THE CRIBS 『In The Belly Of The Brazen Bull』(Wichita / Hostess )

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  イギリスで最良のポップバンド、クリブスがジョニー・マーの脱退後3人体制に戻って初のアルバム。ジョニー・マー加入の影響についてあまり好意的な意見を聞かなかったけれど、もともとのクリブスの曲の要素としてもあったメロウな部分がより強調された前作はぜんぜん悪くなかったぜ。たしかに初期3作の勢いみたいなものは減退していたと言わざるを得ないけれど、4作目も同じテンションだったら、それはそれでどうかなと思うし。

  今作は「やったぜクリブス、初期の瑞々しさと勢いを取り戻したぜ!」みたいなことだけではなく、きちんとジョニー・マーのメロディ・センスを所々で引き継いでいるのが素晴らしい。何だかアップテンポのドタバタな曲が物悲しく聴こえてくるのはそのせい。これもまた泣きメロというやつではないだろうか。ラスト3曲がじつは繋がっていて大作風になっているところは新境地かもしれない。だけどコンセプチュアルに偏ったアルバムは作らないね、彼らの場合。それがクリブスのルールというものだ。"シンプルにやる"。

  毎度毎度引き合いに出して恐縮なのだが、カイザー・チーフスやクリブスのようなバンドは国宝ですよ。片方はスタジアムが、もう片方はライブハウスが似合うバンドではあるけれど、両バンドは共通してかたくなにそのスタイルを貫き通す。好きな音楽をずっとやっている、という、現代においては最高の夢を実現しているのだ。彼らの音楽を聴いているとすごく元気にならないか。だっていつも自分の居場所じゃないと分かっていて気まずい想いをしているような人生を捨て去って、思いっきり叫ぶことのできる場所があるって教えてくれてるんだからさ。それはけっして現実から逃げることではない。現実から逃げたいのならグローファイとかを聴けば良い。ボブ頭のかわいい女の子だって、運が良ければ見つかるかもしれない。でもそういうのじゃないんだ、と思うのなら、クリブスの最新作をBGMにして堂々と突き進めば良い。

  最後はよく分からない話になってしまいましたが、これは間違いなく彼らの最高傑作です。そういえば聴いていなかったなあ、という方は(けっこう多いと思います)ぜひこの機会に爆音で聴いてみてください。爆音で。




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