ハシエンダ大磯フェスティバル at 大磯ロングビーチ特設会場 2012.4.28 & 29

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 さて、みなさん、サマーソニックでニュー・オーダーは見られただろうか? ぼくは見てない。正直フッキー(ピーター・フック)抜きのニュー・オーダーなど見る気がしないから...というのは言い訳であって、もしサマソニに行ったのであれば、たぶん会場にかけつけただろう(変な話、ロジャー・ウォーターズ抜きのピンク・フロイドだって、ライヴそのものを体験したことはないけれど、ライヴDVDを見るとかなりいいと思えるし...)。まあ、単にプライヴェートな事情でサマソニ自体に行けなかったという(泣&笑)。

 今日ここで紹介するテキストは、この春、湘南でおこなわれたハシエンダ大磯フェスティバルのレポートだ。この夏、幸運にも今の(フッキー抜きの)ニュー・オーダーを目撃できた人はもちろんこと、そうでない人も、是非ご一読を...というか、原稿は数ヶ月前にあがっていたにも関わらずアップが遅くなってしまい、本当にすみません。すべて、ぼくの責任です(汗)!

 では、どうぞ!

 
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 4月28日、29日の2日間に渡って開催された、ハシエンダ大磯フェスティバル。筆者は両日参加させてもらったのだが、そのなかでも特に印象に残ったアーティスト/バンドについて書いていこうと思う。

 28日、ゲートから特設会場に入場して、まず向かったのは瀧見憲司のDJである。BPMは速くなくアッパーではなかったが、トリッピーな"ハメるプレイ"を披露してくれた。随所に挟んでくるアシッド・ハウスも効果的で、気づくと意識は遥か彼方へ飛んでいた。ベテランならではのスキルが光るプレイを披露してくれたエクスプレス・ツーは、『The House Of X-Press 2』の曲を中心にフィーチャーし、オールド・スクール・ハウスでクラウドをロックしていた。片方のスピーカーから音が出なくなるなど、幾度かトラブルに見舞われるも、冷静に対処していたのはさすがといったところ。

 そして、ピーター・フックのサイン会を手伝うため(実はこのために、会場入りしたのです)、サイン会が行われるFAC51 LIVE ARENAステージへ。サイン会でのフッキーは、びっくりするくらいサービス精神旺盛な人で、時間がオーヴァーしても記念撮影やサインに応じていた。フッキーはほんと普通のおっさんで、そんなフッキーを見ていると、なんだか微笑ましい気持ちになった。

 サイン会が終わると、来ていた友人と外でのんびりチルアウトしたり、フェス会場から一望できる海を見つめたり...。まあ、夜のカール・クレイグに備えてエネルギーを充填していたわけだけど、そんなチルアウトが心地良いのも、ハシエンダ・フェスの良いところでした。そして、待ちに待ったカール・クレイグ! ジェフ・ミルズ「The Bells」やインナー・シティー「Future (Kenny Larkin Tension Mix)」など、比較的わかりやすい選曲が目立った。終盤にはエクスプレス・ツー「Kill 100」の自身によるリミックスをスピンするなど、ハシエンダ・フェスを意識した曲もチョイスしていたし、アゲに徹したパーティー仕様のセットだった。

 29日もフッキーのサイン会があったんだけど、それまではまったりしたり、フェス会場を散策したり...。書いていて申し訳ない気持ちになるくらいチルアウトしていた記憶しかない。だが、レディオ・スレイヴから完全にスイッチが切り替わって、お遊びモードに突入。レディオ・スレイヴは、ニュー・ディスコも織り交ぜたテック・ハウス・セットでまどろむようなグルーヴを演出していました。そういえば、そのレディオ・スレイヴのプレイに合わせてキャッキャッと手拍子をする子供がいたんだけど、ちょいと記念撮影を申し込んだら、"ニコリ"とこっちに可愛いカメラ目線をくれたんで、思わず大笑いしてしまった。ハシエンダ・フェスは子連れの人が多かったのも印象的で、終始ほのぼのとした雰囲気が漂っていたように思う。

 そしてまた休憩を挟んで、ゾンビ・ネイションである。このゾンビ・ネイションのアゲアゲっぷりが本当に狂っていた。筆者が観たなかでは、観客が一番踊り狂っていたのは間違いなくゾンビ・ネイションのプレイ時だったと思う。終始バキバキのエレクトロ・ハウスを連発し、エフェクトも駆使したDJにはゾクゾクした。

 そのゾンビ・ネイションが終わって始まったのが、スギウラム・ウィズ・ベズ。スギウラムのDJに合わせて変な踊り、というか"ただいるだけ"のベズも面白かった。ベズとはホテルやフェス会場内で遭遇することが多くて、3回目くらいになると、「またお前かあ」とベズのほうから話しかけてくれたりね。これも良い思い出のひとつ。

 そして待ちに待ったピーター・フック・アンド・ザ・ライト。28日は『Unknown Pleasures』セット、29日は『Closer』セットを披露したわけだが、結果から言うと、普通に良かった。原曲をよりラウドなグルーヴにアレンジした方向性は、フッキーなりの"ジョイ・ディヴィジョン再解釈"としてしっかりとした強度を持っていたし、自信に満ちたヴォーカルからもそれは窺い知れた。

 しかし、これはあくまで筆者の思い入れの問題なのだが、ジョイ・ディヴィジョンというのは、イアン・カーティスの死によってその歴史に幕を閉じたと同時に、完成したバンドである。そういった意味でジョイ・ディヴィジョンはバーニー、フッキー、スティーヴンの3人がステージに立ち、そして、痙攣したように体を揺らしながら歌うヴォーカリストが立つはずのマイク・スタンドが、ぽっかりと空いた空間に寂しく立っている構図。これがジョイ・ディヴィジョンだと、筆者は考える。3人のうち誰かがこの世を去っているならまだしも、ご存じのように、3人とも内輪揉めができるくらいピンピンとしている。だからこそ、称賛できるピーター・フック・アンド・ザ・ライトのパフォーマンスを観ながらも、どこか寂しく哀しい感情が抑えきれない自分がいたことを、告白せざるをえない。そしてこの哀しみは、どこかやけっぱちに聞こえるフッキーの歌声を聴いて、さらに増していったのである。

 帰りの電車内で筆者は、ハシエンダ・フェスに行ったと思われる集団の笑い声を聞きながら、フッキーの咆哮に宿っていた"ナニカ"について考えてみた。だが、その"ナニカ"にねっとり纏わりつく哀しみと空虚さが思索の邪魔をしたせいで、結局答えは見つからなかった。でもひとつ確かなのは、フッキーの咆哮が笑顔に満ちたハシエンダ・フェスには似つかわしくない重みと恐怖を滲ませていたということ。あの咆哮の正体はなんなのか? サマソニで来日するニュー・オーダーのライヴを観ればわかる...のかもしれない。

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