LOS JARDINES DE BRUSELAS『Light And Glow』(Mamushka Dogs)

|
LOS JARDINES DE BRUSELAS『Light And Glow』.jpg

 スペイン語で"ブリュッセルの庭園"を意味するロス・ハルディンズ・デ・ブルセラスを名乗るエセキエル・デ・ラ・パーラは、アルゼンチンはブエノスアイレス在住のアーティストだ。


 筆者が彼のことを知ったキッカケは、昨年リリースされた『Floating In Dreams』。驚くほどチープだし、詰めの甘さも感じさせるサウンド・プロダクションではあったが、言葉では捉えきれない"ナニカ"に迫ろうとする音粒には、萌えるようなの"夢"があった。


 彼に対する興味がさらに強くなったのは、今年6月に出たシングル「Why Are We Here?」。『Floating In Dreams』よりも遥かに進化した音作りと洗練が、そこにはあった。クレジットを見てみると、古くはザ・ラプチャー「House Of Jealous Lovers」、最近ではメジャー・レイザーによるホット・チップ「Look At Where We Are 」のリミックスでもマスタリング・エンジニアを務めたポール・ゴールドの名があり、「Why Are We Here?」を聴いて感じた劇的な音質の向上にも納得がいった。


 そのポール・ゴールドが全曲マスタリングを務め、作りあげられたのが『Light And Glow』である。ドリーミーな音像とふわふわ舞いあがるグルーヴはそのままに、オーガニックな人工美に包まれた音像、そしてヴォーカルも開放的に響くなど、風通しの良い作品に仕上がっている。


 多様な音楽性を覗かせるのも本作の面白いところで、「Aurora Borealis」でサンプリングされている日本語のニュース(元ネタはおそらくこれ)からは、ヴェイパー・ウェイヴ以降(と、言ってしまっていいと思う)のインターネット・ミュージック的感性を感じとれるし、さらにはドローン/アンビエント、ニュー・エイジ、トロピカル、80年代UKインディー・ポップまで取りいれるなど、まさに"よりどりみどり"なポップ・ソング集となっている。


 強いて推し曲を挙げるなら、「Me And The Animals」だろう。緩いテンポと甘美なシンセワーク、そしてなにより、ソブレナダル(Sobrenadar)の囁くようなヴォーカル。彼女もアルゼンチンで活動するアーティストで、今年リリースの『1859』が話題になったのも記憶に新しい。


 ちなみに本作は、ほぼすべて宅録だそうだ。このこと自体は珍しくないが、ひとりの青年が住むブエノスアイレスの家から生まれた本作は、どこへでも行けるノマド的全能感に満ちている。自身のバンドキャンプでは様々なタグをつけているが、そのなかでは"スペース・ポップ"(Space Pop)"が相応しいかもしれない。形容するならば、"アルゼンチンのベッド・ルームから宇宙に手を伸ばすドリーミー・サウンド"といったところか。



(近藤真弥)



【編集注】本作はアーティスト本人《Mamushka Dogs》のバンドキャンプからダウンロードできます。

retweet