を逃すなんて
本当に思ったのかい?
未来はぼくを呼んでいて、ぼくはそれに答えるよ
車輪は回るんだ。君と一緒に悩み続けはしない
そのことが君を傷つけるってわかってる
君もパラシュートを開きなよ
きっと何かの拍子に落っこちるのも止まるさ

ぼくも君とおなじ道にいる
暗くないよ、大丈夫。寂しくもない。
少し回り道だけど、なにがわかる時が来るって
だからもう心配しないで、大丈夫だよ

(対訳:朝倉奏)

このように、同じ曲が別の方の課題作品として選ばれることも、よくあります。そうなると「訳す人によって印象がかなり変わる」こともわかって、おもしろいです。

なお、ザ・フィーリーズというバンド(音楽的にというより、「流れ」的にザ・シンズの大先輩と言えなくもない。ちなみに、中心人物のファミリー・ネームが同じ! でも親戚じゃないことは、7、8前に伊藤が自らおこなった電話インタヴューで確認済:笑)には『It's Only Life』という素敵なアルバムがあるので、マニア的視点(うざい...)からすると邦題はカタカナのほうがいいかも(笑)。

「ノー・ウェイ・ダウン」from『ポート・オブ・モロウ』

役人の息子でしかも物欲ばりばりな野郎と会ってみる。
僕の手には血がついていて やがて心臓からそれが滴るだろう
血まみれで生まれてきた。
羽振りのよい暮らしをしている。
急勾配の山で。
空洞の丸太のなかで冷静を保つんだ
支配的な霧のように忍び寄ろうとしている。

僕らが何をしたっていうんだ?
どうやって太陽から遠くに来てしまったんだろう。
ふらついている時期に取り損なってしまった
少数の人だけが捕えることのできる光を。

西洋のスコールを越えた外国の地では
わずかな金のためにせっせと働いている。
彼らはショッピング・モールや商品予約購入法も知らない。
君らが望むもののすべてである美しい墓を掘る。
多分それらの目に見えない奴隷たちは
幽霊が取り憑くにはあまりに遠く離れている。

僕らは何を負わせられるのだろうか?
とても大きな要求は捨ててしまおう。
僕らは労働日数を全うしたけれど
少数の人だけが楽しみを満喫している。
肺の中に彼らの塵が積もるのに慣れないと。

口から金歯を引っこ抜かずにこの山頂から
固い地面まで降りる方法はないのか?

彼らがレモネードであると言った汚れた水界を
洗い流すほどの強い酒を作ってくれ。
ショーのあと僕と歩いてほしい。
多分、僕らは雪の中で地雷原を抜ける道を
見つけることができるだろう。

彼らは何を負わせられるのだろうか?
とても大きな要求は捨ててしまおう。
僕らは労働日数を全うしたけれど
少数の人だけが楽しみを満喫している。
病人や子供に謝るんだ。
肺の中に彼らの塵が積もるのに慣れないと。

(対訳:澤美佐子)

つづいて、パッション・ピットに移行します!

「大丈夫だから」from『ゴッサマー』

楽しかった時を 覚えてる?
と言うのも
楽しかったんだって いつも信じてたけれど
今は あんまり確信ないから
ジンを飲んで 2,3錠服用して
僕が上機嫌だと 君は醒めた気分になるんだよね
お願いだから 僕を諦めないで
わかっているけど もう充分だって

行きたいなら 行きなよ
僕は大丈夫だから 大丈夫
色々 台無しにしてきたし
この愛は 不安定なものになってしまったけれど
これまでの人生は 愛そのものだった
愛なしに どこかに行かせたりしない
僕なら大丈夫だから

自己嫌悪に浸ってばかり すごく難しいんだ
夢みているものと 現実を離してみるのは
もう 誰も信じてはくれない
ほんの少しだって
頭の中がぐちゃぐちゃで 爆発しそうだ
君は下の方から 僕を見つめている
この世界に 君の居場所はないから
新しい誰かを探しに行きなね

行きたいなら 行くべきだよ
そう 行ってくれ
僕は大丈夫 大丈夫だから
問題ばかりおこしていたし
この愛は 堅固なものには ならなかったけれど
人生自体が この愛だった
行かせはしない 君が愛を知らないままだったら
僕のことは気にしないで

なんで 僕はこの苦しみに  つきまとわれ続けるんだろう
頭がなくなってしまったみたいで 考えがまとまらない
パーティーは終わったんだ いや、パーティーなんてなかった
帆を揚げても風は吹かない 僕が完全に回復するまで

行きたいなら 行きなよ
僕は大丈夫だから 大丈夫
色々台無しにしてきたし
この愛が 根付くことはなかったけれど
人生そのものだった
君を行かせたりしない 愛されたこともないままで
僕なら大丈夫

(対訳:小口瑞恵)

アルバム2曲目の「すごくポップでキャッチーだけど、歌詞はダウナーっぽい」という、パッション・ピットの真骨頂っぽいナンバーでした。

《僕が上機嫌だと 君は醒めた気分になるんだよね》という部分に、心底共感を覚えます(笑)。

「ホエア・ウィ・ビロング」from『ゴッサマー』

ここもだいぶ冷えてきた
でも 厳かな温もりが近づいている
だから あくまでも穏やかに
こうした重苦しいことや怖れは
綺麗さっぱり消えてくれる
誰かが「留まらなくちゃいけない」なんて言った?
これは"イージーなやり方"なんてものか?
妥協とは程遠いよ
臆病者は決して「もう沢山だ」とは言わないんだ

僕は引き揚げられる
深紅の浴槽の外へと
浴槽から湯が流れ出始める
彼は床に伏して 僕の苦痛を取り去る為に祈ってくれる
誰が「神は存在する」なんて言った?
僕らみんな 神話上の偶像に口付けているだけ
けれど 僕は君を信じている
君も僕を信じてくれる?
ねえ、ゲイブリエル?

自分ではどうすることも出来ない事もあるけれど
そのせいで誰かが持ち続けている愛が壊れるなんてことは有り得ない
僕は見付けたよ
そう、ひとつの結論に行きついた
自分たちにふさわしい場所を発見した

一番白い雲にまで昇って行けるなんて考えもしなかった
今まで見付けてきたもの全部 見付けられるなんて思いもしなかった
生きて行くのは大変だ 100万ポンドの重さの心を抱えているのなら
僕が本当に望んできたこと 
それは
幸せになって 君に誇らしい思いをさせるってこと

(訳詩:大野知樹)

「ホエア・ウィ・ビロング」from『ゴッサマー』

ここも寒くなってきた
荘重な温もりも迫ってくる
優美な接触ゆえの
この重圧や
畏怖のようなものが次々と剥がされていく
ここに留まれと誰が言った?
これはどれだけ安楽な道なのか?
諦念とは乖離的に存在する
臆病者は「うんざり」とは言わない

そして 僕は浮かび上がる
血まみれの浴槽から
風呂の排水は始まっている
そしてフロアから僕の苦痛が消失するよう彼は祈っている
神は存在するなんて誰が言った?
僕らは神話のアイドルにキスをする
だけど僕は君という存在を信奉している
僕という存在を信じてくれるだろうか
ガブリエル?

君がコントロールできないすべての事象が
誰かの心のなかの愛を蹂躙することはない
僕は場所を見つけた
僕はひとつのに行き着いた
僕は自分たちに相応しい安住の地を発見した

浮き上がるなんて予想だにしなかった
どこまでも白い雲のところまで
まったく思いもしなかった
自分が見つけたあらゆるものを いつか僕が見つけるなんて
生きるって大変だよね
そのハートが100万ポンドの重さに感じられるとき
ぼくがこれまで望んできたのは
自分が幸せになって 君に満足してほしいってことだけさ

(対訳:近藤真弥)

これも課題作品セレクションがかぶりました。

このクッキーシーン・サイトに載っているインタヴュー記事も参照していただくと、さらに味わい深いかと...!

2012年10月17日6時8分(HI)

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