NOVELLA「Novella」(Itlian Beach Babes)

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NOVELLA.jpg 60年代サイケデリックを思わせるジャケット。しかしアメリカや日本的なイラストが描かれている。そういったところに今っぽさを感じるというか、例えるならグライムスのジャケットほどではないが、似たものを感じる。

 ローファイなサウンドでひたすら聴き手を引っ張っていくロンドンのスリー・ピース・ガールズ・バンド、ノヴェッラによるファースト・ミニ・アルバムである本作は、鮮烈極まりないフレーズを次々と繰り出し、キュートな歌声と相まって実に快楽的だ。メロディ・ラインのところどころにはブラーの『Modern Life Is Rubbish』やオアシスの『Definitely Maybe』、ストーン・ローゼズやビートルズを思わせるものがあり、決して新しくはないのだが(僕は新しさを価値基準にしていないが)、ブリット・ポップをガレージ・ロックに落とし込んだ音楽性が爽快に響き渡る。これがなんとも心地いい。

 技巧に長けたドラムが駆け抜け、痛快に鳴らされるノイジーなギター・サウンドには抑制の美があればダイナミックでもある。ラモーンズやヨ・ラ・テンゴの要素も強くあり、彼女たちは国や年代に囚われず、自由奔放に音の中で弾けている。いわば、とても今日的な音楽だ。

 特筆すべきは2曲目の「He's My Morning」。変拍子を交えたこの曲は、聴き手をずるずると引き込むような妖しさがある。「ただのガレージ・ロック」と言われかねない音楽性をからかうように自分たちの豊富な音楽体験を音楽に反映させ、それをあっけらかんとやってのけてしまうのが、ノヴェッラの真骨頂だろう。スーパーカーの『スリーアウトチェンジ』から青春の匂いがするように、このバンドも青春という、どこへでも行ける、未来は開けている、という感覚を持っている。そこにおける無邪気っぷりは素晴らしい。

 本作を「ただのガレージ・ロック」とだけ評するリスナーはいないであろう。このバンドにとって最も重要なことは、気だるいメロディと輝くメロディが交差する中で、歌声にギター・ノイズを絡ませるという、好きな事を好きなようにやるということだ。結局、それだけなのだ。が、しかし、衝動という言葉は似合わなく、彼女たちの場合、豊富な音楽的バック・グラウンドがあり、自然に滲み出ているがゆえの奥の深さがある。ギター・バンドにとってジャンルの交差の先に見える新たな景色を映し出してくれそうな音の鳴りが聴こえてくるのだ。プライマル・スクリームのような道を歩めるバンドだと思うし、そうなってほしい。ライヴ映像を観る限りだとスリッツになれる可能性も十分ある。

 バンド名と本作のタイトルは「短編物語」という意味。ゆくゆく発表されるであろうフル・アルバムはどんな長編になるのか気になるミニ・アルバムだと言えると同時に、ギター・バンドという枠で音を聴かせないギター・バンドだと言える。

 

(田中喬史)

 

【筆者注】JET SETTHE STONE RECORDSにて販売中。

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