清竜人『MUSIC』(EMI Music Japan)

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清竜人『MUSIC』.jpg  清竜人にとって4枚目のアルバムとなる『MUSIC』を初聴したとき、飲んでいたコーヒーを吹き出してしまった。「なんじゃこりゃあ?」と思ったのは、言うまでもない。この気持ち、清竜人を熱心に追いかけている人ほどわかってくれるはず。

 メロディーの骨格といった根本は引き継ぎながらも、清が以前から興味を持っていたアニメ/ゲーム音楽やアイドル・ソングの要素をふんだんに取り入れ、従来のアコースティック・サウンドからガラリと作風を変えた本作は、ヘタをすれば"迷作"となる可能性だってあった。だが、繰り返し聴いているうちに、本作は極めて真っ当な音楽であり、"トンデモ" "イロモノ"として扱うのは失礼に値するのではないか? という思いが芽生えてきた。

 演劇的要素が強いのは確かだし、清のイメージとはかけ離れた世界観に触れて"狂っている"と思う人もいるだろうけど、音楽に纏わりつく既存概念を取り払い、音楽の新たな定義と可能性を追求したという点では、非常にシリアスな作品だと言える。それは、全収録曲にそれぞれ違うアレンジャー/エンジニアを立て、さらに女優の多部未華子や人気声優の堀江由衣といった外部の人材を数多く参加させることで、幅広い音楽性を獲得しようとした試み(この試みは、ものの見事に成功している)からも推察できる。ここまで音楽と真摯に向き合った作品を、"トンデモ" "イロモノ"として扱っていいのだろうか?

 

(近藤真弥)

 


 

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