SILVERSUN PICKUPS『Neck Of The Woods』(Dangerbird / Warner)

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SILVERSUN PICKUPS.jpg 「ファースト・アルバムは勢いで作れる。セカンド・アルバムは経験で作れる。それゆえ、サード・アルバムで真価が問われる」とはよく聞くが、確かにレディオヘッドもプライマル・スクリームも、スーパーカーもくるりも、サード・アルバムがバンドにとって重要な作品だった。

 カリフォルニア出身、グラミー賞の最優秀新人賞にノミネートされた経験を持つ男女4人組のロック・バンド、シルヴァーサン・ピックアップス。サマーソニックに出演した経験をも持つ彼らは、セカンド・アルバム『Swoon』で、幸か不幸かバンドの完成形を手に入れてしまった。

 「完成」、すなわち自分たちのやりたいこと、やれることをやり尽くしてしまったら、バンドは次の作品を創作するにあたって袋小路に立たされる。だからなのかサード・アルバムとなる本作『Neck Of The Woods』はメンバーいわく、「何が今の自分を作りあげたのか、それを探る作品になっている。どうやって今の自分が出来たのかを知ろうとしているアルバム」という自分たちを見詰め直すものになっている。

 プロデューサーにR.E.M.やU2などの作品を手掛けたジャックナイフ・リーを迎え、スマッシング・パンプキンズの音楽性を軸に、クーパー・テンプル・クロースに似たヘヴィなギター・サウンドを交えながらも音数を減らし、フォークに通じるアコースティックな感触を思い出すように鳴らしている。それは自らのソング・ライターとしての資質を試しているかのようだ。ヒップホップ・ビートやポスト・ロックの要素を取り入れている曲もあり、試行錯誤している様子も窺えた。ニュー・オーダーやマンサンを彷彿させる曲すらあることも試行錯誤の結果だろう。彼らは自ら"シルヴァーサン・ピックアップスという記号"で縛られた縄をほどこうとしているのだと思う。

 本作は彼らの最高傑作ではない。これまで以上にダークで実験作と位置付けてもいい作品だ。ジャケットに映っているように、この作品では彼らの夜明けへの願望が鳴っている。セールス面での成功とネーム・バリューを手に入れたバンドが鳴らす、自分たちへの葛藤と、もがき。その神妙の色を帯びた音を美と評するのは野暮ではない。

 

(田中喬史)

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