KEANE『Strangeland』(Island / Universal)

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KEANE.jpg もはやここに、ファースト・アルバム『Hopes And Fears』のころの、いまにも壊れそうなナイーヴな音の感触はない。トム・チャップリンのヴォーカルはあまりに力強く、メロディ・ラインは随分しっかりとした輪郭を持っている。

 キーンの4枚目となるニュー・アルバムは、セカンド・アルバム『Under The Iron Sea』を彷彿とさせる。知っている方も多いと思うが、彼らのセカンドの評判はすこぶる悪かった。ファーストは、とにかく奇跡的に美しいメロディに満ち溢れた作品だった。そこには難解なコンセプトもなければ、ロックっぽい説教臭さもなかった。あったのは「ギターは使わない」というシンプルなルールだけ。それに比べると、セカンドはちょっと音が重かったのかもしれない。少なくともピュアさや清涼感が損なわれていたことは認める必要がある。だが曲単位ではいくつかの名曲を生んだアルバムだ。けっして一蹴できる内容ではない。

 今回のアルバムはシンプルではある。あえていまのリスナーを拒絶するようなダークな作風の曲は皆無だし、いかにも分かりやすいバラッドとパワー・ポップがバランスよく配置されている。もちろんわたしのようなファンは大満足だ。ただちょっとU2っぽいかな(これは悪口です、念のため)。何がって...トムのヴォーカルとかさ。どんどん上手くなっているんだけど、もうインディー・バンドっていう感じでもなくなっているから。そういう意味でセカンドに似てるな、と。

 彼らには、トレンドから完全に取り残されたおじさんおばさんが椅子に座って観るようなバンドになって欲しくないな。何となくダサすぎるんだよな。キラーズみたいに、ダサいけどとんでもなく凄いとかじゃなくて。ややこしいですが、わたしはキーンのことが2000年代でトップ3に入るくらい好きなんです。今回の作品も愛聴していますが、ファンじゃない人は、とくに普段クールでヒップなバンドのサウンドに耳が慣れている人は、どう思うんだろう、なんてことを考えてしまうんです。「ダサい!」と言うのはぜんぜん構わないんですが、メロディだけはどのバンドよりも高い評価を下して欲しいな、と勝手に思っています。「そんなのこっちの勝手だ!あのバンドは退屈すぎて死にたくなる!」と言われてしまえばそれまでですが。

 

(長畑宏明)

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