CHILLY GONZALES『Solo Piano ll』(Gentle Threat / Beat)

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CHILLY GONZALES 2.jpg  まさかリリースされるとは思わなかった。ポスト・クラシカル系のピアノソロ作品における名盤『SoloPiano』の、8年振りとなる続編である。ピアニスト・作曲家であったり、ヒップ・ホッパーであったり、ファイストやジェーン・バーキンをはじめとする敏腕プロデューサーであったり、27時間連続ライヴのギネス記録を持っていたり、自身のダンス・チューンはIPodのCMに使用されたりと、既に奇才のピアノ・エンターテイナーとして名高いチリー・ゴンザレスであるが、彼のキャリアにおいて最たる名盤として挙げられる作品が、奇抜なアイデアを排し、シンプルかつ慎ましいピアノの美しさが魅力の『Solo Piano』であるということは面白い。

  そんな『Solo Piano』の続編という形式で制作された本盤であるが、その毛色は「美しさ」から「面白さ」へ変貌しているように感じる。前作のソロプレイは、厳かで鎮静的な美しさを湛えていたが、本盤においては、その抑制から解放されたかのように鍵盤の端から端まで自由奔放に駆け回るフレージングが目立つ。奔放でありつつも、小品のようなワルツはやはり美しくもあり、6曲目「Nero'sNocturne」に関してはCMに使われても違和感のないキャッチーさであり、前作からはおよそ考えられないほど、多様なテイストの楽曲で構成されている。

  奔放でありながら演奏形式はミニマルであったり、激しく叩くアブストラクトなフレーズから、途端に深淵な美しさを秘めたパートへ展開したりと、まさに現代のエリック・サティと言い表すべき、捉えどころのない作品に仕上がっている。

 

(楓屋)

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