THE GREEN KINGDOM『Egress』(Nomadic Kids Republic)

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THE GREEN KINGDOME.jpg コンスタントに傑作アンビエントを届けてくれる、デトロイト出身のマイケル・コットンことザ・グリーン・キングダムによる4枚目のフル・アルバム。プロジェクト名を変えたり、ダークなアンビエント路線やポスト・クラシカルへ浮気をしたりせず、ひたむきに荘厳なアンビエントを制作し続ける彼の姿勢が、本盤を傑作たらしめた。リリース元の《Nomadic Kids Republic》は《Home Normal》のサブ・レーベルに位置し、マップス・アンド・ダイアグラムスやBvdubなど、本家よりもさらに内省的なドローンやアンビエントを制作するアーティストが国内外から集まっている。

 エレクトロニクスは囁き声のように微かなビートから、淡く滲んでいくレイヤーまで、マクロにもミクロにもアルバム全体を埋め尽くしている。アコースティック・ギターやストリングスは、電子音の隙間へと丁寧に配置されている。それらが持続音や環境音へ溶け込む手法は、今では多くのアーティストにやり尽くされたものの、掛け値なしに美しいことは断言したい。彼のアンビエントは情報量が多く、縦横無尽に多様な音が駆け巡っていながらも、一つ一つの音が小さく繊細であるため、いわゆるフォーク・トロニカにも通じる細々した朴訥さも僅かながらに秘めている。《Home Normal》は勿論のこと、12kやテイラー・デュプリー周辺に関心のある方には、是非聴いて欲しい。エレクトロニクスと生楽器が共生するアンビエントが好きな方の琴線に触れるであろう「あの音」が鳴っている。

 

(楓屋)

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